• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第1節 省庁別の検査結果
  • 第9 国土交通省
  • 不当事項
  • 補助金
  • (5)工事の施工が適切でなかったもの

擁壁の施工が適切でなかったもの[2県](212)(213)


(2件 不当と認める国庫補助金 17,473,243円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(212)
群馬県
藤岡市
河川等災害復旧
2、3 133,540
(125,103)
83,443 5,878
(5,878)
3,920

藤岡市は、市道129号線において、令和元年東日本台風により地すべりで崩落した道路法面を復旧するために、法面工、擁壁工等を実施している。

このうち、擁壁工は、傾いた既存のコンクリート擁壁を撤去した上で、新たに割栗石等を詰めた鋼製のかご枠(長さ2.0m、幅1.2m、高さ0.5m)を6段から8段積み重ねて延長計37.0mの擁壁として設置するなどしたものである。

同市は、擁壁の設計を「道路土工 擁壁工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)に基づいて行うこととしており、指針によれば、将来予想される地盤の洗掘等の影響等を考慮する必要があり、擁壁の直接基礎の根入れ深さ(以下「根入れ深さ」という。)は、計画地盤面等から擁壁底面までの深さとし、原則として0.5m以上確保することとされている。

同市は、本件工事の擁壁の設計に当たり、指針に基づき、擁壁前面の未舗装部分及び舗装された道路の表面を計画地盤面とし、地盤の洗掘等を考慮して、擁壁の全延長37.0mにわたって、0.5m以上の根入れ深さを確保することとして設計図書を作成し、これにより施工することとしていた(参考図1参照)。

しかし、現地の状況を確認したところ、請負人が設計図書に記載された根入れ深さを十分に確認しないまま施工したことにより、擁壁の延長計24.4mにおいては根入れ深さが0.5m以上確保されておらず、この中には、最下段のかご枠が部分的に下端まで露出するなど根入れが全く確保されていない箇所も見受けられた(参考図2参照)。そして、擁壁の全延長37.0mにわたり、擁壁と擁壁前面の道路との間は未舗装であることから、降雨時に擁壁の後背地からの雨水等が流出することなどにより地盤の洗掘等が進行すると、擁壁が損傷するおそれがある状況となっていた。

したがって、本件擁壁(工事費相当額5,878,137円、国庫補助対象事業費同額)は、施工が適切でなかったため、地盤の洗掘等に対応することができない状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額3,920,717円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、請負人が設計図書に記載された根入れ深さを十分に確認しないまま施工していたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図1)

擁壁の概念図(断面図)

擁壁の概念図(断面図)画像

(参考図2)

実際の施工状況(概念図)

実際の施工状況(概念図)画像

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
(213)
滋賀県
滋賀県
事業間連携砂防等
3、4 89,938
(85,441)
42,720 28,531
(27,105)
13,552

滋賀県は、急傾斜地で発生する崩壊土砂から人家等を保全するために、犬上郡多賀町大君ヶ畑地内において、擁壁工、落石防護柵工等を実施している。

このうち、擁壁工は、重力式コンクリート擁壁(延長計135.6m、高さ3.0m~3.8m)を築造するものであり、落石防護柵工は、この重力式コンクリート擁壁の上部に支柱を設置し、各支柱間にワイヤーロープ及び金網を取り付けた落石防護柵(延長計132.7m、高さ2.0m)を築造するもので、いずれも急傾斜地からの崩壊土砂を待ち受けて捕捉することを目的としている(以下、重力式コンクリート擁壁、落石防護柵等を合わせて「待受式擁壁」という。)。

同県は、本件待受式擁壁の設計を「崩壊土砂による衝撃力と崩壊土砂量を考慮した待受け擁壁の設計計算事例」(全国地すべりがけ崩れ対策協議会編。以下「基準」という。)等に基づいて行うこととしている。

基準等によれば、待受式擁壁の設計に当たっては、斜面からの崩壊土砂があふれることがないよう、崩壊土砂を十分に捕捉できる空間(以下「ポケット」という。)を擁壁背面に確保することとされている(前掲の「擁壁の設計が適切でなかったもの」の0298参考図4参照)。そして、同県は、ポケットの容量(以下「土砂捕捉容量」という。)が、擁壁の単位長さ当たりの崩壊土砂の量(m3/m)(以下「崩壊土砂量」という。)を上回るよう、斜面下端から待受式擁壁までの必要な距離を設計図書に3.5mと明示するなどして、これにより請負人に施工させることとしていた。

しかし、請負人は、待受式擁壁の施工に当たり、土砂捕捉容量が崩壊土砂量を上回るためには、設計図書に明示された斜面下端から待受式擁壁までの距離等を確保する必要があることを認識していなかったため、斜面の掘削を十分に行っていなかった。このため、一部の工区で斜面下端から待受式擁壁までの距離が2.8mから3.3mまでとなっており、出来形が設計と比べ短くなっていた。

そこで、本件待受式擁壁について、現地の状況を踏まえて、基準等に基づき改めて土砂捕捉容量を算定したところ、15.00m3/mから15.70m3/mまでとなっており、4か所の測点全てにおいて、土砂捕捉容量が設計時に設定した崩壊土砂量15.72m3/mを最大0.72m3/m下回っていた(参考図3参照)。

したがって、本件待受式擁壁(工事費相当額28,531,634円、国庫補助対象事業費27,105,052円)は、施工が適切でなかったため、崩壊土砂量を十分に捕捉できる土砂捕捉容量が確保されておらず、これに係る国庫補助金相当額13,552,526円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、請負人による施工が設計と相違していたものとなっていたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図3)

本件待受式擁壁の概念図

本件待受式擁壁の概念図画像

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
(212)(213)の計 223,478
(210,544)
126,164 34,409
(32,983)
17,473