• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第1 内閣府(警察庁)
  • 令和5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

犯罪被害者等給付金の支給に伴い国が取得する損害賠償請求権の債権管理について


1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

警察庁は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号。以下「犯給法」という。)に基づき、犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族又は重傷病を負い若しくは障害が残った者に対して犯罪被害者等給付金(以下「給付金」という。)を支給している。犯給法によれば、給付金の支給を受けようとする者から申請があった場合、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、給付金を支給し又は支給しない旨の裁定を行うために、犯罪捜査の権限のある機関等に照会して必要な事項の報告を求めることなど(以下「裁定のための調査等」という。)ができることとされている。また、申請に関する事務の処理等を行う都道府県警察本部は、裁定のための調査等として、申請事案についてその事実関係、加害者の資力等を調査して、収集した資料(以下「裁定のための収集資料」という。)に基づき整理検討した調書(以下「裁定に係る調書」という。)を作成し、給付金の支給額を定めるなどして作成した裁定案を裁定に係る調書等とともに公安委員会に提出することとなっている。そして、公安委員会において裁定が行われた後、都道府県警察本部は、同庁に対して、裁定に係る調書等(裁定のための収集資料を除く。)を送付することとなっている。また、犯給法によれば、国は、給付金を支給したときは、その額の限度において、当該給付金の支給を受けた者が加害者に対して有する犯罪被害の損害賠償請求権を取得することとされている(以下、国が取得する損害賠償請求権を「求償権」という。)。そして、国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)等によれば、歳入徴収官等は、その所掌に属すべき債権が発生したときなどは、遅滞なく、債権金額等を調査し、確認の上、債権管理簿に記載するなどしなければならず、その履行を請求するために、債務者に対して納入の告知をしなければならないこととされており、国が行う納入の告知は時効の更新の効力を有することとされている。

しかし、同庁において、求償権に係る債権金額等を債権管理簿に記載していないなどの事態、時効の更新の効力を有する納入の告知等を行っていなかったことにより加害者が時効を援用できる状態になっている事態及び裁定のための調査等の結果を債権金額等の調査確認に十分活用していない事態が見受けられた。

したがって、警察庁長官に対して令和6年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

ア 給付金を支給して、国に帰属した求償権に係る債権金額等を債権管理簿に適切に記載すること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 求償権に係る債権の帰属を歳入徴収官等に通知する者を定めた上で速やかに債権の帰属を歳入徴収官等に通知して、裁定に係る調書における加害者の資力に関する事項を十分活用して債権金額等の調査確認を行った上で加害者に対する納入の告知を行い、無資力等の状態である加害者については債権の履行期限を延長する特約又は処分(以下「履行延期の特約等」という。)をするなど適時適切な債権管理を行うための事務処理体制を整備すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

ウ 求償権に係る債権管理に十分活用するために、裁定のための収集資料における加害者の資力に関する事項について、裁定に係る調書に適切に記載するよう都道府県警察に周知すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)

2 当局が講じた処置

本院は、警察庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、警察庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 平成30年度から令和4年度までの間に給付金を支給したことにより国に帰属した求償権に係る債権金額等を7年2月までに債権管理簿に適切に記載するなどした。

イ 7年6月に債権管理マニュアルを策定して、求償権に係る債権の帰属を歳入徴収官等に通知する者を官署支出官と定め、債権の帰属が速やかに歳入徴収官等へ通知されるようにして、裁定に係る調書における加害者の資力に関する事項を十分活用して債権金額等の調査確認を行った上で加害者に対する納入の告知を行い、無資力等の状態である加害者については履行延期の特約等をするなど適時適切な債権管理を行うための事務処理体制を整備した。

ウ 6年12月までに、給付金に係る事務処理要領等を改正し、裁定のための調査等における調査事項を追加するなどするとともに、都道府県警察の担当者等を対象とした会議を開催して、求償権に係る債権管理に十分活用するために、裁定のための収集資料における加害者の資力に関する事項について、裁定に係る調書に適切に記載するよう都道府県警察に周知した。