• 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和7年12月|

国庫補助金等により独立行政法人、基金法人及び都道府県に設置造成された基金の状況に関する会計検査の結果について


第2 検査の結果

検査したところ、基金法人等に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額がある基金は191基金(基金保有額計18兆7969億余円、国庫補助金等相当額計18兆5388億余円。別図表4参照)、都道府県に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額がある基金は63基金(869県基金、基金保有額計1兆6188億余円、国庫補助金等相当額計1兆1119億余円。別図表5参照)となっていた。

そして、基金の設置造成等の状況、基金事業の実施や基金の管理費の状況及び基金に対する点検等の取組状況についてみたところ、次のとおりとなっていた。

1 基金の設置造成等の状況

(1) 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付状況

第1の2(2)のとおり、2年度以降、基金に係る予算額が増加している。基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額を、元年度から5年度までの予算が計上された年度ごとにみたところ、図表1-1のとおりであり、基金法人等に設置造成されている基金に係るものが計33兆2451億余円、都道府県に設置造成されている基金に係るものが計1兆4428億余円、計34兆6879億余円となっていた。これらについて、当初予算、補正予算及び予備費ごとにみたところ、基金法人等に設置造成されている基金は、補正予算として計上されたものが計25兆6586億余円(交付額全体に占める割合77.2%)と最も多く、次いで予備費の使用決定により配賦された予算に係るものが計5兆0991億余円(同15.3%)となっていた。また、都道府県に設置造成されている基金は、当初予算として計上されたものが計8405億余円(同58.3%)と最も多くなっていた(国庫補助金等に係る予算が計上された年度ごとの基金ごとの交付額については別図表6及び別図表7参照)。

図表1-1 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額

(単位:件、億円、%)

区分令和元年度2年度3年度4年度5年度
件数交付額件数交付額件数交付額件数交付額件数交付額件数交付額
割合
基金法人等に設置造成されている基金
当初予算2636122850282934953339443887921542兆48737.5
補正予算163150407兆5593403兆8771619兆9595443兆947420125兆658677.2
予備費53714840932兆395251兆8257175兆099115.3
小計477133728兆9031726兆62209912兆1798824兆826737233兆2451100.0
都道府県に設置造成されている基金
当初予算13211517174218150217139420165185840558.3
補正予算34071981392932213277319594541.2
予備費168182760.5
小計1621562437232124312116842444321061兆4428100.0
当初予算395728456770474997505339581兆04432393兆32799.6
補正予算193190477兆7575433兆9701649兆9817474兆224822026兆253275.7
予備費53714840932兆395261兆832518195兆106714.7
639289969兆2755936兆865212012兆34821065兆269947834兆6879100.0
注(1)
基金を設置造成するための国庫補助金等に係る予算が計上された年度ごとに、件数及び交付額を集計している。
注(2)
件数は、国庫補助金等を原資として設置造成されている基金数と対応しており、複数の都道府県に設置造成されている基金であっても、同一の執行状況表で公表されている場合には、まとめて1件として集計するなどしている。
注(3)
割合は、「小計」又は「計」欄の交付額に占める各区分の交付額の割合を示している。
注(4)
予算の区分は、各府省庁における整理を基に集計している。
注(5)
「予備費」欄は、予備費の使用決定により配賦された予算に係る国庫補助金等を原資として設置造成されている基金に係る件数、交付額等を記載している。

また、2年度以降に、基金に係る予算額が大幅に増加していることから、2年度以降に設置された基金に係る交付額と、元年度以前に設置された基金に係る交付額について、それぞれ予算が計上された年度ごとにみたところ、図表1-2のとおり、基金法人等に設置造成されている基金は、2年度以降に設置された基金に係る交付額が計26兆3460億余円となっていて、全体の79.2%を占める状況となっていたのに対して、都道府県に設置造成されている基金は、元年度以前に設置された基金に係る交付額が計9773億余円となっていて、全体の67.7%を占める状況となっていた。

図表1-2 令和元年度以前に設置された基金及び2年度以降に設置された基金別の国庫補助金等の交付額

(単位:件、億円、%)

区分令和元年度2年度3年度4年度5年度
件数交付額件数交付額件数交付額件数交付額件数交付額件数交付額
割合
基金法人等に設置造成されている基金
元年度以前に設置された基金477133532兆4450488237511兆4485471兆46832466兆899020.8
2年度以降に設置された基金196兆4581245兆79824810兆7312353兆358312626兆346079.2
小計477133728兆9031726兆62209912兆1798824兆826737233兆2451100.0
都道府県に設置造成されている基金
元年度以前に設置された基金15215019219820222119152121168194977367.7
2年度以降に設置された基金1651524120921623275112465432.3
小計1621562437232124312116842444321061兆4428100.0
元年度以前に設置された基金629283722兆6649681兆0459701兆6007681兆63643407兆876322.7
2年度以降に設置された基金16246兆6106255兆81925010兆7475383兆633513826兆811577.3
639289969兆2755936兆865212012兆34821065兆269947834兆6879100.0
注(1)
基金を設置造成するための国庫補助金等に係る予算が計上された年度ごとに、件数及び交付額を集計している。
注(2)
件数は、国庫補助金等を原資として設置造成されている基金数と対応しており、複数の都道府県に設置造成されている基金であっても、同一の執行状況表で公表されている場合には、まとめて1件として集計するなどしている。同一の基金について、同一年度に当初予算と補正予算の両方で予算措置されている場合等は、予算ごとに1件として集計している。
注(3)
割合は、「小計」又は「計」欄の交付額に占める各区分の交付額の割合を示している。
注(4)
令和元年度予算として措置されて、2年度に設置された基金については、元年度の「2年度以降に設置された基金」欄に計上している。

さらに、元年度から5年度までの予算に基づき交付された国庫補助金等の交付額について、基金ごとにその分布状況をみたところ、図表1-3-1及び図表1-3-2のとおり、基金法人等に設置造成されている基金において、1兆円を上回っている基金が6件見受けられた(予算ごとの国庫補助金等の交付額が1兆円を上回っている基金については別図表8参照)。

図表1-3-1 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額の分布状況(基金法人等)(令和元年度〜5年度)

図表1-3-1 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額の分布状況(基金法人等)

(注)
同一の基金について、同一年度に当初予算と補正予算の両方で予算措置されている場合等は、予算ごとに1件として集計している。

図表1-3-2 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額の分布状況(都道府県)(令和元年度〜5年度)

図表1-3-2 基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額の分布状況(都道府県)

(注)
同一の基金について、同一年度に当初予算と補正予算の両方で予算措置されている場合等は、予算ごとに1件として集計している。ただし、各府省庁において交付した金額を予算別に区分していない基金については、複数の予算に係る交付額を合わせて1件として集計している。

(2) 基金数及び基金保有額の状況

ア 基金法人等に設置造成されている基金の基金数及び基金保有額の推移等

基金を設置造成するための国庫補助金等の交付額は2年度以降大幅に増加している。そこで、基金法人等に設置造成されている基金について、元年度末時点の状況と5年度末時点の状況を比較したところ、年度末時点で国庫補助金等相当額が含まれている基金数は、元年度計162基金、5年度計191基金となっており、5年度末時点における基金数は対元年度末時点比で117.9%と増加していた。また、基金保有額は、元年度計2兆3780億余円(国庫補助金等相当額計2兆1146億余円)、5年度計18兆7969億余円(同計18兆5388億余円)となっており、5年度末時点における基金保有額は対元年度末時点比で790.4%(国庫補助金等相当額の対元年度末時点比876.7%)と大幅に増加していた。これらの推移を示すと、図表1-4のとおりである。

図表1-4 基金法人等に設置造成されている基金の基金数、基金保有額等の推移

図表1-4 基金法人等に設置造成されている基金の基金数、基金保有額等の推移画像

また、元年度から5年度までの各年度末時点における各基金の基金保有額の分布状況についてみたところ、図表1-5のとおり、3年度以降、基金保有額が100億円を上回る基金数の割合が増加していた。5年度末時点において基金保有額が1兆円を上回っている基金は、図表1-6のとおりである。

図表1-5 基金法人等に設置造成されている各基金の基金保有額の分布状況

図表1-5 基金法人等に設置造成されている各基金の基金保有額の分布状況画像

図表1-6 基金法人等に設置造成されている基金のうち基金保有額が1兆円を上回っている基金(令和5年度末時点)

(単位:億円)

基金番号所管府省庁名予算の移替先基金名基金事業名基金保有額国庫補助金等相当額
1143経済産業省-グリーンイノベーション基金グリーンイノベーション基金事業2兆50412兆5041
1144経済産業省-中小企業等事業再構築促進基金中小企業等事業再構築促進事業、中小企業省力化投資補助事業、中小企業新事業進出促進事業1兆51791兆5179
1145経済産業省-特定半導体基金特定半導体基金事業1兆34961兆3496
1148経済産業省-燃料油価格激変緩和基金燃料油価格激変緩和対策事業1兆30161兆3016
1114経済産業省-経営安定関連保証等特別基金経営安定関連保証等対策費補助事業1兆26571兆2657
1136経済産業省-ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発基金ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業1兆10831兆1083
(注)
「予算の移替先」欄には、所管府省庁から予算の移替えを受けて執行している府省庁がある場合に、当該府省庁名を記載している。以下同じ。

さらに、所管府省庁別の基金数、基金保有額等についてみたところ、図表1-7のとおり、5年度末時点の基金保有額が最も多いのは経済産業省で、基金保有額計13兆3612億余円(国庫補助金等相当額計13兆3415億余円)となっていた。

図表1-7 基金法人等に設置造成されている基金の所管府省庁別の基金数、基金保有額等

(単位:基金、億円、%)

