厚生労働省は、毎年度、事業主(注)が納付することとなっている労働者災害補償保険及び雇用保険(以下、両保険を合わせて「労働保険」という。)の保険料の納付に係る一連の事務(以下「年度更新」という。)の際に使用する概算保険料申告書及び確定保険料申告書(以下、これらを合わせて「申告書」という。)や記入要領等を事業主に対して郵送しており、郵送するに当たって必要となる申告書の印刷等の業務(以下「本件業務」という。)を会社に請け負わせて実施している。そして、平成16年度の年度更新から、オンラインによる申告書の提出(以下、この提出を「電子申請」という。)を開始しており、令和2年4月1日以降、資本金、出資金等の額が1億円を超える法人等(以下「特定事業主」という。)について、電子申請を義務化している。また、8年度末までに特定事業主以外の事業主(以下「非特定事業主」という。)も含めた全事業主の電子申請の利用率を30%とする目標を掲げて、事業主に対して電子申請を利用するよう促しており、電子申請を行う事業主が増加している。
しかし、同省において、特定事業主について、申告書や記入要領等の郵送の取りやめに関する具体的な検討を行わないまま、郵送を継続している事態、及び電子申請を行った非特定事業主について、郵送を取りやめる事業主の条件等を含めた申告書や記入要領等の郵送の取りやめに関する具体的な検討を行わないまま、郵送を継続している事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、電子申請の義務化や利用状況等に応じて、本件業務が経済的に実施されるよう、電子申請が義務化された特定事業主や電子申請を行った非特定事業主について、申告書や記入要領等の郵送の取りやめに関する具体的な検討を行った上で、それらの郵送の取りやめ及び本件業務の見直しのための計画を策定するよう、厚生労働大臣に対して6年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、7年3月までに、申告書や記入要領等の郵送の取りやめに関する具体的な検討を行った上で、次の①及び②について定めた計画を策定する処置を講じていた。
① 特定事業主に対して8年度から郵送を取りやめること、また、特定事業主に対する郵送取りやめの影響も踏まえつつ、複数年度連続して電子申請を行った非特定事業主に対して10年度から郵送を取りやめること
② ①と併せて、郵送している申告書に記載されていて、事業主が電子申請を行う際に必要となる情報の通知を経済的に実施するなどの本件業務の見直しを行うこと