• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第7 農林水産省
  • 令和5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2) 独立行政法人農林漁業信用基金が行う農業信用基金協会に対する貸付金の規模について


1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、独立行政法人農林漁業信用基金(以下「信用基金」という。)に対して、出資金及び交付金(以下「出資金等」という。)を交付している。そして、信用基金は、出資金等を財源として、各都道府県に所在する農業信用基金協会(以下「協会」という。)に対して長期の資金を貸し付けている(以下、当該資金を「本件貸付金」といい、本件貸付金の貸付けを「本件貸付け」という。)。協会は、農業者等が農業近代化資金等を融資機関から借り入れるに当たり、その債務等を保証している。同省は、本件貸付金を原資として代位弁済(被保証者が債務不履行に陥った場合に、協会が当該被保証者に代わって債務の弁済を行うことをいう。以下同じ。)が行われることで、協会において新たな保証の引受けに支障が生じないようにしている。また、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)によれば、独立行政法人は、その保有する重要な財産であって主務省令で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、当該財産(以下「不要財産」という。)を処分しなければならないこととされており、不要財産であって、政府からの出資又は支出に係るものについては、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付することとされている。そして、本院は、本件貸付金及び国の出資金等が適切な規模のものとなるよう、農林水産大臣に対して、平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した(以下、この要求を「24年処置要求」という。)。

しかし、その後の状況について検査したところ、本件貸付金について、24年処置要求時の状況と比較しても、本件貸付けを行う必要性は低下してきているにもかかわらず、同省において、24年処置要求を受けて本件貸付金の規模を見直した後、その規模が引き続き見直されることなく、必要額を上回る貸付けが信用基金において行われている事態が見受けられた。

したがって、農林水産大臣に対して令和6年9月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 本件貸付金が有効に使用されるように各協会の代位弁済の見込みや財務状況を踏まえて本件貸付金の規模を見直し、各協会に真に必要な額の貸付けを信用基金に行わせること

イ アの結果、必要がないと認められる本件貸付金のうち、仮に更なる支援の必要が認められる協会がある場合に当該協会への貸付けに充てるなどしてもなお過大となる本件貸付金について、これに相当する国の出資金等を通則法に基づいて信用基金から国庫に納付させて、本件貸付金及び国の出資金等を適切な規模のものとすること

ウ ア及びイの本件貸付金及び国の出資金等の規模の見直しなどを適時適切に実施する体制を整備すること

2 当局の処置状況

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 本件貸付金の規模の見直しを行い、本件貸付けが各協会に真に必要な額となるようにした。

イ アの結果に基づき、7年1月に、信用基金に対して通知を発して、必要がないと認められる本件貸付金に相当する出資金218億7376万円を信用基金から国庫に納付させることとした。これを受けて、信用基金は、7、8両年度に出資金をそれぞれ109億3688万円ずつ国庫に納付することとする中期計画の変更について、7年3月に農林水産大臣及び財務大臣の認可を受けて、当該計画に基づき、出資金を国庫に納付することとした。

一方、農林水産省は、本件貸付金及び国の出資金等の規模の見直しなどを適時適切に実施する体制の整備について、引き続き検討して、信用基金等と調整の上、適切な処置を講ずることとしている。