• 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和7年12月|

国庫補助金等により独立行政法人、基金法人及び都道府県に設置造成された基金の状況に関する会計検査の結果について


第3 検査の結果に対する所見

1 検査の結果の主な内容

会計検査院は、前記要請の国庫補助金等により基金法人等及び都道府県に設置造成された基金に関する各事項について、合規性、経済性、効率性、有効性、透明性の確保、国民への説明責任の向上等の観点から、基金数及び基金保有額の推移等はどのようになっているか、基金事業の進捗状況はどのようになっているか、基金事業における管理費はどのようになっているか、使用見込みのない資金等を保有している場合に適切に国庫返納が行われているかなどに着眼して検査を実施した。

基金法人等に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額がある基金は191基金(基金保有額計18兆7969億余円、国庫補助金等相当額計18兆5388億余円)、都道府県に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額がある基金は63基金(869県基金、基金保有額計1兆6188億余円、国庫補助金等相当額計1兆1119億余円)となっており、これらの基金に係る検査の結果の主な内容は、次のとおりである。

(1) 基金の設置造成等の状況(リンク参照

ア 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付状況(リンク参照

元年度から5年度までの予算に計上された基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額は、基金法人等に設置造成されている基金に係るものが計33兆2451億余円、都道府県に設置造成されている基金に係るものが計1兆4428億余円、計34兆6879億余円となっていた(リンク参照)。

イ 基金数及び基金保有額の状況(リンク参照
(ア) 基金法人等に設置造成されている基金の基金数及び基金保有額の推移等(リンク参照

基金法人等に設置造成されている基金について、年度末時点で国庫補助金等相当額が含まれている基金数は、元年度計162基金、5年度計191基金となっており、5年度末時点における基金数は対元年度末時点比で117.9%と増加していた。また、基金保有額は、元年度計2兆3780億余円(国庫補助金等相当額計2兆1146億余円)、5年度計18兆7969億余円(同計18兆5388億余円)となっており、5年度末時点における基金保有額は対元年度末時点比で790.4%(国庫補助金等相当額の対元年度末時点比876.7%)と大幅に増加していた。そして、3年度以降、基金保有額が100億円を上回る基金数の割合が増加していた(リンク参照)。

(イ) 都道府県に設置造成されている基金の基金数及び基金保有額の推移等(リンク参照

都道府県に設置造成されている基金(新潟、富山、石川各県に設置造成されているものを除く。)について、年度末時点で国庫補助金等相当額が含まれている基金数は、元年度計864県基金、5年度計869県基金となっており、5年度末時点における基金数は対元年度末時点比で100.6%と横ばいとなっていた。また、基金保有額も、元年度計1兆6208億余円(国庫補助金等相当額計1兆2412億余円)、5年度計1兆6188億余円(同計1兆1119億余円)となっており、5年度末時点における基金保有額は対元年度末時点比で99.9%と横ばいになっている一方で、これに係る国庫補助金等相当額は対元年度末時点比で89.6%と減少していた(リンク参照)。

ウ 基金方式により実施する必要性(リンク参照

基金方式により事業を実施する必要性について、指針に定められた類型に該当しないものが半数以上となっていた。そして、都道府県に設置造成されている基金において、「各年度の所要額をあらかじめ見込み難い理由」等が必ずしも明確に示されていないものも見受けられた(リンク参照)。

エ 基金設置団体の選定状況(リンク参照

基金法人等に設置造成されている基金について、基金設置団体を公募により選定しているものが42基金となっていたのに対して、公募により選定していないものが149基金となっていた。そして、公募を実施した42基金の公募の応募者数は、1者が31基金、2者が8基金、3者が3基金となっていて、応募者数が1者である基金が最も多い状況となっていた(リンク参照)。

オ 基金の積増しを行う額の算定状況(リンク参照

4基金において、過年度の執行状況、基金保有額、基金設置団体が調査するなどした所要額等を十分に考慮することなく、基金の積増しを行う額を算定していた(リンク参照)。

カ 基金の保有形態等の状況(リンク参照

5年度末時点における基金の保有形態は、普通預金等又は定期預金によって保有しているものが大部分を占めている状況となっていた(リンク参照)。

元年度から5年度までの各年度の運用損失の合計額は19億1942万余円となっていた。このうち、2基金において、元年度から5年度までの運用損失は計19億1362万余円となっていて、このほかに計3億3671万余円の運用経費を要していた(リンク参照)。

