• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第7 農林水産省
  • 令和5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(4) 水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業における漁業所得の算出について


1 本院が要求した改善の処置

水産庁は、水産物の安定供給の確保等の実現を図るなどのために、特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構(以下「機構」という。)に対して漁業経営安定対策事業費補助金を交付して水産業競争力強化基金(以下「基金」という。)を造成させている。機構は、基金を取り崩して助成を行う水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業(以下「漁船導入事業」という。)を実施している。漁船導入事業は、「水産関係民間団体事業実施要領の運用について」(以下「運用通知」という。)等に基づき、漁船を取得して中核的漁業者にリースにより貸付けを行う者(以下「事業主体」といい、事業主体から漁船を借り受ける中核的漁業者を「借受者」という。)に対して、事業主体が取得する漁船(以下「貸付対象漁船」という。)の取得費等の2分の1以内の金額を助成するものである。貸付対象漁船の貸付けを希望する者は、漁業所得の目標金額(以下、取組の目標として定められた数値目標を「KPI」という。)等を定め、5年以内にKPIの達成を目指すこととされている。漁業所得には、個人経営の借受者の場合は貸付対象漁船の漁業以外の用途での使用による収入及び支出を含めないこととされている。そして、運用通知によれば、同庁は、機構等に対して、漁船導入事業の実施に関して必要な指導及び監督を行うこととされている。

しかし、19事業主体の459借受者において漁業所得が適切に算出されておらず、KPIの達成状況が適切に把握されていない事態及びKPIの達成状況等を適切に把握するための指導等が十分に行われていない事態が見受けられた。

したがって、水産庁長官に対して令和6年5月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 漁業以外の用途や、個人経営の借受者が漁業所得として取り扱うべき収入及び支出の費目等を運用通知等に具体的に示し、その内容を機構から事業主体等に周知させること

イ 事業主体に貸付対象漁船の使用状況を定期的に確認させるとともに、事業主体に借受者の漁業所得の内容を十分確認させるように機構に対して指導等を行うこと

2 当局が講じた処置

本院は、水産庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、水産庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 6年11月に、漁業以外の用途や、個人経営の借受者が漁業所得として取り扱うべき収入及び支出の費目等を具体的に示した基準等を定めた上で、機構に対して事務連絡を発して、同年12月に基準等の内容を機構から事業主体等に周知させた。さらに、7年2月に、機構と共に事業主体等に対する説明会を開催して、基準等の内容について周知徹底を図った。

イ アの事務連絡等により、事業主体に貸付対象漁船の使用状況を少なくとも毎年1回確認させるとともに、事業主体に借受者の漁業所得の内容を十分確認させるように機構に対して指導等を行った。