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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(1)―(4) 地震発生時に橋脚の損傷に起因して、上下線共に通行不能になり緊急輸送道路としての高速道路ネットワークが機能しないおそれがある区間等を早期に解消させるために、現地の条件等を踏まえた橋脚補強の効率的な整備手法について検討を行うなどの措置を講ずるよう意見を表示したもの


会社名
(1) 東日本高速道路株式会社
(2) 中日本高速道路株式会社
(3) 西日本高速道路株式会社
(4) 本州四国連絡高速道路株式会社
科目
(1)~(3) 仕掛道路資産
(4) 仕掛道路資産、未成工事支出金
部局等
(1) 本社、2支社
(2) 本社、3支社
(3) 本社、4支社
(4) 本社、5管理センター
橋脚補強の概要
地震発生後に緊急輸送道路として機能させるために実施する橋脚の耐震補強工事
橋脚補強等の契約件数及び契約金額
(1) 47件 1398億5050万余円(平成28年度~令和4年度)
(2) 146件 4745億6379万余円(平成29年度~令和4年度)
(3) 190件 6155億0824万余円(平成28年度~令和4年度)
(4) 20件 323億8120万余円(平成28年度~令和4年度)
分離橋りょうの上下線の2橋の橋脚補強を同時に実施していた事態に係る契約件数及び契約金額(ア)
(1) 8件 470億7365万余円(令和2年度~4年度)
(2) 13件 264億0124万余円(令和2、3両年度)
(3) 89件 2543億0175万余円(平成29年度~令和4年度)
(4) 13件 226億3957万余円(平成29年度~令和2年度)
緊急輸送道路としての機能回復を速やかに行うことができる橋りょうが並行して設置されているのに暫定整備段階で設置した橋りょうの橋脚補強を実施していた事態に係る契約件数及び契約金額(イ)
(1) 7件 181億0974万円(令和2年度~4年度)
(2) 13件 253億7022万余円(令和元年度~3年度)
(3) 19件 501億9944万余円(平成28年度~令和4年度)
(ア)及び(イ)の純計
(1) 14件 602億8839万円(背景金額)
(2) 24件 476億2886万円(背景金額)
(3) 98件 2824億3449万円(背景金額)
(4) 13件 226億3957万円(背景金額)

本院は、高速道路における橋脚補強の整備手法について、令和5年10月13日に、東日本高速道路株式会社(以下「東会社」という。)、中日本高速道路株式会社(以下「中会社」という。)、西日本高速道路株式会社(以下「西会社」という。また、以下、これらの会社を総称して「3会社」という。)及び本州四国連絡高速道路株式会社(以下「本四会社」という。また、以下、3会社と合わせて「4会社」という。)のそれぞれの代表取締役社長に対して、「高速道路における橋脚補強の整備手法について」として、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

これらの意見表示の内容は、4会社の検査結果に応じたものとなっているが、これを総括的に示すと以下のとおりである。

1 高速道路の橋脚補強の概要

(1) 4会社が管理する高速道路の概要

4会社が管理する高速自動車国道又は自動車専用道路(以下、これらを合わせて「高速道路」という。)は、5年3月末現在、その管理延長が計9,901㎞となっており、その管理する対象には、高速道路を構成する橋長15m以上の橋りょう計17,605橋が含まれている。

高速道路は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)等に基づき、地方公共団体がそれぞれ策定している地域防災計画等において、災害時の避難、救助、物資供給等の災害応急対策活動のための緊急輸送道路に位置付けられている重要な道路である。

このため、4会社は、事業継続計画等において、災害時に緊急車両の通行帯を24時間以内に確保することなどの目標を定めている。

(2) 橋りょうに係る耐震補強工事等の概要

4会社は、地震による落橋・倒壊、橋脚の損傷の被害等を未然に防止するために、平成7年の兵庫県南部地震による橋りょうの被災状況等を踏まえて改訂された8年の「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)より前の示方書を適用して設計するなどした橋りょうについて、耐震補強工事を実施している。耐震補強工事は、既に完成して供用している橋りょうに対して施工するものであり、橋りょうを新設する場合にはない特有の構造上、施工上の制約等がある。そのため、4会社は、「既設道路橋の耐震性能照査及び耐震補強設計について」(平成27年6月国土交通省道路局事務連絡)に準拠して耐震補強工事を実施することとして、地震時に橋りょうの損傷を軽微にとどめて速やかに機能回復を図り、緊急輸送道路として機能させるための性能(以下「機能回復性能」という。)を確保することとしている。