所管府
省庁名
令和元年度末2年度末3年度末4年度末5年度末
基金
基金保有
国庫補助
金等相当
基金
基金保有
国庫補助
金等相当
基金
基金保有
国庫補助
金等相当
基金
基金保有
国庫補助
金等相当
基金
基金保有
国庫補助
金等相当
対元年度末時点比
基金数基金保有額国庫補助金等
相当額
内閣府
本府
11001001101101216371637533753375738943894700.03894.93894.9
消費者
こども
家庭庁
110210218888185851838318080100.079.079.0
復興庁1230993099112839283911263026301124602460102258225883.372.972.9
総務省220872087327912791432483248686428642
外務省286862797927979266662456456100.0525.9525.9
財務省1342113421134211342113421100.099.398.9
文部科
学省
422952294526032602753515350141兆33921兆3391191兆79601兆7960475.0782.5782.7
厚生労
働省
782782763355335572兆70502兆705081兆81661兆816681兆10551兆1055114.31336.31336.3
農林水
産省
5794378084589274784155802667795685377318557216581896.576.572.0
経済産
業省
4742183988475兆89305兆8728467兆79927兆77915511兆350411兆33155313兆361213兆3415112.83167.03344.8
国土交
通省
2222252036222646246021232221392116991518211209103195.554.350.6
環境省713495027131447271242434711683736114535185.784.870.0
防衛省1111111111112401401200.025458.725458.7
1622兆37802兆11461648兆33588兆068116412兆924612兆679318616兆573816兆334119118兆796918兆5388117.9790.4876.7
注(1)
令和5年度末時点の所管府省庁の区分により集計しているため、5年度に設置されたこども家庭庁についても、元年度から4年度までの基金数及び基金保有額を計上している。
注(2)
複数の府省庁が所管している基金の場合は、基金シートにおいて所管府省庁として記載されている府省庁の基金として集計している。

そして、5年度末時点で基金保有額がある基金について、運営形態別及び事業内容別に5年度末時点の基金数及び基金保有額の割合をみたところ、図表1-8及び図表1-9のとおり、いずれも運営形態別では取崩し型の割合が最も高く、事業内容別では補助事業の割合が最も高くなっていた。

図表1-8 基金法人等に設置造成されている基金の運営形態別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)

図表1-8 基金法人等に設置造成されている基金の運営形態別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)画像

注(1)
運営形態の分類については、図表0-2参照
注(2)
「複合型」とは、取崩し型、回転型、保有型又は運用型のうち、複数の運営形態に該当するものである。以下同じ。

図表1-9 基金法人等に設置造成されている基金の事業内容別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)

図表1-9 基金法人等に設置造成されている基金の事業内容別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)画像

事業内容のうち貸付事業及び出資事業は、貸付け又は出資に当たり基金を取り崩すことになるため、取り崩した額は図表1-9の基金保有額に含まれないが、これらについては、将来、資金の全部又は一部の回収が見込まれるものであることから、5年度末時点における貸付残高及び出資残高をみたところ、合わせて計1336億余円(国庫補助金等相当額計1214億余円)となっていた。

イ 都道府県に設置造成されている基金の基金数及び基金保有額の推移等

都道府県に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額がある63基金の中には、全ての都道府県に設置造成されている基金がある一方で、一つの都道府県のみに設置造成されている基金もある。そこで、都道府県に設置造成されている基金(新潟、富山、石川各県に設置造成されているものを除く。)の元年度末時点と5年度末時点の状況について、都道府県ごとに区別するなどして数えた基金数等で比較したところ、年度末時点で国庫補助金等相当額が含まれている基金数は、元年度計864県基金、5年度計869県基金となっており、5年度末時点における基金数は対元年度末時点比で100.6%と横ばいとなっていた。また、基金保有額も、元年度計1兆6208億余円(国庫補助金等相当額計1兆2412億余円)、5年度計1兆6188億余円(同計1兆1119億余円)となっており、5年度末時点における基金保有額は対元年度末時点比で99.9%と横ばいになっている一方で、これに係る国庫補助金等相当額は対元年度末時点比で89.6%と減少していた。これらの推移を示すと、図表1-10のとおりである。

図表1-10 都道府県に設置造成されている基金の基金数、基金保有額等の推移

図表1-10 都道府県に設置造成されている基金の基金数、基金保有額等の推移画像

また、元年度から5年度までの各年度末時点における各基金の基金保有額の分布状況についてみたところ、図表1-11のとおり、いずれの年度においても「1億円超10億円以下」の基金数が最も多くなっていた。5年度末時点において基金保有額が多い上位5基金は、図表1-12のとおりである。

図表1-11 都道府県に設置造成されている各基金の基金保有額の分布状況

図表1-11 都道府県に設置造成されている各基金の基金保有額の分布状況画像

図表1-12 都道府県に設置造成されている基金の基金保有額が多い上位5基金(令和5年度末時点)

(単位:億円)

基金番号所管府省庁名予算の移替先基金名基金設置造成の原資となる国庫補助金等名都道府県名基金保有額国庫補助金等相当額
2014復興庁-福島原子力災害復興交付金基金福島原子力災害復興交付金福島県718718
2028復興庁環境省福島県民健康管理基金放射線量低減対策特別緊急事業費補助金福島県636636
2059環境省-福島県民健康管理基金原子力被災者健康確保・管理関連交付金福島県445378
2044厚生労働省-国民健康保険財政安定化基金国民健康保険財政安定化基金補助金兵庫県36683
2031復興庁環境省中間貯蔵施設整備等影響緩和交付金基金中間貯蔵施設整備等影響緩和交付金福島県332332

さらに、所管府省庁別の基金数、基金保有額等についてみたところ、図表1-13のとおり、5年度末時点の基金保有額が最も多いのは厚生労働省で、基金保有額計8963億余円(国庫補助金等相当額計4649億余円)となっていた。

図表1-13 都道府県に設置造成されている基金の所管府省庁別の基金数、基金保有額等

(単位:県基金、億円、%)

所管府
省庁名
令和元年度末2年度末3年度末4年度末5年度末
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
対元年度末時点比
県基金数基金保有額国庫補助金等
相当額
内閣府
本府
17380323451242116945128710834612551028451005841264.7264.5260.0
消費者
11226110.00.00.0
こども
家庭庁
442692684473573244722719441056105544972971100.0361.6361.2
復興庁3247924791293391339124297829772427002700232640263971.955.155.1
総務省
外務省
財務省
文部科
学省
503263269410801080504304304942442489806806178.0246.7246.7
厚生労
働省
285840553602838852540127492335410264944652392608963464991.2106.686.7
農林水
産省
29079144828375141227875641927674341127469937794.588.384.1
経済産
業省
8537228882340281943562989038929691407308107.1109.3107.1
国土交
通省
環境省498245585075352145688491426474584260043085.772.877.1
防衛省1424215858161611757519494100.0220.2220.2
8641兆62081兆24129171兆72081兆30508551兆65141兆18938361兆67401兆16908691兆61881兆1119100.699.989.6
注(1)
令和5年度末時点の所管府省庁の区分により集計しているため、5年度に設置されたこども家庭庁についても、元年度から4年度までの基金数及び基金保有額を計上している。
注(2)
複数の府省庁が所管している基金の場合は、執行状況表において所管府省庁として記載されている府省庁の基金として集計している。

そして、都道府県別の基金数、基金保有額等についてみたところ、図表1-14のとおり、5年度末時点の基金保有額が最も多いのは福島県で、基金保有額計3274億余円(国庫補助金等相当額計3052億余円)となっていた。

図表1-14 都道府県に設置造成されている基金の都道府県別の基金数、基金保有額等

(単位:県基金、億円、%)

都道府県名令和元年度末2年度末3年度末4年度末5年度末
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
県基
金数
基金保有
国庫補助
金等相当
対元年度末時点比
県基金数基金保有額国庫補助金等
相当額
北海道193132031935824818470265184942871842624594.7136.1120.6
青森県2119112622237156212471422129418122322218104.8168.7173.0
岩手県213723342025220817235177172401771823117285.762.351.7
宮城県246405652637530621359292213612902237828691.759.150.7
秋田県1799561914810318165113171501001813285105.9133.2151.3
山形県189255191771401618012116183108171829594.4196.4171.6
福島県73508548908540713892903636346689333731528932743052121.964.462.4
茨城県2226818622295209203032142030020824301209109.1112.3112.4
栃木県191961361820414117186126173061341822512794.7114.793.5
群馬県151449617222170152151621524417516240159106.7166.7165.8
埼玉県1742129218486361174833631749134618499353105.9118.6120.9
千葉県1439326716398282143662531439728315444301107.1112.9112.5
東京都1512219151819191618151413110514139410891398368886.780.575.2
神奈川県1459734216708452156714291460340315627453107.1105.0132.4
福井県261461032414010022156117211871242218111284.6123.6107.8
山梨県1591471610965151106515119711612571106.7137.9150.3
長野県171599617181115171941241719612218199126105.9125.0130.6
岐阜県181751191917711918146981513687161509288.985.877.7
静岡県182881951935926417349259164632391744622094.4154.8113.0
愛知県1444931716494362154583391546934914433316100.096.499.9
三重県21141712021111118239871623292162469676.2174.5135.3
滋賀県178555191196718126701798651810369105.9120.2125.8
京都府1917311719205125181811021816510319159101100.091.986.7
大阪府1458742215571410145864311464548115657484107.1111.8114.8
兵庫県335023112969834724795357217603492178835263.6157.0113.1
奈良県171268418176133172552031731326217260209100.0206.6249.7
和歌山県16216901719583161948316198801719882106.391.590.8
鳥取県1781491918314316274136162631081718991100.0233.2184.1
島根県19111652115698191388219139812113276110.5119.2117.6
岡山県1516910418203140161921311620213717196132113.3115.9126.4
広島県1124615811267176102461571024416112237163109.196.3103.0
山口県1717812019206147182121511824817518268196105.9150.6162.7
徳島県21115762112685221228022122802413481114.3116.3106.3
香川県15109621511764141275714124611512460100.0114.195.4
愛媛県1718011017192122161951241621813217231135100.0128.3123.0
高知県15885117161123161349916116831710169113.3115.4135.8
福岡県1937522921448298184382911846931119496314100.0132.4136.7
佐賀県2611174281881372818012627181109231538388.5138.1112.5
長崎県2218612024209128232051252324812724281143109.1150.4119.4
熊本県201941202125716219247153172531381827415490.0141.2127.6
大分県18143731916687172078918224881921675105.6151.4102.8
宮崎県1816710719215124182441141825311818252115100.0150.8108.0
鹿児島県1921012121248133202611341929314619276141100.0131.1116.2
沖縄県2135526223367274223522592134925822396295104.8111.6112.4
8641兆62081兆24129171兆72081兆30508551兆65141兆18938361兆67401兆16908691兆61881兆1119100.699.989.6

