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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和5年2月

放射性物質汚染対処特措法3事業等の入札、落札、契約金額等の状況に関する会計検査の結果について


別図表2-3 受注者が除染工事等の実施に当たり契約図書の内容に違反した行為を行っていた事案の概要

事案の概要 注(1) 事案の発生を受けて発注者及び環境省が講じた措置 受注者の事業実施体制等
指名停止等の措置 監督等の仕組みの見直し 事案の発生を受けて受注者等が講じた措置
(事案No.1)
  • 契約名:第1-4号 田村市生活圏域等除染業務委託(優先地域)
  • 発注者:福島県田村市 受注者:田村市復興事業組合
  • 契約期間:平成25年4月から27年3月まで
  • ・契約図書では除去土壌等は指定された一時保管所へ運搬することとされていたが、1次下請業者の協力会社の作業員は、同協力会社の作業指揮者の指示を受けて除去土壌を不法に埋設
  • ・同協力会社の代表取締役及び当該作業指揮者は放射性物質汚染対処特措法違反の容疑で起訴
【発覚した契機及び時期】

一般国民から不適正な除染に関する通報を受け付けるために環境省が設置した「不適正除染110番」への通報(26年5月)

【田村市】
  • ・受注者の構成員1社に対して3か月の指名停止措置
  • ・受注者、1次下請業者及び1次下請業者の協力会社に対しては措置なし(いずれも有資格者(注(2))ではなかったため)
【環境省】

なし(受注者の構成員1社は有資格者(注(2))ではなかったため。受注者、1次下請業者及び同協力会社はいずれも田村市が指名停止措置を講じていなかったため)

【田村市】

再発防止通知(監視体制等の強化、構成団体への指導徹底)を受注者に対して発出(26年5月)

【環境省】

田村市に対して、監督及び検査の方法や再発防止等について報告を求めるとともに、再発防止策の実施状況の報告を行うよう依頼(26年5月、同年6月)

  • ・受注者は、2次下請以降の下請業者も含めた施工体制台帳を作成して発注者に提出
  • ・受注者は、下請業者に対して施工計画書等に基づく作業方法を指示
  • ・受注者は、現場パトロールを強化
  • ・不法埋設された除去土壌は、受注者負担で一時保管所に運搬
(事案No.2)
  • 契約名:平成25年度南相馬市除染等工事(その2)
  • 発注者:福島事務所 受注者:大成・五洋・日本国土・佐藤工業・三菱マテリアル特定建設工事共同企業体
  • 契約期間:平成25年12月から28年3月まで
  • ・契約図書では除去土壌等のうち倒木等は指定された仮置場に運搬することとされていたが、2次下請業者の作業員は、倒木等を不法に埋設
  • ・当該作業員は、放射性物質汚染対処特措法違反の容疑で逮捕及び起訴
【発覚した契機及び時期】

当該2次下請業者から受注者への通報(27年2月)

【環境省】

受注者、受注者の構成員5社、当該2次下請業者及び当該2次下請業者に作業方法の指示を行っていた1次下請業者に対して、それぞれ、6週間の指名停止措置

【環境省】
  • ・第4回除染適正化推進委員会に本件事案等を報告して事業者に対して周知(27年4月)
  • ・本件契約において委託監督員を2名増員してパトロールを強化(27年4月)
  • ・受注者は、下請業者との契約において法令遵守の義務を規定
  • ・受注者は、作業員に対して廃棄物の適切な取扱いなど事業実施に係る指導を実施
  • ・受注者は、作業員が施工体制台帳に記載された下請業者に所属していることを確認
  • ・受注者は、除染作業の各段階において現場確認
  • ・不法埋設された倒木等は、受注者負担で仮置場に運搬
  • ・当該2次下請業者は、現場パトロールを強化
(事案No.3)
  • 契約名:一般住宅等除染業務委託(9-11工区)
  • 発注者:福島県郡山市 受注者:機動・みちのく除染業務共同企業体
  • 契約期間:平成26年10月から28年3月まで

契約図書では除去土壌等を発生した敷地内で保管することとされていたが、4次下請業者の作業員は、除去土壌等を自社に持ち帰った。その後、除去土壌等と別の廃棄物を運搬車両に混載して、産業廃棄物処理事業者に対して除去土壌等が含まれていることを伝えることなく処分を依頼。産業廃棄物処理事業者は、廃棄物を最終処分場に持ち込んだところ、線量が受入基準値を超えていたことから除去土壌等の引き取りを拒否されたため、除去土壌等をいわき市内に不法に投棄

【発覚した契機及び時期】

いわき市への住民からの通報(27年12月)

【郡山市】

措置なし(注(3)

【環境省】

措置なし(郡山市が指名停止措置を講じていなかったため)

