国土交通省は、平成28年4月以降、ICT施工技術を全面的に活用する工事(以下「ICT活用工事」という。)の実施要領及び積算要領を順次策定して、直轄事業に適用している。また、同省は、29年6月に、都道府県等に対して実施要領、積算要領等を参考送付しており、都道府県等は、これらを準用するなどしてICT活用工事に取り組んでいる。実施要領によれば、ICT活用工事においては、原則として、施工プロセスにおける①3次元起工測量、②3次元設計データ作成、③ICT建設機械(注)による施工、④3次元出来形管理等の施工管理、⑤3次元データの納品の各段階において3次元データを活用することとされている。そして、令和2年4月以降に入札契約手続を開始するICT活用工事については、土工等に係る積算要領によれば、空中写真測量(無人航空機等によるもの)、地上型レーザースキャナー、これらに類似するその他の3次元計測技術により3次元座標値を面的に取得する機器を用いた出来形管理及び3次元データ納品(以下、これらを「3次元出来形管理等」という。)を行った場合は、補正係数として、共通仮設費率に1.2、現場管理費率に1.1をそれぞれ乗ずるなどして、3次元出来形管理・3次元データ納品の費用、外注経費等の費用(以下、これらの費用を「出来形管理等経費」という。)を計上することとされている(以下、共通仮設費率及び現場管理費率を「共通仮設費率等」といい、それぞれ補正係数を乗ずることを「ICT補正」という。)。一方で、従来手法による出来形管理等(以下、これらを「従来型出来形管理等」という。)やICT建設機械の施工履歴データを用いた出来形管理等を行う場合は、ICT補正は行わないこととなっている。また、土木工事標準積算基準書等によれば、施工箇所が複数あり、施工箇所が1㎞程度を超えて点在する工事(以下「点在型工事」という。)では、共通仮設費率等の補正について、施工箇所ごとに設定することなどとされている。
しかし、ICT活用工事における出来形管理等経費の積算に当たり、従来型出来形管理等や施工履歴データを用いた出来形管理等を実施することなどとしているのにICT補正を行い、又は、点在型工事において3次元出来形管理等を行うこととなっていない施工箇所を含めてICT補正を行っていて、工事価格が過大に積算されている事態が見受けられた。
したがって、国土交通大臣に対して6年10月に、会計検査院法第34条の規定により次のとおり是正改善の処置を求めた。
ア ICT補正の対象となる出来形管理手法、工種等を明確にした上で、ICT補正を行う対象について十分な理解を得られるよう積算要領等に反映するなどすること
イ 監督職員、積算担当職員等の関係担当者間でICT補正を行うことの要否の確認等が容易となるチェックリスト等を作成すること
ウ ア及びイの内容を地方整備局等に周知徹底するとともに、地方整備局等を通じて地方公共団体に対しても同様に助言すること
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 6年10月に、従前の実施要領及び積算要領に係る補足情報として、ICT補正の対象となる出来形管理手法と工種との関係を明確にした一覧表等を作成した。そして、同月以降、地方整備局等に意見を照会した上で、7年3月に、実施要領及び積算要領において、ICT補正を行う対象となる出来形管理手法、工種、点在型工事の取扱いなどを明確に定めるとともに、当該実施要領等に基づき、6年10月に作成した一覧表等を更新した。
イ 6年10月に、監督職員、積算担当職員及び受注者の関係担当者間でICT補正を行うことの要否の確認等が容易となるチェックリスト等を作成して、7年3月にこれらを更新した。
ウ ア及びイの内容について、6年10月及び7年3月に地方整備局等に事務連絡等を発することにより周知徹底するとともに、7年5月までに地方整備局等を通じて地方公共団体に対しても同様に助言した。