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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (5) 補助金を過大に受給していたもの

仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していなかったもの[近畿農政局](222)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,451,100円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(222)
近畿農政局
兵庫県
洲本市
洲本市畜産クラスター協議会
(事業主体)
畜産・酪農収益力強化整備等特別対策
28、29
46,958
(46,958)
19,591 3,478
(3,478)
1,451
(注1)
地域の関係者が連携し、地域一体となって畜産の収益性の向上を図るために、洲本市、畜産農家、淡路日の出農業協同組合等が参画する協議会(平成29年12月3日以前は洲本市但馬牛クラスター協議会)

この補助事業は、繁殖雌牛の増頭を図るために、洲本市畜産クラスター協議会(以下「協議会」という。)が協議会の構成員である畜産農家を収益性の向上に取り組む主体(以下「取組主体」という。)として、繁殖牛舎等の整備を行ったものである。

そして、協議会は、取組主体が上記繁殖牛舎等の整備を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含めて事業費46,958,400円(補助対象事業費同額)で実施したとして、洲本市を通じて兵庫県に対して実績報告書を提出し、同県から同市を通じて国庫補助金19,591,000円の交付を受けて、同額を取組主体に交付していた。

補助事業の実施に当たり、取組主体が補助の対象となる施設等を取得する場合には、これに係る消費税額が補助対象事業費に含まれる。そして、取組主体が消費税の課税事業者であれば当該施設等の取得は課税仕入れに該当することから、確定申告の際に課税売上高に対する消費税額から当該施設等の取得に係る消費税額を仕入税額控除(注2)した場合には、取組主体はこれに係る消費税額を実質的に負担していないことになる。

畜産・酪農収益力強化総合対策基金等事業補助金交付要綱(平成28年27生畜第1572号農林水産事務次官依命通知)等によれば、補助事業の事業主体は、実績報告書の提出後に消費税の確定申告により仕入税額控除した消費税額に係る国庫補助金相当額が確定した場合には、その金額を速やかに交付決定者に報告し、当該金額を返還しなければならないこととされている。そして、実際に消費税の確定申告を行い、本件補助事業に係る消費税額を仕入税額控除するのは取組主体であることから、事業主体である協議会において、実績報告書の提出後に、取組主体が仕入税額控除した消費税額に係る補助金の額について確認する必要がある。

(注2)
仕入税額控除  課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除すること

しかし、協議会は、取組主体が実績報告書の提出後の消費税の確定申告の際に、本件補助事業に係る消費税額3,478,400円を仕入税額控除し、これに係る国庫補助金相当額が1,451,100円と確定していたのに、この額について、取組主体に確認していなかったため、報告及び返還を行っておらず、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、協議会において補助事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、同市において補助事業における消費税の取扱いについての協議会に対する指導が十分でなかったこと、同県において補助事業における消費税の取扱いについての同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。