【郡山市】
  • ・再発防止通知(除去土壌等の適正な取扱いに関する研修の実施等依頼)を事業者に対して発出
  • ・本件を把握した時点で郡山市による除染工事の発注は完了していて今後発注する予定はないとして、受注者に対して再発防止策を求めていなかった。
【環境省】

郡山市に対して、監督、検査の方法や再発防止等について報告を求めるとともに、再発防止策の実施状況の報告を行うよう依頼(28年7月)

  • ・受注者は、下請業者との契約において法令遵守の義務を規定
  • ・受注者は、2次下請以降の下請業者も含めた施工体制台帳を作成して発注者に提出
  • ・受注者は、下請業者に対して施工計画書等に基づく作業方法を指示
  • ・不法投棄された除去土壌等は、受注者負担で除去土壌等が発生した敷地に搬入して地下保管
  • ・当該4次下請業者は、作業員に対して廃棄物の適切な取扱いに関して再教育
(事案No.4)
  • 契約名:①平成29年度大熊町汚染廃棄物対策地域における被災建物等解体撤去等工事
    ②平成29年度大熊町汚染廃棄物対策地域における被災建物等解体撤去等工事(その2)
  • 発注者:福島事務所 受注者:清水建設株式会社
  • 契約期間:①平成29年4月から29年11月まで
    ②29年11月から30年3月まで
  • ・契約図書では解体廃棄物は指定された仮置場に運搬することとされていたが、1次下請業者、2次下請業者及び3次下請業者の作業員計3名は、解体廃棄物を解体工事現場に不法に投棄
  • ・当該作業員は、放射性物質汚染対処特措法違反の容疑で起訴
【発覚した契機及び時期】

受注者への通報(30年3月)

【環境省】
  • ・受注者、当該1次下請業者及び当該3次下請業者に対して文書による注意
  • ・当該2次下請業者に対しては措置なし(有資格者(注(2))ではなかったため)
【環境省】
  • ・再発防止通知(解体廃棄物の適正処理の徹底、下請業者に対する適切な指導)を事業者に対して発出(30年10月)
  • ・汚染廃棄物対策地域における被災建物等解体撤去等工事において、委託監督員による不定期のパトロールを行うとともに、各施工段階において委託監督員による確認を実施(30年6月)
  • ・受注者は、下請業者との契約において法令遵守の義務を規定
  • ・受注者は、作業員に対して廃棄物の適切な取扱いなど作業実施に係る指導を実施
  • ・受注者は、作業員が施工体制台帳に記載された下請業者に所属していることを確認
  • ・受注者は、解体廃棄物の解体現場にカメラを設置して解体作業を監視する体制を構築
  • ・不法投棄された解体廃棄物は、受注者負担で仮置場に運搬
  • ・当該3次下請業者は、作業員に対して解体廃棄物の適切な取扱いに関して再教育
(事案No.5)
  • 契約名:平成29年度富岡町汚染廃棄物対策地域における被災建物等解体撤去等工事(その2)
  • 発注者:福島事務所 受注者:鹿島・三井住友・飛島特定建設工事共同企業体
  • 契約期間:平成29年12月から31年3月まで
  • ・契約図書では解体廃棄物は指定された仮置場に運搬することとされていたが、1次下請業者の作業員は、解体廃棄物を不法に投棄
  • ・当該作業員は放射性物質汚染対処特措法違反の容疑で書類送致
【発覚した契機及び時期】

当該1次下請業者から相談を受けた弁護士が受注者に相談(令和元年5月)

【環境省】
  • ・受注者の構成員3社に対して文書による注意
  • ・当該1次下請業者に対しては措置なし(有資格者(注(2))ではなかったため)
【環境省】

なし

  • ・受注者は、下請業者との契約において法令遵守の義務を規定
  • ・受注者は、作業員に対して廃棄物の適切な取扱いなど事業実施に係る指導を実施
  • ・受注者は、作業員が施工体制台帳に記載された下請業者に所属していることを確認
  • ・受注者は、解体廃棄物の運搬車両に走行履歴を記録する装置を搭載して目的地以外への立ち寄りを監視
  • ・不法投棄された解体廃棄物は、受注者負担で仮置場に運搬
  • 注(1) 事案の概要は、除染適正化推進委員会資料、受注者が発注者に対して提出した報告書等を基に記述している。
  • 注(2) 有資格者とは、発注者の規程において指名停止等の措置を行う要件とされている工事競争参加有資格者等を表している。
  • 注(3) 郡山市は、除染事業の実施に当たって施工業者を広く募る必要があり、指名競争入札参加登録制度の登録業者であることを参加要件としていなかったことから、不適切な事態が発生した場合の処分に際して「郡山市工事等請負契約に係る指名停止等措置要綱」(平成13年4月制定)を適用しなかったとしている。