また、5年度末時点で基金保有額がある基金について、運営形態別及び事業内容別に5年度末時点の基金数及び基金保有額の割合をみたところ、図表1-15及び図表1-16のとおり、いずれも運営形態別では取崩し型の割合が最も高く、事業内容別では補助事業の割合が最も高くなっていた。そして、基金法人等に設置造成されている基金と比較して、運営形態別では複合型の割合が高く、事業内容別では貸付事業の割合が高い状況となっていた。

図表1-15 都道府県に設置造成されている基金の運営形態別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)

図表1-15 都道府県に設置造成されている基金の運営形態別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)画像

(注)
運営形態の分類については、図表0-2参照

図表1-16 都道府県に設置造成されている基金の事業内容別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)

図表1-16 都道府県に設置造成されている基金の事業内容別の基金数及び基金保有額の割合(令和5年度末時点)画像

事業内容のうち、貸付事業及び出資事業は、貸付け又は出資に当たり基金を取り崩すことになるため、取り崩した額は図表1-16の基金保有額に含まれないが、これらについては、将来、資金の全部又は一部の回収が見込まれるものであることから、5年度末時点における貸付残高及び出資残高をみたところ、合わせて計309億余円(国庫補助金等相当額計218億余円)となっていた。

(3) 基金方式により実施する必要性

指針によれば、具体の事務又は事業が改正適正化令において定められた基金事業の性質(第1の3(2)イ参照)に該当するか否かについては、個々に判断することとなるが、次の3類型の事業については、該当し得ると考えられるとされている。

① 不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する事業

② 資金の回収を見込んで貸付けなどを行う事業

③ 事業の実施が他の事業の進捗に依存するもの

一方、これら以外の事務又は事業(以下「その他の事業」という。)については、基金造成費補助金等によることなく対応することが可能か不断に検討すべきであるとされている。

また、行政事業レビュー実施要領において、基金法人等に設置造成された基金について、前記①から③までのいずれにも該当しない事業は、基金方式によることなく実施できないか真摯に検討することとなっており、都道府県に設置造成された基金についても、上記の内容を踏まえて精査を行うこととなっている。そして、行政事業レビュー実施要領等に基づき、基金シート又は執行状況表において、前記①から③までの類型のうち該当する類型を公表することとなっており、指針に定められた類型に該当しない場合には、基金方式によらざるを得ない理由を公表することとなっている。

そこで、5年度末時点で基金法人等に設置造成されている191基金及び都道府県に設置造成されている63基金について、基金方式により事業を実施する必要性を確認するために、前記①から③までのどの類型に該当するかなどについてみたところ、図表1-17のとおり、指針に定められた類型に該当しないもの(「④その他の事業」)が半数以上となっていた。

図表1-17 基金方式で実施する必要性の分類

(単位:基金、%)

区分①不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する事業②資金の回収を見込んで貸付けなどを行う事業③事業の実施が他の事業の進捗に依存するもの④その他の事業
基金数割合基金数割合基金数割合基金数割合基金数
基金法人等に設置造成されている基金6131.9136.8168.410152.9191
都道府県に設置造成されている基金46.31015.91320.63657.163
(注)
割合は、「計」欄の基金数に占める割合を示している。

そして、「④その他の事業」に該当する基金について、改正適正化令で定められた基金事業の性質を踏まえて、「④-1 災害対応等で各年度の所要額を見込めない事業」、「④-2 長期間にわたる研究開発等で各年度の所要額を見込めない事業」、「④-3 社会経済情勢の影響を強く受ける事業で各年度の所要額を見込めない事業」、「④-4 その他」の四つの分類を会計検査院が設定した上で、該当する分類等について各府省庁に確認した。その結果、図表1-18のとおり、基金法人等に設置造成されている基金は、「④-2 長期間にわたる研究開発等で各年度の所要額を見込めない事業」又は「④-3 社会経済情勢の影響を強く受ける事業で各年度の所要額を見込めない事業」の割合が高かったのに対して(「④その他の事業」に占める割合30.7%及び35.6%)、都道府県に設置造成されている基金は「④-4 その他」の割合が高い状況となっていた(同75.0%)。

図表1-18 基金方式で実施する必要性の分類(その他の事業の内訳)

(単位:基金、%)

区分④-1 災害対応等で各年度の所要額を見込めない事業④-2 長期間にわたる研究開発等で各年度の所要額を見込めない事業④-3 社会経済情勢の影響を強く受ける事業で各年度の所要額を見込めない事業④-4 その他(④-1~④-3に該当しないもの)
基金数割合基金数割合基金数割合基金数割合基金数
基金法人等に設置造成されている基金65.93130.73635.62827.7101
都道府県に設置造成されている基金513.925.625.62775.036
(注)
割合は、「計」欄の基金数に占める割合を示している。

「④-4 その他」に該当するとされた基金について、基金シート又は執行状況表における基金方式によらざるを得ない理由の記載内容をみたところ、都道府県に設置造成されている基金において、事業が複数年度にわたって実施されることや法律に基づき基金が設置造成されていることは示されているものの、改正適正化令において定められた基金事業の性質の要素である「各年度の所要額をあらかじめ見込み難い理由」等が必ずしも明確に示されていないものも見受けられた(「④-4 その他」の基金シート又は執行状況表に記載されている基金方式によらざるを得ない理由については別図表9及び別図表10参照)。

(4) 基金設置団体の選定状況

5年度末時点で基金法人等に設置造成されている基金について、基金設置団体の種類別に基金数(191基金)及び基金保有額(18兆7969億余円)の状況をみたところ、独立行政法人74基金、12兆4604億余円、一般社団法人又は一般財団法人51基金、4兆8550億余円となっていて、図表1-19のとおり、いずれも独立行政法人に設置造成されているものが最も多くなっていた。

図表1-19 基金設置団体の種類別の基金数及び基金保有額の状況(令和5年度末時点)

図表1-19 基金設置団体の種類別の基金数及び基金保有額の状況(令和5年度末時点)画像

基金法人等に設置造成されている基金について、基金設置団体の選定経緯をみたところ、公募により選定しているものが42基金(5年度末時点の基金保有額計3兆4384億余円、国庫補助金等相当額計3兆4156億余円)となっていたのに対して、基金事業を実施するために必要な知見を有する特定の法人を基金設置団体とする必要があったなどの理由から公募により選定していないものが149基金(5年度末時点の基金保有額計15兆3585億余円、国庫補助金等相当額計15兆1231億余円)となっていた。

そして、公募を実施して基金設置団体を選定した42基金について、公募の応募者数をみたところ、1者が31基金(73.8%)、2者が8基金(19.0%)、3者が3基金(7.1%)となっていて、応募者数が1者である基金が最も多い状況となっていた。

(5) 基金の積増しを行う額の算定状況

基金の積増しを行う場合には、過年度の執行状況等を十分に勘案するなどして、その額を適切に算定することが重要である。

そこで、積増しを行う額の算定が適切に行われているかについてみたところ、農林水産省所管の畜産業振興資金(1098番)、環境省所管の産業廃棄物適正処理推進基金(補助率7/10)(1185番)、こども家庭庁所管(4年度以前は内閣府本府及び厚生労働省所管)の安心こども基金(2011番)及び厚生労働省所管の地域医療介護総合確保基金(介護分)(2040番)において、過年度の執行状況、基金保有額、基金設置団体が調査するなどした所要額等を十分に考慮することなく、基金の積増しを行う額を算定していた。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1> 過年度の執行状況、前年度末時点の基金保有額等を十分に考慮することなく、基金の積増しを行う額を算定していたもの

農林水産省は、平成15年度から令和5年度までの各年度において、独立行政法人農畜産業振興機構に対して、農畜産業振興対策交付金を交付しており、同機構は、同交付金の一部を原資とするなどして、畜産業振興資金(1098番)を設置造成している。そして、同機構は、平成29年度から、国産乳製品等競争力強化対策事業(以下「対策事業」という。)を実施するなど、同資金を取り崩して複数の事業を実施している。

同省は、同機構が同交付金の交付申請を行う場合には、事業ごとに必要となる額等が記載された農畜産業振興対策交付金交付対象事業計画(以下「事業計画」という。)を提出させて、事業計画に基づき同交付金に係る毎年度の交付額を決定している。そして、同機構は、同交付金に係る交付額のうち対策事業に係るものについて、同交付金の交付を受けた翌年度に事業を実施しており、翌々年度までにその支払を完了している。また、同省は、同機構に対して、対策事業に係るものとして29年度から令和5年度までに計383億6042万余円を交付している。

対策事業に係る同資金の執行状況をみたところ、平成29年度から令和2年度までの対策事業に係る同交付金の交付額計223億4930万余円について、同機構は、4年度までに対策事業の実施及び支払を完了しており、同年度末時点において、執行額計187億7242万余円との差額35億7688万余円(同年度末時点の基金保有額の一部)は具体的な使用予定がない状況となっていた。しかし、同機構は、5年度の同交付金の交付申請における対策事業に必要となる額の算定に当たり、この35億7688万余円の全部又は一部を除くなどしていなかった。このように、同機構は、対策事業に係る過年度の執行状況、前年度末時点の基金保有額等を十分に考慮することなく、翌年度の対策事業に必要となる額を54億8013万余円と算出して事業計画に記載していた。そして、同省も同様に、対策事業に係る過年度の執行状況、前年度末時点の基金保有額等を十分に考慮することなく、基金の積増しを行う額を事業計画に記載された額と同額と算定し、交付していた。

なお、会計検査院の検査を踏まえて、同省は、6年度の補正予算について、5年度末時点の基金保有額や、対策事業の実施及び支払が想定より増加する可能性等を考慮して、翌年度の対策事業に必要となる額62億円のうち11億円は基金保有額を使用することとして、当該金額を除いた51億円を計上したとしている。

<事例2> 都道府県が所要額調査により確認した所要額を上回る額を、基金の積増しを行う額として算定していたもの

内閣府本府、文部科学省及び厚生労働省(令和5年度以降はこども家庭庁及び文部科学省)は、認定こども園等の新たな保育需要への対応等を実施し、子どもを安心して育てることができるような体制整備を行うことを目的として、平成20年度から令和4年度までの間に都道府県に対して子育て支援対策臨時特例交付金計1兆0440億7153万余円を交付している。そして、都道府県は、同交付金を原資として、安心こども基金(2011番及び2032番)を設置造成して、基金事業として、府省が定めた管理運営要領に規定されている複数の事業を実施している。