(2) 基金事業の実施や基金の管理費の状況(リンク参照

ア 基金事業の実施状況等(リンク参照
(ア) 基金事業の進捗状況(リンク参照

元年度から5年度までの基金からの支出額について、基金法人等に設置造成されている基金では、元年度6651億余円(国庫補助金等相当額6253億余円)、5年度5兆1366億余円(同5兆0709億余円)、都道府県に設置造成されている基金では、元年度2841億余円(同2333億余円)、5年度3708億余円(同2658億余円)となっており、いずれも増加していた(リンク参照)。

基金法人等に設置造成されている191基金のうちかい離率が算定されていない計30基金を除く161基金の5年度のかい離率について、多くの基金はかい離率が25%未満となっている一方で、36基金はかい離率が75%以上となっていて実際の事業費が事業見込額に比べて大幅に低くなっていた(リンク参照)。

基金が設置造成されてから基金事業が開始されるまでに2年以上が経過していて、その間、設置造成された基金の全部又は一部が基金事業に供されていないものが3基金見受けられた(リンク参照)。

(イ) 基金事業間の調整等の状況(リンク参照

異なる基金の所管府省庁が、事業の開始前に相互に事業内容についての調整等を行っていなかったため、結果として、同一の事業者における同一の燃油購入について事業者の経営の安定又は負担の低減を目的とした事業をそれぞれ実施している状況が見受けられた(リンク参照)。

また、基金の資金の一部が他の資金と同じ預金口座で管理されていて、預金口座から支払を行う際に、その支払がいずれの資金からの支払に該当するかが区別されていなかったことなどから、基金の一部が基金事業以外の目的に使用されている状況が見受けられた(リンク参照)。

(ウ) 基金事業の実施に関する事務局への委託等の状況(リンク参照

基金法人等に設置造成されている191基金のうち、29基金において基金法人等から事務局への委託が行われていて、補助金等の交付規程等の策定、補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択、補助金等の交付決定等及び補助金等の額の確定等の全ての事務について事務局への委託が行われているものが6基金見受けられた(リンク参照)。

事務局が5年度末時点で第三者委員会等を設置している11基金のうち、交付要綱等において第三者委員会等の構成員と応募者との利害関係を確認することが規定されていないものが4基金見受けられた(リンク参照)。

5年度末時点において事務局業務の再委託等を行っていないものが12基金となっている一方で、再委託等を行っているものが17基金(うち第4次受託事業者まで再委託等を行っているものが1基金)見受けられた(リンク参照)。

各府省庁が定める交付要綱等において事務局が事務局業務の再委託を行う場合にあらかじめ各府省庁の承認を得る必要があることが規定されていて実際に各府省庁の承認を得ているものが10基金となっている一方、承認を得る必要があることが規定されていないものが7基金見受けられた(リンク参照)。

各府省庁が定める交付要綱等において事務局業務の再委託等を行う場合に実施体制図を各府省庁に提出することが規定されていないものが2基金見受けられた。提出することが規定されている15基金のうち1基金は、事務局業務に係る委託契約の締結時に提出することとされているものの、実施体制の変更の都度提出することとされておらず、事務局業務の実施体制の変更を適時に把握できるようになっていなかった(リンク参照)。

イ 管理費の状況等(リンク参照
(ア) 管理費の状況(リンク参照

基金法人等に設置造成されている191基金のうち、5年度において基金からの支出がなかった13基金を除く178基金について、5年度の各基金における支出額に占める管理費の割合は、10%以下のものが114基金見受けられた一方で、100%となっているもの、すなわち、支出が管理費のみとなっているものが24基金見受けられた(リンク参照)。

(イ) 各府省庁による管理費の確認状況(リンク参照

5年度末時点で事務局への委託が行われている29基金のうち、基金法人等と事務局が締結した委託契約書等において、各府省庁が自ら又は基金法人等を通じて事務局に対して証ひょう書類の確認ができることが規定されていないものが2基金見受けられた。また、再委託等が行われている17基金のうち、各府省庁が5年度末時点において事務局による確認規定の有無を把握していなかったものが2基金見受けられた(リンク参照)。

基金法人等に設置造成されている191基金のうち、5年度に設置造成されたなどの計60基金を除く131基金について、元年度から5年度までの間に各府省庁等が基金法人等に対して管理費に関する証ひょう書類を一度も確認していないものが66基金見受けられた(リンク参照)。

