ワクチン接種事業の実施状況等については、これまでに国民の多くがワクチン接種を受けており、また、多額の国費を投入して実施されている事業であることなどから国会等において様々な議論がなされるなど、国民の関心が高いものとなっている。
そこで、会計検査院は、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、ワクチン接種事業の実施状況等について、次の点に着眼するなどして検査した。
ア ワクチン接種事業に係る予算及び決算の状況はどのようになっているか。
イ ワクチン接種の実施状況はどのようになっているか。
ウ ワクチンの確保、管理、配布等の状況はどのようになっているか。
エ ワクチン接種で使用する物品の調達、配布等の状況はどのようになっているか。
オ 補助金等の交付を受けて都道府県及び市町村が実施するワクチン接種事業(以下「補助事業」という。)の実施状況はどのようになっているか。
カ 自衛隊によるワクチン接種の実施状況等はどのようになっているか。
キ ワクチン接種事業に係る国の情報システムの開発等の状況はどのようになっているか。
検査に当たっては、2、3両年度に実施されたワクチン接種事業(補助事業のうち4年度に繰り越したものなどを除く。)を対象として、デジタル庁(3年8月31日以前は内閣官房)、厚生労働本省、防衛省内部部局、陸幕、9部隊等(注14)、一般社団法人新薬・未承認薬等研究開発支援センター(注15)、11都府県(注16)、57市区町村、デジタル庁の業務委託先3社(注17)、厚生労働省の業務委託先4社(注18)及び防衛省の業務委託先2社(注19)において、契約書、支払関係書類、事業実績報告書等の関係書類により会計実地検査を行うとともに、上記の11都府県を含む47都道府県及び上記の57市区町村を含む305市区町村から調書の提出を受けてその内容を確認するなどして検査した。なお、一部のワクチン接種事業の実施状況については、把握できる範囲において、4年度の状況についても検査した。