そして、厚生労働省は、児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号。以下「改正法」という。)の6年4月の施行に先立って、都道府県や市町村等が3年度から5年度までの各年度に母子保健・児童福祉一体的相談支援機関整備事業等(以下「整備事業等」という。)を実施するために、3、4両年度に、都道府県に対して同交付金を計601億9208万余円交付して、同基金(2011番)の積増しを行っていた。その際、同省は、4年3月(1回目)、同年8月(2回目)及び5年2月(3回目)の3回に分けて、積増しに係る同交付金の交付決定を行っていて、各回の交付決定に当たり、各都道府県に対して、受入希望額の調査(以下「受入額調査」という。)を行っていた。受入額調査に当たって、同省は、当該都道府県及び管内の市町村等における今後の具体的な取組内容等を確認して、その結果を踏まえて回答することを都道府県に対して求めていた。そして、27都道府県では受入額調査に回答するために当該都道府県や管内の市町村等における所要額を確認するための調査(以下「所要額調査」という。)を実施していた。

しかし、同省は、整備事業等に係る同交付金の予算額である601億9208万余円について全国の20歳未満人口に対する当該都道府県の同人口の比率に応じて各都道府県に配分することとした場合の額(以下「配分額」という。)を算出して、配分額を基に同交付金を交付していた。その結果、所要額調査を実施していた27都道府県のうち21都道府県に交付した額は、所要額調査により確認した所要額を上回る額となっていた。すなわち、同省は、3回目の交付決定に当たり、改正法の施行により6年4月から実施されることとなる児童福祉法(昭和22年法律第164号)等に基づく事業を円滑に進めるための体制整備に必要と考え、配分額全額を受け入れることなどを各都道府県に対して周知するなど、所要額調査の結果より配分額を優先して受入希望額とすることを各都道府県に対して求めていた。そして、21都道府県においては、上記の周知等を受けて配分額計298億5604万余円が所要額調査により確認した所要額計51億3368万余円を計247億2235万余円上回っていたにもかかわらず、最終的には、同省に対して配分額全額を受け入れる旨を回答していた。

このような経過を経て、同基金の積増しが行われた結果、上記の21都道府県に対する同基金の積増しに係る同交付金の交付額計301億4405万余円に5年度末までの運用益計755万余円を加えた計301億5160万余円のうち、整備事業等を完了した6年度までの使用額は計54億2129万余円となっていて、計247億3030万余円は整備事業等に使用されなかった。

なお、こども家庭庁は、計247億3030万余円のうち、整備事業等以外の事業に使用することが見込まれる額等を除いた15都府県に係る計90億3262万余円について、7年3月に国庫に返納するよう指示して、15都府県は同年4月までに同額を国庫に返納していた。

このように、過年度の執行状況、基金保有額、基金設置団体が調査するなどした所要額等を十分に考慮することなく、基金の積増しを行う額を算定していた基金が見受けられたことを踏まえて、各府省庁において、基金の積増しを行う額の算定に当たり、これらを十分に考慮することが重要である。

(6) 基金の保有形態等の状況

基金基準によれば、基金法人のうち公益法人が行う基金の運用は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月閣議決定)の規定によることとされ、公益法人以外の基金法人が行う基金の運用は当該規定に準ずることとされている。そして、当該規定によれば、「運用財産の管理運用は、当該法人の健全な運営に必要な資産(現金、建物等)を除き、元本が回収できる可能性が高くかつなるべく高い運用益が得られる方法で行うこと」とされている。

さらに、都道府県に設置造成された基金については、地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づき、その設置目的に応じ、確実かつ効率的に運用しなければならないこととなっている。そして、一般に、都道府県は、基金に属する現金を金融機関への預金その他確実かつ有利な方法で保管すること、必要に応じて最も確実かつ有利な有価証券に代えることができることなどを定めている。

そこで、基金法人等に設置造成されている基金及び都道府県に設置造成されている基金について、5年度末時点における基金の保有形態別の基金保有額の状況をみたところ、図表1-20-1及び図表1-20-2のとおり、いずれも普通預金等又は定期預金によって保有しているものが大部分を占めている状況となっていた。

図表1-20-1 基金法人等に設置造成されている基金の保有形態別の基金保有額の状況(令和5年度末時点)

図表1-20-1 基金法人等に設置造成されている基金の保有形態別の基金保有額の状況(令和5年度末時点)画像

(注)
基金保有額に未収金を含めるなどしている基金があるが、本図表の保有形態別の基金保有額には未収金を含めるなどしていないため、他の図表で示している基金保有額と一致しない。

図表1-20-2 都道府県に設置造成されている基金の保有形態別の基金保有額の状況(令和5年度末時点)

図表1-20-2 都道府県に設置造成されている基金の保有形態別の基金保有額の状況(令和5年度末時点)画像

(注)
複数の基金を一括で運用するなどしている基金を集計対象から除いている。また、基金保有額に未収金を含めるなどしている基金があるが、本図表の保有形態別の基金保有額には未収金を含めるなどしていないため、他の図表等で示している基金保有額と一致しない。

また、元年度から5年度までの運用収入の状況についてみたところ、図表1-21のとおり、基金法人等に設置造成されている基金の5年度の運用収入が計30億余円、都道府県に設置造成されている基金の5年度の運用収入が計9億余円などとなっていた。

図表1-21 運用収入の状況

(単位:億円)

区分令和元年度2年度3年度4年度5年度
基金法人等に設置造成されている基金
前年度末時点の基金保有額(参考)2兆22082兆36568兆325512兆917016兆5735
運用収入3126242630
都道府県に設置造成されている基金
前年度末時点の基金保有額(参考)1兆56781兆52391兆59911兆60151兆6298
運用収入1210979
注(1)
前年度末時点の基金保有額は、令和5年度末時点で基金保有額がある基金について集計しているため、図表1-4図表1-7図表1-10図表1-13及び図表1-14における元年度から4年度までの各年度末時点の基金保有額と一致しない。
注(2)
運用収入には、運用損失が生じている基金の運用損失額は含まない。

一方、元年度から5年度までの各年度の運用損失の合計額は19億1942万余円となっていた。このうち、元年度から5年度までに合わせて1000万円以上の運用損失が生じている基金についてみたところ、図表1-22のとおり、2基金において、元年度から5年度までの運用損失が計19億1362万余円となっていて、このほかに計3億3671万余円の運用経費を要していた。

図表1-22 令和元年度から5年度までに合わせて1000万円以上の運用損失が生じている基金

(単位:万円)

基金番号所管府省庁名基金名基金事業名運用損失運用経費(参考)
令和5年度末時点における基金保有額
1051厚生労働省ワクチン生産体制等緊急整備基金ワクチン生産体制等緊急整備事業18億59973億06607852億0958
1181国土交通省住宅市場安定化対策給付基金住宅市場安定化対策事業5364301186億5929
19億13623億3671
(注)
運用損失には、平成28年2月に導入された日本銀行のマイナス金利政策の影響を受けて、マイナス金利相当分として信託報酬等の運用経費とは別に基金設置団体が負担している信託事務費用が含まれる。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例3> 基金において運用損失が生じていたもの

厚生労働省は、令和2年度から4年度までの各年度において、一般社団法人新薬・未承認薬等研究開発支援センターに対して、新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金計4兆4191億8891万余円を交付して、同センターは、同交付金を原資としてワクチン生産体制等緊急整備基金(1051番)を設置造成している。

同交付金の交付要綱等によれば、基金の運用に当たり、保有することができる資産は国債や地方債その他の確実かつ有利な有価証券、金融機関への預金等の安全資産に限定されていて、これ以外の方法による場合には事前に同省の了解を得ることとされている。

同省は、4年3月30日及び31日に同交付金2兆2968億9033万余円を同センターに対して交付していた。

そして、同センターは、上記の交付金2兆2968億9033万余円について事前に同省の了解を得た上で、金銭の信託による日本国債、政府保証債及び地方債を投資対象とする運用をすることとし、その全額を同月30日及び31日に、それぞれ信託銀行に信託していた。

その後、同センターは、金融機関に対する定期預金等の預入が可能になったとして、5年4月から、金銭の信託による運用から定期預金等の預入に順次、切替えを行い、同年10月に金銭の信託による運用を終了していた。

このように、同センターは、4年3月から5年10月までの間、同交付金の一部について金銭の信託による運用を行っており、その結果、4、5両年度において18億5997万余円の運用損失が生ずるとともに、信託報酬等の運用経費3億0660万余円を要していた。

同省は、金銭の信託による運用を了解した理由について、同センターとともに複数の金融機関と交渉を行ったものの、マイナス金利が適用されていた当時の金融市況において多額の預金を受け入れる金融機関がなかったことから、基金を継続的に運営するためのやむを得ない手段であったと認められたことによるとしている。

2 基金事業の実施や基金の管理費の状況

(1) 基金事業の実施状況等

ア 基金事業の進捗状況

元年度から5年度までの基金からの支出額についてみたところ、図表2-1のとおり、基金法人等に設置造成されている基金では、元年度6651億余円(国庫補助金等相当額6253億余円)、5年度5兆1366億余円(同5兆0709億余円)、都道府県に設置造成されている基金では、元年度2841億余円(同2333億余円)、5年度3708億余円(同2658億余円)となっており、いずれも増加していた。

図表2-1 基金からの支出額

(単位:億円)

区分令和元年度2年度3年度4年度5年度
基金法人等に設置造成されている基金支出額6651
(6253)
1兆8074
(1兆7623)
2兆1181
(2兆0246)
6兆3561
(6兆2413)
5兆1366
(5兆0709)
事業費6412
(6019)
1兆7867
(1兆7421)
2兆0830
(1兆9899)
6兆3162
(6兆2018)
5兆0914
(5兆0261)
管理費239
(234)
207
(202)
351
(346)
398
(395)
452
(448)
都道府県に設置造成されている基金支出額2841
(2333)
2841
(2178)
3383
(2564)
4029
(2758)
3708
(2658)
事業費2835
(2327)
2835
(2171)
3376
(2558)
4023
(2752)
3702
(2653)
管理費6
(6)
6
(6)
6
(6)
6
(6)
5
(5)
(注)
下段の括弧内の数字は、国庫補助金等相当額を示している。

そして、基金法人等に設置造成されている基金について、支出額が大幅に増加していることから、各年度の支出額が多い上位5基金及び上位10基金の支出額が全ての基金の支出額に占める割合をみたところ、図表2-2のとおり、いずれの年度においても上位10基金で70%以上を占める状況となっていた(支出額が多い上位10基金については別図表11参照)。

