• 令和6年度
  • 第3章 個別の検査結果
  • 第2節 団体別の検査結果
  • 第15 独立行政法人住宅金融支援機構
  • 令和5年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

住宅融資保険勘定における政府出資金の規模について


1 本院が要求した改善の処置

独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人住宅金融支援機構法(平成17年法律第82号)等に基づき、住宅融資保険事業を実施しており、同事業の経理について、住宅融資保険勘定を設けて整理している。同事業において、機構は、民間の金融機関との間で住宅融資保険契約を締結して、当該金融機関から住宅ローン債権に係る保険料を受け取っている。また、機構は、平成21年度一般会計補正予算(第1号)による国からの出資金(以下「運用益型出資金」という。)を住宅融資保険勘定において保有し、その運用収益をもって、保険料率引下げの対象となる住宅ローン債権(以下「対象債権」という。)の保険料率を一律に0.20%まで引き下げるための費用(以下「保険料率引下げ費用」という。)を賄うこととしている。そして、機構は、運用益型出資金のうち不要となった額について、平成24年度に国庫に納付し、また、25、26両年度に機構の同一勘定内で保有している保有型出資金(注)に振り替えている(以下、運用益型出資金を保有型出資金に振り替えることを「勘定内振替」、運用益型出資金と保有型出資金を合わせて「運用益型出資金等」という。)。

しかし、機構において、27年度以降、運用益型出資金の規模の見直しを行っておらず、本院が将来見込まれる運用収益を令和6年度以降の想定運用利回りを用いて保守的に試算したところ、保険料率引下げ費用の累計額等を賄うために必要と認められる額以上の多額の運用益型出資金を保有していることになるなどの事態が見受けられた。

したがって、独立行政法人住宅金融支援機構理事長に対して6年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

ア 対象債権の残高の減少に伴う保険料率引下げ費用や運用益型出資金等の運用の状況等を踏まえて、運用益型出資金の規模の見直しを行うこと。そして、機構による見直しの結果、必要額を超えて保有していると認められる額については、保有型出資金の増額が必要となる場合には勘定内振替を行うこと、又は国庫への納付を行うこと

イ アの運用益型出資金の規模の見直しなどを適時適切に実施する体制を整備すること

(注)
保有型出資金  通常予測される範囲を超えるリスクに対して、出資金そのものを充てることにより対応することを目的とする出資金

2 当局の処置状況

本院は、機構本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 住宅融資保険事業を確実に実施するには必要な運用収益を確実に確保することが必要であるとして、6年11月及び7年6月に、運用益型出資金等のうち、その時点で運用利回りが確定したものに係る満期日までの運用収益の総額(以下「運用収益の確定額」という。)と、全ての対象債権の完済が見込まれるまでの保険料率引下げ費用の総額(以下「保険料率引下げ費用の総額」という。)を比較することにより、運用益型出資金の規模の検証を行い、8年度に運用収益の確定額が保険料率引下げ費用の総額を上回る見込みであるとした。

イ 6年11月に、毎年度半期ごとに運用益型出資金の規模の検証を行い、その結果を踏まえた規模の見直しなどを適時適切に実施する体制を整備した。

一方、機構は、引き続き、イの体制により、運用益型出資金の規模の検証を行い、運用収益の確定額が保険料率引下げ費用の総額を上回った場合には、必要額を超えて保有していると認められる額について勘定内振替又は国庫への納付を行うこととしている。