そして、4会社は、落橋・倒壊を防止するための対策について、兵庫県南部地震発生以降、被害事例が多く見受けられた昭和55年の示方書より前の示方書を適用して設計するなどした橋りょうを対象として順次実施してきており、平成17年6月に国土交通省が発出した「「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プログラム」の策定について」の通知に基づき重点的に実施するなどした結果、対策が完了しているため、前記の17,605橋は落橋・倒壊するおそれはないとしている。

一方、4会社は、機能回復性能を確保するための対策について、これを確保するには至っていない橋りょうが平成28年熊本地震発生時点で計4,454橋となっていたため、順次実施することとしていた。これらの橋りょうは、機能回復性能が確保されていないことにより、地震時に生じた橋脚の損傷に起因して、上下線共に通行不能となり、緊急車両の通行帯が確保できないなどの事態が発生し、緊急輸送道路としての高速道路ネットワークが機能しないおそれがある(以下、地震発生時に橋脚の損傷に起因して、上下線共に通行不能になる部分を「地震時のミッシングリンク」という。)。

4会社は、上記橋りょうの機能回復性能を確保するために、橋脚の耐震補強工事(以下「橋脚補強」という。)を、鉄筋コンクリート巻立て工法、連続繊維シート巻立て工法等により進めている。橋脚補強の対象となる橋りょうの中には、上下線を一体として橋脚が支える構造のものや並行する上下線を分離した橋脚がそれぞれ支える構造のもの(以下「分離橋りょう」という。)などがある。

(3) 高速道路における安全・安心実施計画の概要

国土交通省は、平成28年熊本地震により耐震補強の必要性が改めて確認されたことなどから、「高速道路の安全性、信頼性や使いやすさを向上する取組基本方針」(平成29年12月社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会)において提案された各施策を踏まえて、「高速道路における安全・安心基本計画」(令和元年9月10日国土交通省道路局)を策定し、その中期的な整備方針等を示している。

これを受けて、4会社は、令和元年12月又は2年3月に「高速道路における安全・安心実施計画」(以下「実施計画」という。)をそれぞれ策定している。実施計画では、大規模地震の発生確率が高い地域(注1)(以下「先行整備地域」という。)における橋脚補強は3年度までを、それ以外の地域(以下「その他整備地域」という。)は8年度までを、それぞれの地域の橋脚補強の完了目標年度とするなどとしており、計画的に橋脚補強を進めて早期に完了することを目指している。

(注1)
大規模地震の発生確率が高い地域  文部科学省に設置された地震調査研究推進本部が策定した「全国地震動予測地図2016年版」で示されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震等、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の地域

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、効率性、有効性等の観点から、機能回復性能が確保されていない橋りょうについて、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある状況を解消するために必要な橋脚補強が適切に実施されているかなどに着眼して検査した。

検査に当たっては、前記の4,454橋を対象に橋脚補強の整備手法に関する調書の提出を受けるなどして検査するとともに、平成28年度から令和4年度までに4会社が締結した橋脚補強等に係る契約、東会社47件(契約金額計1398億5050万余円)、中会社146件(同計4745億6379万余円)、西会社190件(同計6155億0824万余円)、本四会社20件(同計323億8120万余円)、計403件(同計1兆2623億0375万余円)を対象として、4会社の本社、18支社等(注2)において契約書、図面等の関係書類及び現地の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注2)
18支社等  東会社北海道、東北、関東、新潟各支社、中会社東京、名古屋、八王子、金沢各支社、西会社関西、中国、四国、九州各支社、本四会社神戸、鳴門、岡山、坂出、しまなみ尾道、しまなみ今治各管理センター

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 橋脚補強の進捗状況及びこれによる地震時のミッシングリンクの状況

4会社における前記の4,454橋に係る橋脚補強の進捗状況をみると、表1のとおり、先行整備地域については、完了目標年度である3年度末において、1,616橋のうち1,449橋(89.7%)の橋脚補強が完了しておらず、4年度末においても1,371橋(84.8%)の橋脚補強が完了していなかった。そして、この1,371橋のうち671橋は工事中であるものの、残りの700橋(43.3%)は工事契約の締結に至っていなかった。また、その他整備地域については、4年度末において、2,838橋のうち2,634橋(92.8%)の橋脚補強が完了しておらず、このうち275橋は工事中であるものの、残りの2,359橋(83.1%)は工事契約の締結に至っていなかった。