図表2-2 支出額が多い上位5基金及び支出額が多い上位10基金が全ての基金の支出額に占める割合(基金法人等)

(単位:億円、%)

区分令和元年度2年度3年度4年度5年度
金額割合金額割合金額割合金額割合金額割合
上位5基金の支出額365955.01兆259769.71兆294461.15兆163481.23兆436366.9
上位10基金の支出額479672.11兆544885.51兆632677.15兆598688.14兆218282.1
全ての基金の支出額6651100.01兆8074100.02兆1181100.06兆3561100.05兆1366100.0
(注)
割合は、「全ての基金の支出額」に占める割合を示している。

また、基金法人等に設置造成された基金については、行政事業レビュー実施要領等に基づき作成される基金シートにおいて、前年度の基金シートに記載された事業見込額、事業見込額と当年度の基金シートに記載された実際の事業費との差額(以下「かい離額(注13)」という。)、事業見込額に対するかい離額の割合(以下「かい離率(注13)」という。)等が記載されることとなっている(図表2-3参照)。

(注13)
実際の事業費が前年度の基金シートに記載された事業見込額を上回っている場合、かい離額及びかい離率はマイナスとなる。

図表2-3 かい離額及びかい離率の概念図

図表2-3 かい離額及びかい離率の概念図画像

そこで、5年度末時点で基金法人等に設置造成されている191基金のうち、事業見込額の算出が困難であること、5年度に新たに設置造成された基金であること、既に基金事業が終了していること又は支出が6年度から発生することからかい離率が算定されていない計30基金を除く161基金について、5年度のかい離率の状況をみたところ、図表2-4のとおり、多くの基金はかい離率が25%未満となっている一方で、36基金(161基金に占める割合22.4%)はかい離率が75%以上となっていて、実際の事業費が事業見込額に比べて大幅に低くなっていた。

図表2-4 かい離率の状況(令和5年度)

図表2-4 かい離率の状況(令和5年度)画像

(注)
「25%未満」の基金の中には、実際の事業費が前年度の基金シートに記載された事業見込額を上回っている基金も含まれる。

このうち、2年度末時点の基金保有額が100億円以上であり、かつ、3年度から5年度までの間にかい離率が複数年度継続して75%以上となっている基金について、5年度末時点の状況を示す基金シートに記載されたかい離の理由をみたところ、図表2-5のとおり、かい離が生じている理由は基金ごとに様々となっていた。

図表2-5 令和2年度末時点の基金保有額が100億円以上であり、かつ、3年度から5年度までの間にかい離率が複数年度継続して75%以上となっている基金

(単位:億円、%)

基金番号所管府省庁名予算の移替先基金名基金事業名令和2年度末時点基金保有額かい離率5年度末時点の状況を示す基金シートに記載されたかい離の理由 (注)
3年度4年度5年度
1019総務省-デジタル基盤改革支援基金デジタル基盤改革支援補助金1,78799.395.277.8令和5年度以前に交付決定をしているが支払が令和6年度となる団体が存在すること、また、移行困難システムへの該当など地方公共団体における移行作業の進捗により乖離が生じたもの
1062農林水産省-産地パワーアップ事業基金産地生産基盤パワーアップ事業37582.080.477.02023年度の事業費見込みについては、コロナウイルスの感染拡大からの回復等を見込み、コロナ前の3年間(平成29~令和元年度)の事業費(管理費を含む)の平均から見込額を算定(略)。
しかしながら、引き続き、同感染拡大の影響やウクライナ情勢、これに伴う為替市場の不安定化等による、農業者を取り巻く環境が厳しい状況にあったことから、2023年度の事業費は事業費見込みから大きく乖離する結果となった。(略)
1114経済産業省-経営安定関連保証等特別基金経営安定関連保証等対策費補助事業1兆316095.088.2△2.1コロナの影響の長期化や物価高等、対応に万全を期すため、過去の危機時における保証承諾実績等を踏まえ、令和2年度及び令和4年度に十分な予算を措置したところ。
足下では執行の乖離があるものの、信用補完制度の性質から将来にわたって基金からの損失補填等が行われる可能性がある。
1143経済産業省-グリーンイノベーション基金グリーンイノベーション基金事業2兆000098.976.139.0実施中のプロジェクトにおいて、新型コロナ感染症の影響の長期化及びウクライナ情勢に伴い、世界的な半導体不足や部材の供給遅延などが発生したことにより、開発計画の見直しが行われ、執行計画の一部が後倒しとなったため。
令和4年度事業費見込みを算定した際には、国際情勢の変化など当初想定し得ない事情が発生したことにより、乖離が生じた。(略)
1189環境省-地域脱炭素化出資事業基金地域脱炭素化出資事業144△94.181.881.9令和5年度中に出資を見込んでいた事業について、ロシア・ウクライナ情勢の影響から、鋼材価格や物流価格が高騰し事業計画の見直し等が発生する等事業者都合により出資実行に至らなかった。
(注)
経営安定関連保証等特別基金は、令和5年度の事業費が前年度の基金シートに記載された事業見込額を上回っているため、また、グリーンイノベーション基金は、5年度のかい離率が75%を下回っているため、それぞれ4年度末時点の状況を示す基金シートにおけるかい離の理由を記載している。

そして、これらの基金の中には、かい離率が複数年度継続して75%以上となった後に、事業完了までの事業見込額を精査した結果として多額の国庫返納が行われていた基金が見受けられた。

上記について、詳細を示すと次のとおりである。

<事例4> かい離率が複数年度継続して75%以上となった後に、事業完了までの事業見込額を精査した結果として多額の国庫返納が行われていたもの

経済産業省(中小企業庁)は、平成12年度から令和5年度までの各年度において、一般社団法人全国信用保証協会連合会に対して、経営安定関連保証等対策費補助金計1兆9224億9020万余円を交付して、同連合会は、同補助金を原資として経営安定関連保証等特別基金(1114番)を設置造成している。

同連合会は、基金事業として、平成12年度以降、各都道府県等に設置された信用保証協会(以下「協会」という。)が中小企業者等への債務保証において代位弁済を行った場合に、各協会が負担する損失の一部を補塡するために、各協会に対して損失補償金を出えんする事業(以下「損失補償事業」という。)を実施している。また、令和3年度以降、中小企業者等が協会に支払う保証料の一部を補助する事業(以下「保証料補助事業」という。)を新たに実施している。

同省は、損失補償事業に係る元年度から4年度までの各年度の事業見込額について、過年度の代位弁済額等に基づいて算出していて、また、保証料補助事業に係る3、4両年度の事業見込額について、保証料補助事業のために措置された予算を全額執行するなどとして算出していた。

その後、同省は、5年度の事業見込額について、当初は前年度までと同様の方法により算出していたが、5年12月に点検・見直しの横断的な方針が示されたことなどを踏まえて、見直しを行い、損失補償事業及び保証料補助事業共に見直し時点で把握できた5年度の進捗状況に基づいて、1751億9700万円と算出していた。この結果、見直し後の5年度の事業見込額は、3年度の6216億6500万円や4年度の5966億7030万円と比べて大幅に減少していた。

そして、かい離率等の状況をみると、のとおり、3、4両年度共に75%以上となっていたが、5年度については、上記のとおり事業見込額の見直しを行ったこと、民間ゼロゼロ融資(注)からの借換えなどにより保証料補助事業の実績額が増加したことなどから、マイナス2.1%となっていた。

同省は、3、4両年度にかい離率が高くなっていた理由について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響や物価高騰等の対応に万全を期すために、過去の金融危機時における保証承諾実績等を踏まえて、2年度及び4年度に十分な予算を措置したことなどによるとしている。

一方、同省は、5年度末時点の基金保有額1兆2657億5644万余円(国庫補助金等相当額同額)について、民間ゼロゼロ融資からの借換えに備えるなどのために、当該金額を引き続き保有する必要があるとしていたが、6年6月に民間ゼロゼロ融資からの借換えに係る債務保証の申請期間が終了したことなどを踏まえて、事業完了までの事業見込額を精査した結果、7452億円の使用見込みがないとして、7年1月に、同連合会に対して同額の国庫返納を指示していた。そして、同連合会は、同年2月に、同省からの指示を受けて、上記の7452億円を国庫に返納していた。

(注)
民間ゼロゼロ融資  一定の要件を満たした中小企業者等を対象に保証料補助や民間金融機関の貸付けに係る利子を当初3年間実質無利子化するための利子補給等を行うことにより、民間金融機関が実施する新型コロナウイルス感染症対策に伴う実質無利子・無担保の融資

表 かい離率等の状況

(単位:万円)

区分 令和元年度 2年度 3年度 4年度 5年度
経営安定補助金交付額 79億0000 1兆2510億9000 60億8020 1888億7500 90億8000
見込額 133億1132 131億1900 6216億6500 5966億7030 1751億9700
実績額 145億5356 127億4739 313億9182 706億9826 1788億4111
かい離額 △12億4224 3億7160 5902億7317 5259億7203 △36億4411
かい離率 △9.3% 2.8% 95.0% 88.2% △2.1%
年度末基金保有額 757億4711 1兆3160億3873 1兆3005億9107 1兆4235億1418 1兆2657億5644

また、基金事業を開始できる見込みがなく事業見込額が算出されていなければ、かい離率も算定されないが、基金が設置造成されてから基金事業を開始するまでに相当の期間があった場合、その間、設置造成された基金の全部又は一部が基金事業に供されないことになる。

そこで、基金の設置造成から基金事業の開始までの期間についてみたところ、図表2-6のとおり、基金が設置造成されてから基金事業が開始されるまでに2年以上が経過していて、その間、設置造成された基金の全部又は一部が基金事業に供されていないものが3基金見受けられた。

図表2-6 基金が設置造成されてから基金事業が開始されるまでに2年以上が経過している基金

基金番号所管府省庁名基金名基金が設置造成されてから開始されるまでに2年以上が経過している事業の名称基金保有額(令和5年度末時点)設置造成年月事業開始年月(7年3月末時点)基金の設置造成から事業開始年月又は7年3月までの経過年数
1021総務省デジタルインフラ整備基金データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業のうち、水底線路陸揚局整備事業及び水底線路整備事業267億1083万余円4年3月開始されていない3年
1041文部科学省先端国際共同研究推進基金グローバル・スタートアップ・キャンパス構想先行国際共同研究事業635億8037万余円5年3月開始されていない2年
1050厚生労働省医療情報化支援基金医療提供体制設備整備交付金のうち、電子カルテ情報標準規格準拠対応事業148億6098万余円2年3月6年3月4年
(注)
「基金保有額(令和5年度末時点)」欄は、「基金が設置造成されてから開始されるまでに2年以上が経過している事業の名称」欄に記載した事業に係る基金保有額である。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例5> 基金が設置造成されてから相当の期間が経過しても基金事業の一部が開始されないままとなっていて、基金の一部が基金事業に供されない状況となっていたもの

