(3件 不当と認める国庫補助金 133,696,270円)
部局等
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補助事業者等
(事業主体)
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補助事業等
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年度
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事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額
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不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(255) | 岩手県 |
岩手県 |
災害関連緊急砂防 |
元、2 |
1,332,912 (1,332,912) |
1,004,127 | 115,519 (115,519) |
115,519 |
(256) | 徳島県 |
徳島県 |
防災・安全交付金 (砂防) |
平成29~令和元 |
45,700 (45,700) |
26,506 | 3,656 (3,656) |
3,656 |
(257) | 長崎県 |
長崎県 |
防災・安全交付金 (地すべり対策) |
令和元 |
170,851 (170,851) |
99,946 | 14,521 (14,521) |
14,521 |
(255)―(257)の計 | 1,549,463 (1,549,463) |
1,130,580 | 133,696 (133,696) |
133,696 |
これらの交付金事業等は、砂防法(明治30年法律第29号)に規定する砂防工事に関する事業又は地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)に規定する地すべり防止工事に関する事業として、砂防えん堤又は排水施設を整備等する事業(以下「本件事業」という。)を3県が実施したものである。
後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和36年法律第112号。以下「負担特例法」という。)によれば、財政力指数(注1)が0.46に満たない都道府県(以下「適用団体」という。)が、国の補助金等の交付を受けて、負担特例法に定める事業のうち「後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律施行令」(昭和36年政令第258号。以下「政令」という。)で定める事業(以下「開発指定事業」という。)を実施する場合には、開発指定事業に係る経費に対する通常の国の負担割合(以下、交付金事業又は補助事業における負担割合を「通常国費率等」という。)が引き上げられることなどとされている(以下、通常国費率等が引き上げられる割合を「引上率」といい、通常国費率等が引き上げられることに伴う交付金又は補助金に係る国の負担の増加額を「国費率等差額」という。)。そして、政令によれば、開発指定事業とは、砂防法に規定する砂防工事に関する事業及び地すべり等防止法に規定する地すべり防止工事に関する事業の場合、河川法(昭和39年法律第167号)に規定する一級河川及び二級河川の水系(注2)に属する河川(以下「一級水系等河川」という。)の流域(注2)におけるものとされている。
また、社会資本整備総合交付金交付申請等要領(平成23年国官会第2379号国土交通事務次官通知)、「水管理・国土保全局所管国庫補助事業に係る補助金等交付申請について(災害復旧事業に係るものを除く。)」(平成24年国水総第481号)等によれば、国費率等差額の交付申請は、通常国費率等による交付金又は補助金の交付申請の翌年度に別途行うこととされている。国費率等差額の申請額は、通常国費率等を超える部分の額であり、既に交付した交付金又は補助金の精算額(以下「交付金等精算額」という。)に総務大臣から通知される引上率を乗じて得た額から、交付金等精算額を減じた額に相当する額とされている。
岩手県は令和元年度、徳島県は平成29、30両年度、長崎県は27年度から30年度までの間においてそれぞれ適用団体に該当していた。そして、3県は、実施した交付金事業等が開発指定事業に該当するなどとして、本件事業に係る通常国費率等による各年度の交付金等精算額計996,883,848円に当該年度の引上率(1.13~1.18)を乗じて得た額から交付金等精算額を減じた額計133,696,270円について、国費率等差額として国土交通本省及び四国、九州両地方整備局に対してそれぞれ交付申請を行い、同額の交付を受けていた。
しかし、徳島県及び長崎県が一級水系等河川の流域で実施したため開発指定事業に該当するとして交付申請していた本件交付金事業の実施箇所は、水系等を確認することができる河川流域図等によれば、一級水系等河川の流域外にあった。また、岩手県は、一級水系等河川の流域外における事業を開発指定事業として交付申請していた。
したがって、3県が実施した本件事業は、国費率等差額の交付の対象とは認められず、これらに係る交付金等133,696,270円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、徳島県及び長崎県において、国費率等差額の交付申請に当たり、本件交付金事業が開発指定事業の要件に該当するかどうかの確認が十分でなかったことなどによると認められる。また、岩手県において、国費率等差額の交付申請に当たり、開発指定事業の要件の確認が十分でなかったこと、国土交通本省において、国費率等差額の交付申請書の確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
岩手県は、釜石市箱崎町及び平田町地内並びに下閉伊郡山田町船越町地内において、砂防法に規定する砂防工事に関する事業として砂防えん堤の整備等8事業を実施している。
同県は、政令で定める一級河川及び二級河川の水系に属さない「その他水系」における本件補助事業を開発指定事業として交付申請書に記載し、通常国費率等による令和元年度の交付金等精算額計888,608,312円に引上率1.13を乗じて得た額から交付金等精算額を減じた額計115,519,080円について、2年度に国費率等差額として交付申請を行っていた。そして、国土交通本省は、交付申請書の確認を行うなどして、同額を同県に対して交付していた。
しかし、一級河川及び二級河川の水系に属さない「その他水系」における事業は、一級水系等河川の流域外における事業であり、開発指定事業に該当しない。
したがって、国費率等差額に係る補助金115,519,080円は交付の対象とは認められない。