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  • 令和4年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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隊舎改修に伴う建築工事等の施行に当たり、宿泊費等の積算を誤ったため、契約額が割高となっていたもの[北関東防衛局](272)


会計名及び科目
一般会計 (組織)防衛本省 (項)防衛力基盤強化推進費
部局等
北関東防衛局
工事名
父島(30補)隊舎改修建築その他工事
工事の概要
海上自衛隊父島基地分遣隊における隊舎改修工事として、建築工事、電気設備工事、機械設備工事、土木工事等を施行するもの
契約額
399,342,000円(平成30年度~令和3年度)
請負人
五洋建設株式会社
契約
平成31年3月 一般競争契約
支払
令和3年11月、12月、4年4月
割高となっていた契約額
3760万円(平成30年度~令和3年度)

1 工事の概要

北関東防衛局(以下「局」という。)は、平成30年度から令和3年度までの間に、「父島(30補)隊舎改修建築その他工事」(以下「本件工事」という。)を一般競争契約により五洋建設株式会社に契約額399,342,000円で請け負わせて施行している。

本件工事は、小笠原諸島父島に所在する海上自衛隊父島基地分遣隊において、既存の隊舎2棟の事務室、便所、洗面洗濯室、浴室等の改修を行うもので、建築工事、電気設備工事、機械設備工事、土木工事等から構成されている。

局は、本件工事の工事費について、国土交通省大臣官房官庁営繕部が制定し、官庁営繕関係基準類等の統一化に関する関係省庁連絡会議において統一基準と決定された「公共建築工事積算基準」、「公共建築工事共通費積算基準」(いずれも平成15年国営計第196号)、防衛省が定めている「土木工事積算基準」(平成28年防整技第7175号別紙第1)等に基づき、直接工事費に共通仮設費、現場管理費、一般管理費等及び消費税等相当額を加えて積算している。

また、補正予算で発注される工事については、防衛省が上記のほかに別途通知を発出している。そして、平成30年度補正予算で発注される工事については、「平成30年度補正予算に係る建設工事標準図等活用発注(簡易型)指針について(通知)」(平成30年防整技第19698号)に基づき、設計変更において、新たな工種等を追加する場合又は当初の条件を大幅に変更する場合における単価及び価格は、受注者から提出された見積価格を採用することができることとされている。本件工事も、平成30年度補正予算で発注された工事であり、上記の通知等により積算している。

2 検査の結果

本院は、経済性等の観点から、工事費の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件工事を対象として、局において、契約書、特記仕様書、契約図面、積算価格内訳明細書等の関係資料を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

すなわち、局は、本件工事において、施工後の最終の契約変更に当たり、受注者から見積書を提出させるなどして工事費を積算していたが、新たな工種等を追加する場合又は当初の条件を大幅に変更する場合に係る工事費の積算において、次のアからウまでの誤りが認められた。

ア 本件工事の工事場所は離島に所在することから、必要となる作業員等の宿泊費を建築工事の共通仮設費に積み上げて計上している。この宿泊費の積算に当たり、受注者から提出された渡航履歴報告書に記載の滞在期間に基づいて宿泊日数を延べ1,539日とし、宿泊費18,941,280円を計上すべきであったのに、同報告書の誤った宿泊日数の合計1,555日を採用し、更に宿泊日数1日につき3人が宿泊したものと誤認したため、これに3を乗じて宿泊日数を4,665日とし、宿泊費52,660,000円を計上していた。

イ 本件工事で使用する足場や養生等の直接仮設に係る費用の積算に当たり、見積価格は工事全体の隊舎2棟分における当該費用一式で6,230,000円とされていたのに、当該見積価格は隊舎1棟当たりの価格であると誤認して、隊舎2棟分として12,460,000円を直接工事費に計上していた。

ウ 第1隊舎の外壁改修における径が300㎜以下の削孔54か所に係る費用の積算に当たり、受注者の見積価格は削孔長1m当たりの単価が115,100円となっていたことから、これを削孔1か所当たりの単価に換算した27,000円に、箇所数の54を乗じた1,458,000円を直接工事費に計上すべきであった。しかし、削孔1か所当たりの単価が115,100円であると誤認したため、これに54を乗じた6,215,400円を直接工事費に計上していた。

上記のアからウまでのほか、建築工事の共通仮設費の積算に当たり、当初は予定していたものの実施しないこととした業務の費用を誤って計上するなどしていた。

したがって、適切な積算方法に基づくなどして本件工事の工事費を修正計算すると、他の項目において積算過小となっていた費用を考慮しても、工事費の総額は361,674,078円となることから、本件契約額399,342,000円はこれに比べて約3760万円割高となっていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、局において、本件工事の工事費の積算に対する確認が十分でなかったことなどによると認められる。