(3) 基金に対する点検等の取組状況(リンク参照

ア 成果目標及び終了予定時期の設定状況等(リンク参照
(ア) 成果目標の設定状況等(リンク参照

都道府県に設置造成されている63基金について、全国単位の成果目標を設定している基金のうち成果目標の中に定量的な成果目標が含まれていないものが10基金見受けられた。1都、1道、1府又は1県のみに設置造成されている基金(32県基金)を除く837県基金について、都道府県単位の定量的な成果目標を設定しているものが435県基金となっていた一方で、都道府県単位の成果目標を設定していないものが344県基金、都道府県単位の成果目標を設定していた基金のうち成果目標の中に定量的な成果目標が含まれていないものが58県基金見受けられた(リンク参照)。

成果目標や成果指標として定量的な目標や指標を設定しているものの、基金事業が効果的に実施されているかなどについて検証する上で、成果目標及び成果指標が適切なものとなっていないものが2基金見受けられた(リンク参照)。

(イ) 終了予定時期の設定状況等(リンク参照

都道府県に設置造成されている63基金について、終了予定時期を設定していないものが22基金、終了予定時期を設定しているものの点検・見直し結果において示された期間内で設定していないものが2基金見受けられた(リンク参照)。

イ 国庫返納の検討状況等(リンク参照
(ア) 基金の国庫返納の状況(リンク参照

基金法人等に設置造成されている基金及び都道府県に設置造成されている基金について、元年度から5年度までに、それぞれ計1兆2469億1753万余円及び計1059億1133万余円の国庫返納が行われていた(リンク参照)。

(イ) 基金法人等に設置造成されている基金に関する保有割合の算定状況(リンク参照

基金法人等に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額があるものについて、基金事業に要する費用と基金保有額が一致して年度末時点における保有割合を1.0としている基金が特に多く、元年度32基金、5年度89基金と、元年度から5年度にかけて大きく増加している状況となっていた(リンク参照)。

取崩し型の152基金のうち、事業が既に終了していて保有割合が算定されていないなどの計81基金を除く71基金について、5年度末時点における事業完了までの必要見込額が、元年度から5年度までの平均支出額の10倍を上回っている基金が25基金となっていた(リンク参照)。

(ウ) 都道府県に設置造成されている基金に関する基金規模の検討状況(リンク参照

都道府県に設置造成されている63基金について、年度報告書に保有割合を記載しているものが32基金、年度報告書に記載していないものが31基金となっていた(リンク参照)。

年度報告書に保有割合を記載している32基金及び各府省庁において保有割合を算定している4基金の計36基金について、4基金は、基金基準で示された算定式ではなく保有割合が必ず1以下となるような独自の算定式を用いて保有割合を算定するなどしていて、事業完了までの必要見込額を上回る基金保有額を保有しているかどうかを保有割合を基に判断できず、保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していない状況となっていた(リンク参照)。

年度報告書に保有割合を記載している32基金について、都道府県ごとに区別するなどして、元年度から5年度までの各年度末時点の保有割合の分布状況(保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していない基金及び基金事業が終了していて翌年度に基金保有額の残額のうち国庫補助金等相当額の返納が予定されていることから保有割合が0となっているなどの基金を除く。)をみたところ、基金事業に要する費用と基金保有額が一致して保有割合を1.0としている基金が特に多い状況となっていた。また、5年度末時点の保有割合が1.0を上回っている基金は80県基金となっていた(リンク参照)。

年度報告書に保有割合を記載していない31基金について、新規の事業がないなどの基金を除くとともに、都道府県ごとに区別するなどして、都道府県が基金事業の執行状況、基金保有額等に基づいて、5年度末時点の基金規模が過大となっていないかについて点検しているかを確認したところ、5年度末時点の146県基金のうち、47県基金については点検を行っているとしていた一方、99県基金については点検を行っていないとしていた(リンク参照)。

取崩し型の501県基金のうち、4年度及び5年度に新たに設置されたなどの計62県基金を除いた439県基金について、基金保有倍率が10を上回っている基金が77県基金、元年度から5年度までの支出額が0円であることから基金保有倍率を算定できないものが30県基金となっていた(リンク参照)。

回転型の130県基金のうち、新規の事業がないなどの計31県基金を除いた99県基金について、40県基金は平均繰越率が90%を上回り、基金造成額の大部分が貸付け又は出資に充てられていない状況となっていて、このうち8県基金は平均繰越率が100%であり、元年度から5年度まで基金造成額が貸付け又は出資に全く充てられていない状況となっていた(リンク参照)。