総務省は、令和4年3月に、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会に対して、特定電気通信施設等整備推進基金補助金500億円を交付して、同協会は、同月に同補助金を原資としてデジタルインフラ整備基金(1021番)を設置造成している。

そして、同協会は、基金事業として、国内海底ケーブル陸揚局に必要な施設の設置等を行う水底線路陸揚局整備事業、国内海底ケーブルに必要な施設の設置等を行う水底線路整備事業等の事業を実施することとしていて、水底線路陸揚局整備事業及び水底線路整備事業については、公募により両事業を実施する民間事業者を選定して、両事業を開始することとしていた。

しかし、同協会は、5年度末時点に至っても、両事業に係る公募を行っておらず、同基金が設置造成された4年3月から5年度末までの2年間が経過しても両事業は開始されないままとなっていて、両事業に係る267億1083万余円の資金が基金事業に供されない状況となっていた。

このような状況となっている理由について、同省は、公募に応ずることを検討していた民間事業者において、事業の実施体制の構築、海底ケーブルを敷設するルートや海底ケーブルの陸揚げ地点の検討、昨今の資材価格の高騰を踏まえた事業費の精査等に想定よりも時間を要していることから、同協会が公募を実施しても応募者がいないことが想定されたためであるとしている。

なお、同協会は、6年度末時点でも公募を行っておらず、両事業は開始されていなかった。

このように、実際の事業費が事業見込額に比べて大幅に低くなっている基金が見受けられたことを踏まえて、各府省庁において、かい離率が大きくなっているなどしている基金については、その原因を究明して、事業の規模や実施方法等を検討して必要に応じて基金の規模を見直すことが重要である。また、設置造成されてから基金事業が開始されるまでに相当の期間が経過している基金が見受けられたことを踏まえて、各府省庁において、速やかに基金事業を開始できるようにするための方策や必要に応じて基金の規模を見直すことを検討することが重要である。

イ 基金事業間の調整等の状況

基金事業を実施するに当たっては、他の類似の事業の事業内容等について事前に検討を行い、必要に応じて調整等を行うことが重要である。

そこで、必要な事項について適切に調整等が行われているかみたところ、異なる基金の所管府省庁が事業の開始前に相互に事業内容についての調整等を行っていなかったため、結果として、同一の事業者における同一の燃油購入について事業者の経営の安定又は負担の低減を目的とした事業をそれぞれ実施している状況が見受けられた。

上記について、詳細を示すと次のとおりである。

<事例6> 異なる基金の所管府省庁が事業の開始前に事業内容についての調整等を行っていなかったため、結果として、同一の事業者における同一の燃油購入について事業者の経営の安定又は負担の低減を目的とした事業をそれぞれ実施していたもの

農林水産省(水産庁)は、燃油・配合飼料の価格が高騰したときに漁業者等に補塡金を交付することにより、漁業・養殖業経営への影響を緩和することで、経営の安定と水産物の安定供給に資するために、平成22年度から令和5年度までに、一般社団法人漁業経営安定化推進協会(以下「推進協会」という。)に対して漁業経営セーフティーネット構築事業費補助金計1506億5974万余円を交付し、推進協会は、同補助金及び漁業者等から納付される積立金を原資として、漁業経営セーフティーネット構築等事業基金(1087番)を設置造成している。

推進協会は、同基金を取り崩して、A重油等の漁業用燃油の価格に影響を与える原油価格が上昇した際に、積立金を納付した漁業者に対して漁業用燃油価格差補塡金(以下「補塡金」という。)を交付する漁業用燃油価格安定対策事業(以下「燃油事業」という。)等の事業を実施している。このうち燃油事業は、同省が定めた同補助金の交付要綱等に基づき、1kL当たりのドバイ原油価格(以下「原油価格」という。)の四半期ごとの平均価格(以下「平均原油価格」という。)が上昇し、過年度の平均原油価格から算出した補塡基準価格を超えたなどの場合に、積立金を納付した漁業者に対して、平均原油価格と補塡基準価格との差額(以下「補塡金単価」という。)に、当該漁業者が購入した漁業用燃油の数量を乗じて算出した補塡金を交付する事業である。そして、3年度から5年度までの補塡金の交付額は、3年度157億7551万余円(国庫補助金等相当額77億9066万余円)、4年度384億2215万余円(同275億8713万余円)、5年度239億9683万余円(同167億1407万余円)、計781億9449万余円(同520億9187万余円)となっていた。

一方、経済産業省(資源エネルギー庁)は、原油の価格高騰がコロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぎ、消費者の負担を低減するために、3年度から5年度までの各年度において、一般社団法人全国石油協会(以下「石油協会」という。)に対して燃料油価格激変緩和対策補助金等計6兆1133億0275万余円を交付し、石油協会はこれを原資として燃料油価格激変緩和基金(1148番)を設置造成している。

石油協会は、4年1月から、同基金を取り崩して、燃油の小売価格の急騰を抑制する燃料油価格激変緩和対策補助事業(以下「急騰対策事業」という。)を実施している。急騰対策事業は、毎週のガソリン1L当たりの全国平均小売価格が、同省が定める基準価格以上となったときに、燃油の卸売事業者に対して燃油の販売数量に応じて補助金を交付する事業であり、事業の対象となる燃油には、漁業用燃油も含まれている。そして、3年度から5年度までの燃油の卸売事業者に対する補助金交付額は、3年度468億6795万余円(国庫補助金等相当額同額)、4年度2兆9424億4787万余円(同)、5年度1兆8222億8866万余円(同)、計4兆8116億0449万余円(同)となっていた。

このように、4年1月以降、のとおり、高騰した原油価格を用いて算定した補塡金の交付を受ける燃油事業の対象漁業者が、急騰対策事業により急騰が抑制された小売価格で漁業用燃油を購入できることになった。しかし、農林水産省(水産庁)及び経済産業省(資源エネルギー庁)は、対象事業の開始前に燃油事業及び急騰対策事業の事業内容の調整等を行っていなかったため、結果として、同一の事業者における同一の燃油購入について事業者の経営の安定又は負担の低減を目的とした事業をそれぞれ実施していた。

図 燃油事業及び急騰対策事業の概念図

図 燃油事業及び急騰対策事業の概念図画像

両省は、4年1月から燃油事業及び急騰対策事業が並行して実施されることを把握していたものの、急騰対策事業が短期的な施策になることも想定されたこと、既に推進協会と漁業者との間で燃油事業等に係る契約が締結されていたことなどから、3、4両年度の燃油事業の補塡金の算定に当たっては、急騰対策事業との調整を行わなかったとしていたが、急騰対策事業が4年度以降も継続的に実施されていることなどを踏まえて、農林水産省(水産庁)は、5年3月に交付要綱等を改正し、5年度以降の補塡金の算定に当たっては、補塡金単価から急騰対策事業による小売価格の抑制相当額を差し引いて算出した単価を用いることとした。

仮に上記5年度以降の補塡金の算定方法を用いて、4年1月から5年3月までの期間に係る補塡金の交付額を試算すると、305億0265万余円、これに係る国庫補助金等相当額は214億3288万余円となり、交付された補塡金433億2105万余円に係る国庫補助金等相当額310億0792万余円との差額95億7503万余円については、結果として、両省が、同一の事業者における同一の燃油購入に対する支援をそれぞれ行っていたことになると考えられる。

また、各府省庁は、国庫補助金等の交付要綱等において、基金事業の目的、資金の使途等を規定しており、基金事業を実施するに当たっては、資金が基金事業の目的に沿って使用されることが重要である。

そこで、資金が基金事業の目的に沿って使用されているかについてみたところ、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団に設置された、環境省所管の産業廃棄物適正処理推進基金(補助率7/10)(1185番。5年度末時点の基金保有額14億9171万余円、国庫補助金等相当額12億0639万余円)において、当該基金の資金の一部が他の資金と同じ預金口座で管理されていて、預金口座から支払を行う際に、その支払がいずれの資金からの支払に該当するかが区別されていなかったことなどから、少なくとも5年度末時点で基金の収入額及び支出額から算定される基金保有額に対して預金口座の残高が不足しており、基金の一部が基金事業以外の目的に使用されている状況が見受けられた。なお、同財団は、5年度末時点で不足していた額について翌年度に補塡しており、基金保有額に対して預金口座の残高が不足している状況を解消していた。

このように、異なる基金の所管府省庁が、結果として、同一の事業者における同一の燃油購入について事業をそれぞれ実施している状況が見受けられたことを踏まえて、各府省庁において、基金事業の実施に当たり、他の類似の事業の事業内容等について事前に検討を行い必要に応じて調整等を行うことが重要である。また、基金の一部が基金事業以外の目的に使用されている状況が見受けられたことを踏まえて、各府省庁において、資金が基金事業以外の目的に使用されることのないように基金設置団体に適切に管理させることが重要である。

ウ 基金事業の実施に関する事務局への委託等の状況
  • (ア) 事務局業務の委託の状況

    基金法人等の中には、基金事業の実施に関する業務の一部を一括して事務局に委託しているものがある。この場合、例えば、基金事業として多数の者に対して補助金等を交付することを主な事業内容とする基金では、①補助金等の交付規程等の策定、②補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択、③補助金等の交付決定等、④補助金等の額の確定等に係る事務等を事務局に委託し、事務局に対する指導監督、基金に属する資金の運用、各府省庁への基金事業に係る実施状況の報告等の事務等を基金法人等において自ら実施することがある(図表2-7参照)。

    図表2-7 基金事業の実施に関する事務局業務の委託の例(概念図)

    図表2-7 基金事業の実施に関する事務局業務の委託の例(概念図)画像

    (注)
    図表中の①から④までは、別図表12の「事務局が実施している事務」の①から④までに対応している。

    そこで、事務局業務の委託状況についてみたところ、5年度末時点において基金法人等に設置造成されている191基金のうち、29基金(191基金に占める割合15.2%)において基金法人等から事務局への委託が行われていた(基金法人等から事務局への委託が行われている基金については別図表12参照)。