表1 橋脚補強の進捗状況

会社名 地域区分 橋脚補強
の対象
(A)
令和3年度末(先行整備地域の完了目標) 4年度末(直近の状況)
完了 未完了
(B)
未完了率
(B)/(A)
未契約率
(C)/(A)
完了 未完了
(D)
未完了率
(D)/(A)
未契約率
(E)/(A)
工事中 工事契約
未締結
(C)
工事中 工事契約
未締結
(E)
(橋) (橋) (橋) (橋) (橋) (%) (%) (橋) (橋) (橋) (橋) (%) (%)
東会社 先行整備 529 18 511 20 491 96.6 92.8 18 511 30 481 96.6 90.9
その他整備 894 69 825 84 741 92.3 82.9
中会社 先行整備 392 89 303 253 50 77.3 12.8 108 284 240 44 72.4 11.2
その他整備 107 40 67 1 66 62.6 61.7
西会社 先行整備 645 18 627 379 248 97.2 38.4 71 574 399 175 89.0 27.1
その他整備 1,713711,6421891,45395.984.8
本四会社 先行整備 504288016.00.0482204.00.0
その他整備 1242410019980.679.8
先行整備の計 1,6161671,44966078989.748.82451,37167170084.843.3
その他整備の計 2,8382042,6342752,35992.883.1
合計 4,4541671,4496607894494,0059463,05989.968.7

このように、4会社において、平成28年度から令和4年度までの7年間で449橋の橋脚補強が完了している一方で、いまだ橋脚補強の工事契約の締結に至らない橋りょうが3,059橋(うち分離橋りょう1,345橋)と多く見受けられた。その結果、表2のとおり、4会社管内の高速道路本線67路線381区間において地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある状況となっていた。

表2 地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある路線及び区間(令和4年度末現在)