運用型の79県基金について、75県基金は使用率が100%を上回り、支出額が運用収入を上回ることから運用の原資を取り崩して支出していて、実質的に取崩し型に近い形で支出が行われている状況となっていた(リンク参照)。

(エ) 国庫返納の必要性の検討状況(リンク参照

基金法人等に設置造成されている6基金及び都道府県に設置造成されている14基金において、返納根拠規定を整備しておらず、基金事業を終了する時期が到来する前に基金の額が過大であることが判明しても返納根拠規定に基づいて確実に国庫返納させることができない状況が見受けられた(リンク参照)。

4基金において、基金の将来的な使用見込額を考慮した国庫返納の必要性の検討を行う余地があったのに検討を行っていなかったなどの状況が見受けられた(リンク参照)。

2 所見

基金は、複数年度にわたる事務又は事業の財源として設置されており、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であることその他の特段の事情がある場合に、事業を安定的かつ効率的に実施するために、あらかじめ財源を確保しておくことを可能とする一方、執行管理の困難さも指摘されてきた。

基金事業の実施において、保有されている資金が適切に管理されて有効に活用されるためには、各府省庁において、基金シート、執行状況表等によって基金の透明性を確保するとともに、管理費の支出状況等について確認すること、基金事業の実施状況、社会情勢等を踏まえた不断の見直しを行うことなどが重要である。

また、基金に対する点検等の取組において確認すべき事項は多岐にわたっており、いずれも国費を適正かつ効率的に使用する上で重要な事項となっている。

ついては、検査の結果を踏まえて、各府省庁において、基金基準、改正適正化令等、行政事業レビュー実施要領等の内容が遵守されるよう徹底するとともに、次の点に留意するなどして、基金の設置造成、基金事業の実施、基金に対する点検等を適切に行う必要がある。

(1) 基金の設置造成等の状況

基金の積増しを行う額の算定に当たり、過年度の執行状況、基金保有額、基金設置団体が調査するなどした所要額等を十分に考慮すること

(2) 基金事業の実施や基金の管理費の状況

ア かい離率が大きくなっているなどしている基金については、その原因を究明して、事業の規模や実施方法等を検討して必要に応じて基金の規模を見直すこと。また、設置造成されてから基金事業が開始されるまでに相当の期間が経過している基金について、速やかに基金事業を開始できるようにするための方策や必要に応じて基金の規模を見直すことを検討すること

イ 基金事業の実施に当たり、他の類似の事業の事業内容等について事前に検討を行い必要に応じて調整等を行うこと、及び資金が基金事業以外の目的に使用されることのないように基金設置団体に適切に管理させること

ウ 各府省庁が定める交付要綱等において、基金法人等から委託を受けた事務局が事務局業務の再委託を行う場合等に、あらかじめ各府省庁の承認を得る必要がある旨の規定を定めること、委託契約の締結時に加えて、実施体制の変更がある都度実施体制図を各府省庁に提出する旨の規定を定めることなどにより、事務局業務が適切に実施されるようにすること

エ 基金法人等、事務局及び再委託の相手方に対する証ひょう書類の確認に関する規定を定めることなどにより必要に応じて証ひょう書類の確認を行うことができるようにするとともに、当該規定に基づくなどして管理費が適切に支出されていることを適時適切に確認すること

(3) 基金に対する点検等の取組状況

ア 基金法人等だけではなく都道府県に設置造成されている基金についても、基金事業の目的、内容等を考慮して、適切かつ定量的な全国単位の成果目標及び具体的な終了予定時期を設定するなどして、適時に的確な点検を実施できるようにすること

イ 基金法人等に設置造成されている基金について、過去の執行実績、事業完了までの年限、具体的な需要等を基に、事業完了までの必要見込額について算出の精度を高めて保有割合を算定すること

ウ 都道府県に設置造成されている基金について、都道府県の事務負担に留意しつつ、保有割合を算定させること又は基金規模が過大となっていないかなどの状況を客観的に把握する指標を設定することなどにより、基金規模の妥当性を十分に確認すること

エ 返納根拠規定を整備すること、適切な時期に国庫返納の必要性を検討すること、国庫返納の必要性の検討に当たっては将来の具体的な使用見込みの有無を踏まえることなどにより、使用見込みのない資金について速やかに国庫返納を行わせること

以上のとおり報告する。

会計検査院としては、国庫補助金等により独立行政法人、基金法人及び都道府県に設置造成された基金の状況について、今後とも引き続き検査していくこととする。