    そして、これらの基金における5年度末時点の事務の分担状況についてみたところ、図表2-8のとおり、事務局が補助金等の交付規程等の策定を実施しているものが13基金(当該業務を実施している28基金に占める割合46.4%)、事務局が補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択を実施しているものが9基金(当該業務を実施している23基金に占める割合39.1%)等となっていた。また、補助金等の交付規程等の策定、補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択、補助金等の交付決定等及び補助金等の額の確定等の全ての事務について事務局への委託が行われているものが6基金見受けられた(各基金の事務局が実施している事務については別図表12参照)。

    図表2-8 事務局への委託が行われている基金における事務の分担状況(令和5年度末時点)

    図表2-8 事務局への委託が行われている基金における事務の分担状況(令和5年度末時点)画像

    注(1)
    各府省庁、基金法人等及び事務局のうち、複数の者が協議して決定を行うなどしていた場合は、最終的な決定を行っている者について集計している。
    注(2)
    「①から④までの事務が行われている基金数」欄の基金数は、事務局への委託が行われている29基金のうち新規申請受付が終了するなどしていて令和5年度末時点において実施されていない事務の内容がある基金を除いた基金数である。
    注(3)
    割合は、「①から④までの事務が行われている基金数」に占める割合を示している。

    事務局への委託が行われている基金については、点検・見直しの横断的な方針において、各府省庁や基金法人等が果たすべき役割についての方針が示され、根幹的な業務を民間企業に実質的に外注することは避けることとされた(第1の3(2)オ参照)。基金事業における個別具体の事務が「根幹的な業務」に該当するかについては、個々の基金事業における委託内容に即して判断されるものの、点検・見直しの横断的な方針の趣旨を踏まえると、図表2-8の①や②に係る事務として、補助金等の交付要件を定めることや、応募内容を審査して補助事業を採択することなどについては、事業の根幹に関わり得る事務であるため、各府省庁や基金法人等が責任を持って実施することが望ましい。

    そこで、5年度末時点で事務局への委託が行われている29基金のうち、補助金等の交付規程等の策定(図表2-8の①)又は補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択(図表2-8の②)を事務局が実施している16基金について、これらを所管するなどしている経済産業省、農林水産省及び国土交通省における点検・見直しの横断的な方針を踏まえた対応状況を確認したところ、次のとおりとなっていた。

    ① 上記16基金のうち13基金を所管するなどしている経済産業省は、6年4月に、執行体制の在り方及び基金法人等と基金に関する業務を担う民間事業者等(事務局等)との役割分担に関する規律の強化のためのルールを策定していた。具体的には、補助金等の交付基準の策定や個々の補助金等の審査といった根幹的な業務は国及び基金法人等において責任を持って実施することを徹底し、事務局においては形式審査や事務補助業務といった国及び基金法人等が策定した基準や指示に従って行われる業務のみを実施することとしていた。そして、同省は、同月以降に補助金等の新規申請受付等を予定している3基金について、交付要綱等を改正して、補助金等の交付基準の策定及び個々の補助金等の審査の事務は基金法人等が行うこととするなどの見直しをしていた。

    ② 前記16基金のうち2基金を所管している農林水産省は、6年4月以降も補助金等の新規申請受付等を予定しているものの、いずれの基金も同省及び基金法人等の指示に従って行われる申請書類の確認等の補助的な業務のみを事務局に実施させており、補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択に係る事務のうちの根幹的な業務は同省及び基金法人等が実施しているとしていた。

    ③ 前記16基金のうち1基金を所管している国土交通省は6年3月に補助金等の新規申請受付を終了することとしていた。これを踏まえて、基金法人等は、7年3月に基金を廃止していた。

  • (イ) 第三者委員会等の構成員と応募者との利害関係の確認状況

    基金事業の実施に当たり補助金等の交付先等の公募に係る審査・採択を行う基金においては、交付要綱等において、専門的な知見を有する者等で構成される第三者委員会等を設置することとなっているものがある。そして、第三者委員会等による審査・採択の結果は、一般に、補助金等の交付先等の選定に影響を及ぼすものであることから、第三者委員会等の構成員は、補助金等の交付先等の公募に係る応募者と利害関係を有していない者とすることが適切である。

    そこで、5年度末時点で事務局への委託が行われている29基金のうち、事務局が第三者委員会等を設置している11基金について、交付要綱等において、第三者委員会等の構成員と応募者との利害関係を確認することが規定されているかをみたところ、確認することが規定されていないものが経済産業省が所管するなどしている3基金及び農林水産省が所管する1基金の計4基金(11基金に占める割合36.4%)見受けられた(第三者委員会等の構成員と応募者との利害関係を確認することについての規定の状況については別図表13参照)。

    そして、これらの4基金について、実際に応募者との利害関係を確認しているかをみたところ、経済産業省が復興庁から予算の移替えを受けて執行している1基金は、確認の結果、応募者との利害関係が認められた第三者委員会等の構成員について、当該応募者に係る審査を行わないように対応したとしていたが、残りの3基金は確認を行っていないとしていた。

  • (ウ) 事務局業務の実施体制

    事務局業務の実施体制についてみたところ、基金法人等からの委託を受けた事務局(第1次受託事業者)の中には、受託した業務の一部を更に他の民間企業等(第2次受託事業者)に委託(以下「再委託」という。)しているものがあり、また、その再委託の相手方が事務局から受託した業務の一部を更に他の民間企業等(第3次受託事業者)に委託しているものが見受けられた(以下、再委託とそれ以降に行われた委託とを合わせて「再委託等」という。)。

    そこで、5年度末時点で事務局への委託が行われている29基金について、事務局業務の再委託等の状況をみたところ、図表2-9のとおり、再委託等を行っていないものが12基金となっている一方で、再委託等を行っているものが17基金(うち第4次受託事業者まで再委託等を行っているものが1基金)見受けられた(各基金の再委託等の最大の階層については別図表12参照)。

    図表2-9 事務局業務の再委託等の状況(令和5年度末時点)

    (単位:基金)

    所管府省庁名予算の移替先再委託等を行っていない基金再委託等を行っている基金
    基金法人等からみた再委託等の最大の
    階層 (注)
    第2次受託
    事業者
    第3次受託
    事業者
    第4次受託
    事業者
    内閣府本府文部科学省111
    経済産業省111
    厚生労働省11
    国土交通省11
    復興庁111
    経済産業省222
    農林水産省55
    経済産業省51173116
    国土交通省111
    1217115129
    (注)
    令和元年度から5年度までに「契約額100万円以上の契約を締結している」又は「支払額が計100万円以上の年度がある」のいずれかに該当する再委託等を対象として、基金法人等からみた再委託等の最大の階層を集計している。

    そして、事務局への委託が行われている29基金における5年度の委託費の支払額について、委託、再委託等の階層ごとにみたところ、図表2-10のとおり、事務局への委託が行われている29基金における事務局に対するものが計299億8465万余円、再委託等を行っている17基金における第2次受託事業者に対するものが計78億5419万余円、第3次受託事業者又は第4次受託事業者までの再委託等を行っている6基金における第3次受託事業者に対するものが計20億7159万余円、第4次受託事業者までの再委託等を行っている1基金における第4次受託事業者に対するものが計1379万余円となっていた。

    図表2-10 29基金における委託、再委託等の階層ごとの委託費の支払額(令和5年度)

    図表2-10 29基金における委託、再委託等の階層ごとの委託費の支払額(令和5年度)画像

    (注)
    括弧内の基金数は各階層の受託事業者に対して委託又は再委託等が行われている基金数を、金額は各階層の受託事業者に対して令和5年度に支払われた委託費の合計額をそれぞれ示している。

    このうち、第4次受託事業者までの再委託等が行われ、その階層が最大であった経済産業省所管の中小企業等事業再構築促進基金(1144番)について5年度の再委託等の状況をみたところ、中小企業等事業再構築促進事業において、再委託等の相手方は計20者に上っていた(同事業における5年度の再委託等の状況については別図表14参照)。

  • (エ) 事務局業務の再委託を行う場合の承認の状況

    一般に、委託契約においては、受託者に対して、契約の全部又は一部を更に第三者に再委託することを無条件に認めると、当該受託者を選定した発注者の意図に沿わない結果となるリスク、契約履行の責任の所在が不明確になって適正な履行の確保が阻害されるリスク、再委託の必要性や合理性についての検討が十分に行われないまま再委託が行われることにより、業務の効率性が損なわれるリスク等がある。

    そして、再委託については上記のようなリスクがあることから、これに対処するために、事務局が事務局業務の再委託を行う場合には、再委託を行う合理的な理由、再委託の相手方が業務を履行する能力等について各府省庁が自ら審査して、適当と認められた場合に限って再委託の承認を行うことを各府省庁が定める交付要綱等に規定し、確実に再委託の承認を行う体制を確保することが重要である。

    そこで、各府省庁が定める交付要綱等において、事務局が事務局業務の再委託を行う場合にあらかじめ各府省庁の承認を得る必要があることが規定されているかについてみたところ、5年度末時点において事務局業務の再委託等が行われていた17基金のうち、承認を得る必要があることが規定されていて実際に各府省庁の承認を得ているものが10基金(17基金に占める割合58.8%)となっている一方、承認を得る必要があることが規定されていないものが7基金(同41.2%)見受けられた。

    これらの承認を得る必要があることが規定されていない7基金は、基金法人等と事務局の間で締結した委託契約書において、再委託を行う場合にあらかじめ基金法人等の承認を得ることなどとなっていた(事務局業務の再委託を行う場合に各府省庁の承認を得る必要があることが規定されていない基金については別図表15参照)。

  • (オ) 事務局業務の実施体制の把握状況
    (エ)のとおり、再委託については、これを無条件に認めると受託者を選定した発注者の意図に沿わない結果となるなどのリスクがあることから、各府省庁において、再委託等の相手方を含む事務局業務の実施体制を把握できるようにすることが重要である。

    そこで、各府省庁が定める交付要綱等において、事務局業務の再委託等を行う場合に、再委託等の相手方の名称、再委託等を行う業務の内容等について記載した書面(以下「実施体制図」という。)を各府省庁に提出することが規定されているか、また、実施体制図の提出時期がどのように規定されているかなどについてみたところ、5年度末時点において事務局業務の再委託等が行われていた17基金のうち、提出することが規定されていないものが2基金(17基金に占める割合11.8%)見受けられた(事務局業務の再委託等を行う場合に実施体制図を各府省庁に提出することが規定されていない基金については別図表16(1)参照)。