会社名 路線名 道路名 区間 区間数
分離橋りょう数
区間数計
分離橋りょう数計
東会社 北海道縦貫自動車道函館名寄線 道央自動車道 長万部 IC 登別室蘭 IC 6 15 12
白老 IC 苫小牧西 IC 1 2
札幌 IC 江別西 IC 1 2
岩見沢 IC 滝川 IC 4 6
深川 IC 旭川鷹栖 IC 1 2
旭川北 IC 和寒 IC 2
北海道横断自動車道黒松内釧路線 札樽自動車道
道東自動車道
札幌西 IC 札幌 JCT 5 10
千歳東 IC 夕張 IC 2
十勝清水 IC 芽室 IC 1
帯広 JCT 池田 IC 2
東北縦貫自動車道弘前線 東北自動車道
東京外環自動車道
戸田西 IC 美女木 JCT 1 10 6
戸田東 IC 川口 JCT 4
岩槻 IC 久喜 IC 2
十和田 IC 碇ヶ関 IC 3 6
東北縦貫自動車道八戸線 八戸自動車道 安代 JCT 九戸 IC 3 9 4 9
八戸 JCT 八戸 IC 1
東北横断自動車道釜石秋田線 秋田自動車道 北上 JCT 横手 IC 3 6
大曲 IC 協和 IC 1
秋田南 IC 秋田北 IC 2
東北横断自動車道酒田線 山形自動車道
日本海東北自動車道
村田 JCT 笹谷 IC 2 6 12 14
関沢 IC 山形蔵王 IC 1 4
山形北 IC 月山 IC 4 2
湯殿山 IC 鶴岡 JCT 3 2
庄内空港 IC 酒田中央 IC 2
東北横断自動車道いわき新潟線 磐越自動車道 いわき JCT 郡山東 IC 4 4 13 10
磐梯熱海 IC 猪苗代磐梯高原 IC 1 2
磐梯河東 IC 新潟中央 JCT 8 4
日本海沿岸東北自動車道 日本海東北自動車道 庄内空港 IC 酒田中央 IC 2
注(3) (2)
2
注(3) (2)
関越自動車道新潟線 関越自動車道 前橋 IC 渋川伊香保 IC 1 2 4 8
赤城 IC 昭和 IC 1
月夜野 IC 湯沢 IC 2 6
関越自動車道上越線 上信越自動車道 藤岡 IC 吉井 IC 1 19 35
富岡 IC 中郷 IC 17 35
上越高田 IC 上越 JCT 1
常磐自動車道 常磐自動車道
東京外環自動車道
川口 JCT 外環三郷西 IC 3 12 33
水戸 IC いわき湯本 IC 8 33
いわき中央 IC いわき四倉 IC 1
東関東自動車道千葉富津線 館山自動車道 蘇我 IC 木更津 JCT 4 5
木更津南 JCT 木更津南 IC 1
東関東自動車道水戸線 東関東自動車道 成田 IC 大栄 JCT 1 2 3 20
大栄 IC 潮来 IC 2 18
北関東自動車道 北関東自動車道 栃木都賀 JCT 宇都宮上三川 IC 3 5 2
友部 IC 茨城町西 IC 2 2
中央自動車道長野線 長野自動車道 安曇野 IC 更埴 IC 2 32 2 32
北陸自動車道 日本海東北自動車道
北陸自動車道
親不知 IC 上越 IC 5 31 7 33
新潟西 IC 新潟亀田 IC 2 2
一般国道6号(東水戸道路) 東水戸道路 水戸南 IC ひたちなか IC 2 2 2 2
一般国道6号(仙台東部道路) 仙台東部道路 岩沼 IC 仙台若林 JCT 3 4 3 4
一般国道7号(秋田外環状道路) 秋田外環状道路 秋田北 IC 昭和男鹿半島 IC 1 1
一般国道13号(米沢南陽道路) 米沢南陽道路 米沢北 IC 南陽高畠 IC 1 1
一般国道13号(湯沢横手道路) 湯沢横手道路 湯沢 IC 横手 IC 2 2
一般国道14号(京葉道路) 京葉道路 宮野木 JCT 穴川 IC 1 2 1 2
一般国道16号(横浜横須賀道路) 横浜横須賀道路 釜利谷 JCT 佐原 IC 5 2 8 4
釜利谷 JCT 並木 IC 3 2
一般国道45号(三陸縦貫自動車道(仙塩道路)) 三陸縦貫自動車道(仙塩道路) 利府塩釜 IC 利府中 IC 1 1
一般国道45号(百石道路) 百石道路 八戸北 IC 下田百石 IC 1 4 1 4
一般国道127号(富津館山道路) 富津館山道路 富津竹岡 IC 鋸南富山 IC 3 3
一般国道233号(深川・留萌自動車道(深川沼田道路)) 深川・留萌自動車道(深川沼田道路) 深川 JCT 深川西 IC 1 1
一般国道409号(東京湾横断・木更津東金道路) 東京湾横断・木更津東金道路 浮島 IC 木更津 JCT 3 24 3 24
一般国道468号(首都圏中央連絡自動車道) 首都圏中央連絡自動車道 日の出 IC 青梅 IC 1 7
入間 IC 坂戸 IC 4
松尾横芝 IC 東金 IC 2
29 路線 161 区間 254 橋
中会社 東海北陸自動車道 東海北陸自動車道 一宮 JCT 岐阜各務原 IC 4 10 8 20
美並 IC 郡上八幡 IC 1 2
関 IC 美濃関 JCT 1 2
五箇山 IC 小矢部砺波 JCT 2 6
近畿自動車道伊勢線 伊勢自動車道 久居 IC 一志嬉野 IC 1 3 2
勢和多気 IC 玉城 IC 2 2
一般国道1号(新湘南バイパス) 新湘南バイパス 藤沢 IC 茅ヶ崎中央 IC 1 1
3 路線 12 区間 22 橋
西会社 中央自動車道西宮線 名神高速道路 八日市 IC 大津 IC 7 20 12 34
京都東 IC 京都南 IC 1 4
大山崎 JCT 吹田 JCT 3 4
吹田 IC 豊中 IC 1 6
近畿自動車道天理吹田線 西名阪自動車道
近畿自動車道
摂津南 IC 門真 IC 2 2 8 16
法隆寺 IC 天理 IC 2 4
東大阪北 IC 長原 IC 4 10
近畿自動車道松原那智勝浦線 阪和自動車道 美原南 IC 堺 JCT 1 4 8 44
堺 IC 泉佐野 JCT 3 36
阪南 IC 海南東 IC 4 4
近畿自動車道敦賀線 舞鶴若狭自動車道 三田西 IC 福知山 IC 3 30 6 30
舞鶴西 IC 小浜西 IC 3
