• 令和6年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (2)補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

トイレ施設、ガス管等の移設に係る補償費の算定が適切でなかったもの[東北地方整備局、大阪府](204)(205)


(2件 不当と認める国庫補助金 19,857,468円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(204)
東北地方整備局
岩手県釜石市
社会資本整備総合交付金(効果促進)
元 37,300
(37,300)
18,650 6,934
(6,934)
3,467
(205)
大阪府
大阪府
治水ダム等建設
5 93,016
(93,016)
51,158 29,800
(29,800)
16,390
(204)(205)の計 130,316
(130,316)
69,808 36,734
(36,734)
19,857

大阪府は、治水ダム等建設事業を行うに当たって支障となるトイレ施設の所有者である茨木市に対して、また、釜石市は、避難路施設整備工事を行うに当たって支障となるガス管等の所有者であるガス事業者に対して、それぞれ支障となる施設の移設に要する費用を補償している。

大阪府及び釜石市は、本件補償費の算定について、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年閣議決定)、「公共補償基準要綱の運用申し合せ」(昭和42年用地対策連絡会。以下、これらを合わせて「公共補償基準」という。)等に基づき行うこととしている。

公共補償基準によれば、公共事業の施行に伴い、既存公共施設等の管理者が、機能の廃止等が必要となる既存公共施設等の代替の公共施設等を建設する場合においては、当該公共施設等を建設するために必要な費用から、既存公共施設等の機能廃止の時までの財産価値の減耗分(以下「減耗分」という。)を控除するなどして補償費を算定することとされている。そして、当該公共施設等を建設するために必要な費用は、原則として、既存公共施設等と同等の公共施設等を建設することにより機能回復を行う費用(以下「復成価格」という。)とされ、減耗分については、既存公共施設等の復成価格に基づき、経過年数、残価率等を考慮して算定することとされている。ただし、地方公共団体等が管理する既存公共施設等であって、やむを得ないと認められるときは、その限度において、減耗分の全部又は一部を控除しないことができるとされており、当該やむを得ないと認められるときとは、当該公共施設等に係る決算が継続的に赤字状況にあるなど、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合等とされている。

上記の「当該公共施設等に係る決算」とは特別会計等の個々の決算のことであり、一般会計に属する公共施設等の場合は、当該公共施設自体に収支の概念がないため、原則として減耗分を控除すべきではあるものの、当該地方公共団体の財政状況等個々の事情を総合的に考慮し、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合には、減耗分の全部又は一部を控除しないことができることになっている。

しかし、補償費の算定に当たり、大阪府については、補償の対象としたトイレ施設を所有する茨木市の財政状況等個々の事情を総合的に考慮しても、また、釜石市については、補償の対象としたガス管等を所有するガス事業者の決算が継続的な赤字状況になく、それぞれ減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合等やむを得ないと認められるときに該当しないため、復成価格から減耗分を控除する必要があったのに、減耗分を控除していなかった。このため、補償費が計36,734,861円過大に算定されていて、これらに係る国庫補助金等相当額計19,857,468円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、大阪府及び釜石市において、本件補償費の算定に当たり、公共補償基準等における減耗分の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

大阪府は、令和5年度に、安威川ダム建設事業を行うに当たって支障となるトイレ施設の所有者である茨木市に対して、トイレ施設の移設に要する費用の補償として93,016,000円(国庫補助対象事業費同額、国庫補助金交付額51,158,800円)を支払っている。

同府は、同市の実質単年度収支(注1)が、平成30年度から令和4年度までのうち、3年度以外は赤字となっていたことから、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合に該当するとして、減耗分を控除しないで本件補償費を算定していた。

しかし、トイレ施設は同市の一般会計に属する公共施設であり、当該施設自体に収支の概念がないため、原則としてトイレ施設の減耗分を控除する必要があった。

また、同市は実質単年度収支が3年度以外は赤字となっていることをもって同市の財政が継続的な赤字状況にあるとしているが、形式収支(注2)及び実質収支(注3)をみると平成30年度から令和4年度まで全て黒字となっていることなどから、これらを総合的に判断すると、同市の財政状況は、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合には該当しないと認められた。

したがって、既存のトイレ施設の復成価格から減耗分相当額を控除することにより適正な補償費を算定すると63,215,237円となり、本件補償費93,016,000円は、これに比べて29,800,763円(これに係る国庫補助金相当額16,390,419円)過大となっていた。

(注1)
実質単年度収支  単年度収支から財政調整基金への積立額等の実質的な黒字要素を加え、財政調整基金の取崩し額等の実質的な赤字要素を差し引いた額
(注2)
形式収支  歳入決算総額から歳出決算総額を差し引いた額
(注3)
実質収支  形式収支から翌年度に繰り越すべき財源を控除した額であり、通常、「黒字団体」「赤字団体」という場合は、実質収支の黒字又は赤字により判断する。

((204)については、前掲の総務省の項「0064-2震災復興特別交付税の額の算定に当たり、交付対象事業費の算定が適切でなかったなどのため、同交付税が過大に交付されていたもの」参照)