• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第2 総務省
  • 不当事項
  • その他

震災復興特別交付税の額の算定に当たり、交付対象事業費の算定が適切でなかったなどのため、同交付税が過大に交付されていたもの[総務本省](50)―(54)


所管、会計名及び科目
内閣府、総務省及び財務省所管
交付税及び譲与税配付金特別会計 (項)地方交付税交付金
部局等
総務本省
交付の根拠
地方交付税法(昭和25年法律第211号)、東日本大震災に対処する等のための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律(平成23年法律第41号)
交付先
4市町
震災復興特別交付税交付額
286,476,845,000円(平成23年度~令和6年度)
過大に交付された震災復興特別交付税の額
38,928,000円(平成23年度~令和6年度)

1 震災復興特別交付税の概要

総務省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号)及び「東日本大震災に対処する等のための平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律」(平成23年法律第41号)に基づき、東日本大震災(平成23年東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)に係る災害復旧事業、復興事業その他の事業の実施のために特別の財政需要があることなどを考慮して道府県及び市町村に対して特別交付税(以下、この特別交付税を「震災復興特別交付税」という。)を平成23年度から交付している。

そして、総務省は、道府県及び市町村に交付すべき震災復興特別交付税の額を算定するために、「地方団体に対して交付すべき平成二十三年度分の震災復興特別交付税の額の算定方法、決定時期及び決定額並びに交付時期及び交付額の特例等に関する省令」(平成23年総務省令第155号)等を23年度以降毎年度制定して、各年度における特別の財政需要として算定の対象となる事項(以下「算定事項」という。)を定めている(以下、23年度から令和6年度までの各年度に制定している各省令を総称して「復興特交省令」という。)。算定事項の主なものには、国の補助金等(復興特交省令の別表に定められた補助金等(東日本大震災復興交付金、社会資本整備総合交付金、災害公営住宅家賃対策補助等))を受けて施行する事業に要する経費のうち各道府県又は各市町村が負担すべき額として総務大臣が調査した額(以下「地方負担額」という。)等がある。

市町村は、各市町村に該当する算定事項ごとに財政需要に関する基礎資料(以下「算定資料」という。)等を作成して、都道府県に提出しており、都道府県は、市町村から提出された算定資料等の審査を行って総務省に送付し、同省は、提出された算定資料等に基づき、算定事項等に関して、復興特交省令により、新たに生ずる復興事業等に必要な経費等の合計額を算定するなどして震災復興特別交付税の額を決定して交付している。

そして、震災復興特別交付税の額は、復興特交省令等によれば、事業の実施状況に合わせて必要な経費の見込額等を用いることなどにより算定することとされている。また、算定の基礎となる経費が実際に要した経費を上回ったことなどにより、過年度の震災復興特別交付税の額が過大に算定されたと認められるときは、当該過大算定額に相当する額を震災復興特別交付税の額から減額すること(以下「減額調整」という。)とされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、震災復興特別交付税の額が適正に算定されているかに着眼して、平成23年度から令和6年度までの間に交付された震災復興特別交付税計286,476,845,000円を対象に、総務本省、宮城県石巻、気仙沼両市及び同県牡鹿郡女川町において、算定資料等を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、岩手県及び同県釜石市から算定資料等の提出を受けるなどして検査した。

検査の結果、3市町(注)は、算定資料等の作成に当たり、地方負担額のうち市町が負担すべき額の算定において、交付の対象とならない事業費を交付対象事業費に含めるなどしており、国の補助金等の交付対象事業費の算定が適切でなかった。また、気仙沼市及び女川町は、補助事業により取得した財産の処分に係る国庫納付が必要となっていたことに伴い、過年度の震災復興特別交付税の額の算定の基礎となる経費が実際に要した経費を上回っていたのに減額調整を行っていなかった。これらのことから、地方負担額が過大となり、震災復興特別交付税286,476,845,000円のうち計38,928,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

(注)
3市町  釜石、石巻両市、牡鹿郡女川町

このような事態が生じていたのは、上記の3市町において算定資料等の作成に当たり市町が負担すべき額の算定の基礎となる交付対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、気仙沼市において財産の処分の手続についての確認が十分でなかったこと、女川町において財産の処分に係る減額調整についての確認が十分でなかったことなどによると認められる。

以上を県別・交付先別に示すと次のとおりである。

 
県名
交付先
算定事項
年度
震災復興
特別交付税
交付額
過大に交付
された震災
復興特別
交付税の額
摘要
          千円 千円  
(50)
岩手県
釜石市
社会資本整備総合交付金
10,760,088 3,294
交付対象事業費の算定が適切でなかったもの
(51)
宮城県
石巻市
東日本大震災復興交付金、災害公営住宅家賃対策補助
平成30~令和4
82,594,383 18,524
(52)
気仙沼市
東日本大震災復興交付金
平成23~令和6
144,542,879 9,112
財産の処分に係る国庫納付が必要となっていたことに伴う減額調整を行っていなかったもの
(53)
牡鹿郡女川町
平成25~令和3
48,330,642 5,195
(54)
東日本大震災復興交付金、災害公営住宅家賃対策補助
元~4
9,337,975 2,803
交付対象事業費の算定が適切でなかったもの
(50)―(54)の計 286,476,845
38,928  
(注)
女川町の令和元年度から3年度までの間の震災復興特別交付税交付額が重複しているため計は一致しない。

((50)については、後掲国土交通省の項「トイレ施設、ガス管等の移設に係る補償費の算定が適切でなかったもの」を、(51)(54)については、後掲同省の項「災害公営住宅の家賃の低廉化に係る事業費の算定が適切でなかったもの」を、(52)については、後掲同省の項「防災集団移転促進事業により整備した住宅敷地について承認を受けずに財産の処分を行い、譲渡額に係る国庫納付を行っていなかったもの」をそれぞれ参照)