• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第6 厚生労働省
  • 令和5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付に係るフォローアップ支援の体制整備等の状況について


令和5年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

厚生労働省は、都道府県の社会福祉協議会(以下「都道府県社協」という。)が実施する生活福祉資金貸付事業の貸付原資等として補助金を交付する都道府県に対して、生活困窮者就労準備支援事業費等補助金を交付している。そして、同省は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付(以下「コロナ特例貸付」という。)を都道府県社協に実施させている。都道府県社協は、長期にわたる償還期間の債権管理等に係る事務の実施に当たり、「生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の会計処理について」に基づき、令和5年度以降に必要な費用として見込まれる額を一括して4年度末に積み立てることとなっており(以下、積み立てた額を「債権管理積立額」という。)、コロナ特例貸付の財源は、通常の貸付け(以下「通常貸付」という。)とは異なる財源であることなどから適切に管理する必要があるとされている。同省は、生活保護制度において保護を受けている者(以下「生活保護受給者」という。)は既に最低限度の生活が保障されていることから、コロナ特例貸付の貸付けに際しての要件として、生活保護を現に受けることができず、生活費を賄うことができないことなどを定めている。また、同省は、都道府県社協等に対して、「緊急小口資金等の特例貸付の借受人へのフォローアップ支援について」等を発出し、償還免除者及び滞納者に対して、可能な限り訪問等のアウトリーチによる積極的なフォローアップ支援(以下「フォローアップ支援」という。)を実施すること、フォローアップ支援の実施に当たっては、都道府県社協の主導により、都道府県社協と市町村(特別区を含む。)の社会福祉協議会(以下「市町村社協」という。)との役割の整理を行うことなどの検討を行い、市町村社協等の関係機関との連携体制づくりを行うことなどを定めている。

しかし、都道府県社協において、フォローアップ支援の実施体制が整備されておらず、フォローアップ支援が十分に実施されていない事態、債権管理積立額の状況等を確認し、検証するなどの体制が整備されておらず、債権管理積立額が適切に管理されていない事態、及び借入申込者等が生活保護受給者かどうかについての確認体制が整備されておらず、貸付対象とならない生活保護受給者に貸付けが行われていた事態が見受けられた。そして、同省は、これらの事態に係る本院の指摘を受けて、コロナ特例貸付について、貸付対象とならない生活保護受給者に対する事後確認を行う体制を整備することとして、6年9月に都道府県等及び都道府県を通じて都道府県社協に対して、事後確認等を実施する旨の事務連絡を発出し、その方法を明示するなどして事後確認等を行える体制を整備させるとともに、コロナ特例貸付に係る収入について福祉事務所への未申告等が判明した場合には、生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づき適切に対応するための具体的な対応方針を周知した。

したがって、上記の貸付対象とならない生活保護受給者に対する事後確認を行う体制の整備等に加えて、今後、フォローアップ支援、債権管理積立額の管理等が適切に行われるよう、厚生労働大臣に対して同年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり意見を表示した。

ア 都道府県社協に対して、都道府県社協と市町村社協等との役割や役割に応じた実施方法を整理し、明確にして、委託等によりフォローアップ支援を実施する場合には、役割に応じた実施方法を委託契約書、仕様書等に明示するよう指導すること

イ 都道府県社協が適切にフォローアップ支援等の事業を実施していくことができるよう、厚生労働省又は都道府県において、適時適切に債権管理積立額の状況等を確認し、検証するなどの体制を整備すること

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 6年12月に都道府県等に対して事務連絡を発し、都道府県を通じて都道府県社協に対して、フォローアップ支援の実施に当たり、支援の方針等を検討し、各地域の借受人の状況等を踏まえつつ都道府県社協と市町村社協等の関係機関との役割や役割に応じた実施方法を整理し、明確にして、委託等によりフォローアップ支援を実施する場合には、支援の対象者や当該明確にした役割に応じた実施方法等を委託契約書、仕様書等に具体的に記載するよう指導するとともに、役割に応じた実施方法等を記載した委託契約書等の例を示した。

イ 7年3月に都道府県に対して通知を発し、都道府県社協が適切にフォローアップ支援等の事業を実施していくことができるよう、都道府県社協に、コロナ特例貸付と通常貸付の経理を明確に区分させた上で、7年度以降毎年度、都道府県に対して債権管理積立額の残高等を報告させることとするとともに、都道府県において、都道府県社協からの報告について確認し、検証を行った上で厚生労働省に対して報告させることとする体制を整備した。