中国縦貫自動車道 中国自動車道 中国池田 IC 神戸 JCT 4 22 18 52
滝野社 IC 加西 IC 1 2
福崎 IC 佐用 IC 4 6
新見 IC 東城 IC 1 2
庄原 IC 高田 IC 3 4
広島北 JCT 鹿野 IC 4 16
徳地 IC 山口 IC 1
山陽自動車道吹田山口線 山陽自動車道 神戸 JCT 三木 JCT 2 12 36 323
三木東 IC 龍野西 IC 6 54
備前 IC 山陽 IC 2 26
岡山 IC 岡山 JCT 1 10
倉敷 IC 福山西 IC 5 73
尾道 IC 広島東 IC 7 46
広島 IC 廿日市 JCT 3 29
大竹 JCT 山口 JCT 9 67
神戸西 IC 三木 JCT 1 6
中国横断自動車道姫路鳥取線 播磨自動車道 播磨 JCT 播磨新宮 IC 1 2
注(4) (1)
2
注(4) (2)
宍粟 JCT 佐用 JCT 1
注(4) (1)
2
注(4) (2)
中国横断自動車道岡山米子線 岡山自動車道
米子自動車道
賀陽 IC 北房 JCT 2 6 6
湯原 IC 米子 IC 4 6
中国横断自動車道広島浜田線 広島自動車道
浜田自動車道
広島北 IC 広島 JCT 2 22 6 24
千代田 JCT 浜田 JCT 4 2
四国縦貫自動車道 徳島自動車道
松山自動車道
藍住 IC 川之江東 JCT 5 7 8 15
いよ西条 IC いよ小松 JCT 1 2
松山 IC 内子五十崎 IC 2 6
四国横断自動車道阿南四万十線 高松自動車道
高知自動車道
高松西 IC 善通寺 IC 2 2 5 6
土佐 IC 須崎東 IC 1
新宮 IC 大豊 IC 1
高知 IC 伊野 IC 1 4
九州縦貫自動車道鹿児島線 九州自動車道 新門司 IC 若宮 IC 6 38 18 166
福岡 IC みやま柳川 IC 7 38
松橋 IC えびの IC 4 88
薩摩吉田 IC 鹿児島北 IC 1 2
九州横断自動車道長崎大分線 長崎自動車道
大分自動車道
鳥栖 IC 諫早 IC 9 88 20 173
鳥栖 JCT 玖珠 IC 7 63
九重 IC 湯布院 IC 1 2
速見 JCT 大分 IC 3 20
東九州自動車道 東九州自動車道 速見 JCT 大分 IC 3
注(5) (3)
20
注(5) (20)
4
注(5) (3)
20
注(5) (20)
宮崎西 IC 清武 IC 1
関西国際空港線 関西空港自動車道 上之郷 IC りんくう JCT 2 4 2 4
関門自動車道 関門橋 門司港 IC 門司 IC 1 1
沖縄自動車道 沖縄自動車道 石川 IC 北中城 IC 3 10 3 10
一般国道1号(京滋バイパス) 京滋バイパス 瀬田東 IC 笠取 IC 3 20 3 20
一般国道2号(第二神明道路) 第二神明道路 大蔵谷 IC 伊川谷 JCT 1 2 4 16
玉津 IC 明石西 IC 2 8
長坂 IC 永井谷 JCT 1 6
一般国道2号(広島岩国道路) 広島岩国道路 大野 IC 大竹 JCT 2 26 2 26
一般国道3号(南九州西回り自動車道(八代日奈久道路)) 南九州自動車道(八代日奈久道路) 八代 JCT 八代南 IC 1 2 1 2
一般国道3号(南九州西回り自動車道(市来〜鹿児島西)) 南九州自動車道(鹿児島道路) 伊集院 IC 鹿児島西 IC 2 2 2 2
一般国道9号(安来道路) 山陰道(安来道路) 米子西 IC 東出雲 IC 2 2
一般国道10号(椎田道路) 椎田道路 みやこ豊津 IC 椎田南 IC 3 3
一般国道10号(宇佐別府道路) 宇佐別府道路 宇佐 IC 速見 IC 4 4
一般国道10号(日出バイパス) 日出バイパス 速見 IC 日出 IC 1 1
一般国道10号(隼人道路) 隼人道路 隼人東 IC 加治木 IC 2 2
一般国道24号(京奈和自動車道(京奈道路)) 京奈和自動車道(京奈道路) 城陽 JCT 木津 IC 6 4 6 4
一般国道34号(長崎バイパス) 長崎バイパス 川平 IC 西山町 IC 1 1
一般国道196号(今治・小松自動車道(今治小松道路)) 今治小松自動車道 いよ小松 JCT いよ小松北 IC 1 1
一般国道478号(京都縦貫自動車道) 京都縦貫自動車道(京都丹波道路) 沓掛 IC 千代川 IC 4 14 6 14
八木西 IC 丹波 IC 2
一般国道497号(西九州自動車道(武雄佐世保道路)) 西九州自動車道(武雄佐世保道路) 武雄南 IC 佐世保大塔 IC 3 8 3 8
32 路線 200 区間 995 橋
本四会社 一般国道28号(本州四国連絡道路(神戸・鳴門ルート)) 神戸淡路鳴門自動車道 布施畑 IC 垂水 IC 1 2 5 58
淡路 IC 洲本 IC 4 56
一般国道30号(本州四国連絡道路(児島・坂出ルート)) 瀬戸中央自動車道 水島 IC 児島 IC 1 16 1 16
一般国道317号(本州四国連絡道路(尾道・今治ルート)) 西瀬戸自動車道 西瀬戸尾道 IC 尾道大橋出入口 1 2
因島北 IC 因島南 IC 1
3 路線 8 区間 74 橋
4 会社合計 67 路線 381 区間 1345 橋
  • 注(1) 区間とは、インターチェンジ又はジャンクション間を指す。
  • 注(2) 分離橋りょう数は、工事契約未締結である橋りょう数を示しており、区間内に分離橋りょうが設置されていない場合は「―」としている。
  • 注(3) 当該区間は、いずれも東北横断自動車道酒田線庄内空港IC~酒田中央ICの各区間と重複している。
  • 注(4) 当該区間及び分離橋りょうは、いずれも中国縦貫自動車道福崎IC~佐用ICの各区間及び当該区間における該当分離橋りょうと重複している。
  • 注(5) 当該区間及び分離橋りょうは、いずれも九州横断自動車道長崎大分線速見JCT~大分ICの各区間及び当該区間における該当分離橋りょうと重複している。

