• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第6 厚生労働省
  • 令和5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 雇用保険の人材開発支援助成金の支給について


令和5年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び改善の処置

厚生労働省は、雇用保険で行う事業である能力開発事業の一環として、雇用保険法(昭和49年法律第116号)等に基づき、労働者の職業能力開発に係る職業訓練又は教育訓練を実施した事業主に対して、これらの訓練に要した経費等を助成する人材開発支援助成金(以下「助成金」という。)を支給している。雇用関係助成金支給要領(以下「要領」という。)によれば、助成金の支給要件として、事業主が職業訓練又は教育訓練に要した経費(以下「訓練経費」という。)を全て負担していることが必須であるなどとされている。

しかし、助成金の支給に当たり、事業主が訓練実施機関から訓練経費の一部を負担するための入金を受けることにより、訓練経費の全てを負担していない事態、及び事業主が教育訓練に関連する役務の提供を実施して訓練実施機関又は訓練実施機関の関連団体等(以下、合わせて「訓練実施機関等」という。)から入金を受けることにより、実態として訓練経費の全てを負担していないと認められる事態、並びに都道府県労働局(以下「労働局」という。)における支給決定に係る審査及び支給決定後に実地等により行う調査(以下「実地調査」という。)の際に、訓練実施機関等から事業主に対する入金の有無の確認が行われていない事態が見受けられた。

したがって、厚生労働大臣に対して令和6年10月に、次のとおり是正及び改善の処置を要求した。

ア 訓練経費の全てを負担していなかった2事業主について、事実関係を確認するなどした上で、不適正と認められる助成金を返還させる措置を講ずること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求したもの)

イ 事業主と訓練実施機関等との間で教育訓練に関連する役務契約が締結され、訓練実施機関等から事業主に対する入金があった際の取扱いを明確にし、実態として事業主が訓練経費の全てを負担していない場合に適切に対処できるよう要領等を見直すとともに、見直し後の要領等や訓練経費の負担に係る具体的な考え方等を、労働局を通じるなどして事業主に対して周知すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

ウ 労働局における支給決定に係る審査及び実地調査において、助成金の不正受給・不適正支給防止の実効性を確保するため、訓練実施機関等から事業主に対する入金の有無等を適切に確認できるような審査方法及び調査方法を助成金の不正受給防止等に係るマニュアル等(以下「マニュアル等」という。)に新たに定めること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 訓練経費の全てを負担していなかった2事業主について事実関係を確認した結果、支給した助成金全額が不適正と認められたことから、7年3月までに、2事業主から同額を返還させた。

イ 6年11月に要領を改正して、教育訓練に関係する広告宣伝業務(訓練成果等に関するレビューの提供等)の対価として訓練実施機関等から金銭を受け取るなどしていて、実態として事業主が訓練経費の全てを負担していない場合には、当該訓練の訓練経費は助成の対象とならないことを定め、事業主と訓練実施機関等との間で教育訓練に関連する役務契約が締結され、訓練実施機関等から事業主に対する入金があった際の取扱いを明確にした。そして、上記要領改正の内容や訓練経費の負担に係る具体的な考え方等をまとめたリーフレットを作成して、ウェブサイトで公表するとともに、労働局から事業主に助成金関連の書類を郵送する際に同封することなどにより、事業主に対して周知した。

ウ 6年11月にマニュアル等を改正して、労働局における支給決定に係る審査及び実地調査において、助成金の不正受給・不適正支給防止の実効性を確保するために、訓練実施機関等から事業主に対する入金の有無等を適切に確認できるような審査方法及び調査方法として、具体的な調査の対象、時期、観点、調査手法や留意事項を新たに定めた。