(2) 分離橋りょうの上下線の2橋の橋脚補強を同時に実施していた事態

(1)のとおり、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等が多数見受けられたことから、前記4,454橋のうち分離橋りょう1,873橋について、4会社における橋脚補強の実施状況をみたところ、表3のとおり、橋脚補強を実施している528橋全てについて、並行する上下線の2橋の橋脚補強を同時に実施していた(橋脚補強等に係る契約計123件、契約金額計3504億1622万余円(東会社8件470億7365万余円、中会社13件264億0124万余円、西会社89件2543億0175万余円、本四会社13件226億3957万余円))。

一方、4会社は、これまでの高速道路の整備に当たり、限られた財源の中で効率的に路線を延伸させて早期に高速道路ネットワークを構築するためとして、予定していた4車線のうち2車線を暫定的に整備して段階的に供用を開始(以下、当該段階を「暫定整備段階」という。)し、その後に4車線として完成させる整備手法を用いてきた経緯がある。

しかし、4会社は、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等の早期の解消に当たっては、前記のとおり、4年度末でいまだ橋脚補強の工事契約の締結に至っていない橋りょうが多く見受けられる状況にもかかわらず、上記の高速道路を整備する際に用いたような、暫定的に上下線のいずれか一方の分離橋りょうの橋脚補強を実施する整備手法を用いていなかった。

4会社においては、(1)のとおり、4年度末において3,059橋が工事契約の締結に至っていない。これらの中には複数の橋脚からなる多径間連続の橋りょうが存在するなどのため、これらの橋脚補強を完了させて、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等が解消するまでには相当の期間を要することが見込まれる。このような中で、今後、4会社が、前記の工事契約の締結に至っていない分離橋りょう1,345橋の橋脚補強を進めるに当たっては、高架下の占用許可物件の移設や大規模な工事用道路の設置及び撤去が必要になるなどの施工上の制約により多額の仮設費用を伴う場合等があることを踏まえる必要があるものの、暫定的に上下線のいずれか一方の橋りょうの橋脚補強を実施するという効率的な整備手法を用いることにより、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等を早期に解消し、地震時に緊急車両の通行帯を確保するなど、緊急輸送道路としての高速道路ネットワークを機能させることができると認められる。

表3 地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等における分離橋りょうの橋脚補強の実施状況(令和4年度末現在)

(単位:橋)
会社名 分離橋りょう 工事完了又は工事中 工事契約未締結
上下線の一方の
橋脚補強を実施
上下線の2橋同時に
橋脚補強を実施
東会社 274 0 20 254
中会社 88 0 66 22
西会社 1,375 0 380 995
本四会社 136 0 62 74
1,873 0 528 1,345

(3) 機能回復性能が確保された橋りょうが並行して設置されているのに暫定整備段階で設置した橋りょうの橋脚補強を実施していた事態

段階的に整備を進めて4車線化した区間の橋りょうの中には、暫定整備段階において平成8年の改訂より前の示方書を適用して設計されるなどして機能回復性能が確保されていない橋りょうがある。一方、その後車線を追加して整備する段階において、8年の改訂以降の示方書を適用して設計されるなどして既に機能回復性能が確保されている橋りょうが並行して設置されている場合があり、このような場合には、暫定整備段階に設置された橋りょうの橋脚が損傷したとしても当該橋りょうに起因して地震時のミッシングリンクが生ずるおそれはないことになる。

そこで、前記4,454橋のうち、上記の条件に該当する8年の改訂より前の示方書を適用して設計されるなどしていた295橋における橋脚補強の実施状況をみたところ、3会社は、表4のとおり、89橋について橋脚補強を実施していた(橋脚補強等に係る契約計39件、契約金額計936億7941万余円(東会社7件181億0974万円、中会社13件253億7022万余円、西会社19件501億9944万余円))。

表4 機能回復性能が確保された橋りょうが並行して設置されている区間に暫定整備段階で設置された橋りょうの橋脚補強の実施状況(令和4年度末現在)

(単位:橋)
会社名 橋脚補強の対象 工事完了又は工事中 工事契約未締結
東会社 97 10 87
中会社 74 34 40
西会社 124 45 79
295 89 206

このように、3会社は、機能回復性能が確保された車線を追加して整備した後は地震時のミッシングリンクが生ずるおそれはないにもかかわらず、暫定整備段階に設置された橋りょうの橋脚補強を実施していた。

一つの契約で(2)及び(3)の事態が重複しているものを控除して各事態の橋脚補強等に係る契約について合計すると、契約計149件、契約金額計4129億9133万余円(東会社14件602億8839万余円、中会社24件476億2886万余円、西会社98件2824億3449万余円、本四会社13件226億3957万余円)となる。

(改善を必要とする事態)

4会社は、橋脚補強を計画的に進めて早期に完了することを目指しているにもかかわらず、多くの区間等において地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある状況下において、橋脚補強の実施に当たり、分離橋りょうについて暫定的に上下線いずれか一方の橋りょうの橋脚補強を実施するという効率的な整備手法を用いていなかった。また、3会社は、段階的に4車線化した区間の橋りょうについて、機能回復性能が確保された車線を追加して整備した後は地震時のミッシングリンクが生ずるおそれはないにもかかわらず、暫定整備段階に設置された橋りょうの橋脚補強を実施していた。

このように、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等を早期に解消させるための整備手法を用いていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、4会社において、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等を早期に解消させるための橋脚補強の効率的な整備手法について検討を行うことの重要性に対する認識が欠けていることなどによると認められる。

3 本院が表示する意見

我が国では、今後も大規模地震の発生が想定されている。このような中、地震発生後に速やかに災害応急対策活動を行えるように高速道路が緊急輸送道路として機能することが重要であることから、4会社は、地震時のミッシングリンクを早期に解消するために、引き続き橋脚補強を推進していくこととしている。

ついては、4会社において、地震時のミッシングリンクが生ずるおそれがある区間等を早期に解消させるために、現地の条件等を踏まえた橋脚補強の効率的な整備手法について検討を行い、今後の整備手法の方針等を決定し各支社等に対して通知するなどの措置を講ずるよう意見を表示する。