    このうち1基金について、所管府省庁は、実施体制に変更が生ずる都度、所管府省庁、基金法人等及び事務局で協議を行うなどして実施体制を把握していた。一方で、残りの1基金について、所管府省庁は、基金法人等から毎年度提出を受けることとなっている実績報告書を確認するなどして実施体制を把握していて、事務局業務の実施体制の変更を適時に把握できるようになっていなかった。

    また、実施体制図を提出することが規定されている15基金(17基金に占める割合88.2%)のうち、1基金は、事務局業務に係る委託契約の締結時に提出することとされているものの、実施体制の変更の都度提出することとされておらず、事務局業務の実施体制の変更を適時に把握できるようになっていなかった(実施体制図を実施体制の変更の都度提出することとされていない基金については別図表16(2)参照)。

    このように、各府省庁が定める交付要綱等において、事務局が事務局業務の再委託を行う場合にあらかじめ各府省庁の承認を得る必要があることが規定されていない基金、事務局業務の再委託等を行う場合に実施体制図を各府省庁に提出することが規定されていない基金及び事務局業務に係る委託契約の締結時に実施体制図を提出することとされているものの実施体制の変更の都度提出することとされていない基金が見受けられた。これらを踏まえて、各府省庁は、各府省庁が定める交付要綱等において、基金法人等から委託を受けた事務局が事務局業務の再委託を行う場合等に、あらかじめ各府省庁の承認を得る必要がある旨の規定を定めること、委託契約の締結時に加えて、実施体制の変更がある都度実施体制図を各府省庁に提出する旨の規定を定めることなどにより、事務局業務が適切に実施されるようにすることが重要である。

(2) 管理費の状況等

ア 管理費の状況
  • (ア) 支出額に占める管理費の割合等

    行政事業レビュー実施要領等によれば、基金法人等に設置造成された基金については、基金シートにより支出額を事業費と管理費に区分して公表することとされており、このうち管理費には各種の事業を管理するために毎年度恒常的に要する支出を記載することとされている。

    そして、公表されている基金シートに管理費として計上されている費用は、基金法人等の人件費、事務局に対する委託費等となっており、都道府県に設置造成されている基金の5年度の管理費は計5億余円であるのに対して、基金法人等に設置造成されている基金の5年度の管理費は計452億余円と多額になっていた。

    そこで、5年度末時点において基金法人等に設置造成されている191基金のうち、5年度において基金からの支出がなかった13基金を除く178基金について、各基金における支出額に占める管理費の割合についてみたところ、図表2-11のとおり、5年度における当該割合は、10%以下のものが114基金見受けられた一方で、100%となっているもの、すなわち、支出が管理費のみとなっているものが24基金見受けられた(5年度の支出が管理費のみとなっている基金については別図表17参照)。

    図表2-11 基金法人等に設置造成されている基金の支出額に占める管理費の割合の分布状況(令和5年度)

    図表2-11 基金法人等に設置造成されている基金の支出額に占める管理費の割合の分布状況(令和5年度)画像

    上記の24基金(管理費の5年度の支出額計4億9959万余円(国庫補助金等相当額同額)。5年度末時点の基金保有額計1兆0813億9597万余円(同))について、5年度における支出が管理費のみとなっている理由を確認したところ、図表2-12のとおり、①基金の設置造成から間がなく、5年度においては事業費の支出に至らなかったためとしているものが13基金、②災害等の要件が発生した場合に事業費を支出する基金であって、5年度には事業費を支出する要件が発生しなかったためとしているものが3基金、③既に基金事業が終了していて、基金法人等が事業の効果検証等を実施していたためとしているものが8基金となっていた(①から③までに該当する基金については別図表17参照)。

    図表2-12 支出が管理費のみとなっている基金の状況(令和5年度)

    (単位:基金、%、万円)

    理由基金数割合管理費の支出額令和5年度末の基金保有額
    ①基金の設置造成から間がなく、5年度においては事業費の支出に至らなかったため1354.24億53031兆0702億0797
    ②災害等の要件が発生した場合に事業費を支出する基金であって、5年度には事業費を支出する要件が発生しなかったため312.51443109億9016
    ③既に基金事業が終了していて、基金法人等が事業の効果検証等を実施していたため833.332121億9783
    24100.04億99591兆0813億9597
    (注)
    割合は、「計」欄の基金数に占める割合を示している。

    そして、上記③の8基金について、元年度以降の事業費の支出の状況についてみたところ、元年度から5年度までの5年間の支出が管理費のみとなっているものが4基金、2年度から5年度までの4年間の支出が管理費のみとなっているものが1基金、3年度から5年度までの3年間の支出が管理費のみとなっているものが3基金となっていた(上記の期間ごとに該当する基金については別図表17(3)参照)。

    なお、6年4月、行政改革推進会議は、点検・見直し結果において、「支出が管理費のみとなっている事業のうち事業が終了しているものについては廃止することを原則とした結果、該当する11事業全てについて、令和6年度までに廃止することとされた」ことを公表した。そして、当該11事業を実施するために設置造成されている11基金の状況についてみたところ、3基金は5年度までに廃止されていた(この3基金は5年度末時点の基金保有額がないため前記の③には含まれていない。)。また、残りの8基金(前記の③と同じ。)は、6年度末までに廃止されていた。

  • (イ) 管理費等の内訳

    (ア)のとおり、基金法人等に設置造成されている基金の管理費の支出額は、都道府県に設置造成されている基金の管理費の支出額と比べて多額に上っている。そこで、基金法人等に設置造成されている基金の管理費の支出額の内訳についてみたところ、図表2-13のとおり、5年度に基金法人等が支出した管理費の支出額計452億余円のうち、人件費は65億余円(管理費の支出額に占める割合14.6%)、委託費は309億余円(同68.4%)等となっていた。

    図表2-13 基金法人等に設置造成されている基金における管理費の支出額の内訳

    (単位:億円、%)

    費目令和元年度2年度3年度4年度5年度
    金額割合金額割合金額割合金額割合金額割合
    管理費の支出額239100.0207100.0351100.0398100.0452100.0
    人件費2711.72512.53811.04511.46514.6
    委託費14460.114168.326174.429774.630968.4
    その他6728.23919.35114.65514.07617.0
    注(1)
    「その他」は、物件費、旅費、一般管理費等である。
    注(2)
    割合は、「管理費の支出額」に占める割合を示している。

    そして、委託費309億余円のうち、事務局に対する支出額は299億余円(委託費に占める割合96.8%)に上っている。

    そこで、事務局に対する支出額の内訳についてみたところ、図表2-14のとおり、5年度においては、人件費137億余円(事務局に対する支出額に占める割合46.0%)、再委託費75億余円(同25.2%)等となっていた。

    図表2-14 事務局に対する支出額の内訳

    (単位:億円、%)

    費目令和元年度2年度3年度4年度5年度
    金額割合金額割合金額割合金額割合金額割合
    事務局に対する支出額96100.0106100.0164100.0211100.0299100.0
    人件費1313.51514.73521.55827.713746.0
    再委託費7779.77671.68451.49746.17525.2
    その他66.81413.74427.15526.28628.8
    注(1)
    「その他」は、物件費、旅費、一般管理費等である。
    注(2)
    割合は、「事務局に対する支出額」に占める割合を示している。
イ 各府省庁による管理費の確認状況

基金によっては事務局への委託が行われていて、更に再委託等が多層にわたり行われているなど、基金事業における資金の流れが複雑なものとなっている場合がある。また、一般的な国庫補助事業等については、原則として単年度で事業が終了して、これに伴い各府省庁によって事業に係る支出等に対する確認が行われるため、仮に、支出額に誤りや不適切な点があったとしても、年度ごとにそれらの状況を把握して適切な額に是正することなどが可能である。一方で、基金事業については、複数年度にわたり実施されるものであり、終了するまでに10年以上かかる場合もあるため、事業終了を待って支出等に対する確認を行おうとする場合には、是正すべき状況が長期に及ぶことなどが想定される。

したがって、各府省庁は、基金法人等において管理費が適切に支出されているかなどの確認について、基金事業の終了を待って行うのではなく、必要に応じて確認を行うことができるようにするとともに、適時適切に確認を行うことが重要である。そして、各府省庁は、補助事業者等である基金法人等に対しては、補助金適正化法等の規定に基づいて帳簿書類の確認等を行うことができる一方で、基金法人等の委託先である事務局や再委託等の相手方に対しては、事務局及び再委託等の相手方が補助事業者等に該当しないため、補助金適正化法等の規定に基づいて帳簿書類の確認等を行うことができない。このため、各府省庁は、必要に応じて、自ら又は基金法人等や事務局を通じて、証ひょう書類によって事務局及び再委託等の相手方における支出の裏付けを確認できるように、基金事業に要した経費の証ひょう書類を徴するなどして行う確認(以下「証ひょう書類の確認」という。)に関する規定を定めておくことなどが重要である。

  • (ア) 証ひょう書類の確認体制

    各府省庁が事務局及び再委託の相手方に対して必要に応じて証ひょう書類の確認ができるようにしているかをみたところ、5年度末時点で事務局への委託が行われている29基金のうち、基金法人等と事務局が締結した委託契約書等において、各府省庁が自ら又は基金法人等を通じて事務局に対して証ひょう書類の確認ができることが規定されていないものが2基金(29基金に占める割合6.9%)見受けられた。

    また、再委託等が行われている17基金について、事務局と再委託の相手方が締結した委託契約書等において、事務局が再委託の相手方に対して証ひょう書類の確認ができるようにしているかをみたところ、各府省庁が5年度末時点において、事務局が再委託の相手方に対して証ひょう書類の確認ができる規定(以下「事務局による確認規定」という。)の有無を把握していなかったものが2基金(17基金に占める割合11.8%)見受けられた。これらについて、事務局による確認規定の有無をみたところ、1基金は事務局による確認規定が定められていたが、残りの1基金は定められていなかった。

    一方、各府省庁が事務局による確認規定の有無を把握していた残りの15基金においては、いずれも事務局による確認規定が定められていた。これらについて、各府省庁が自ら又は基金法人等を通じて再委託の相手方に対して証ひょう書類の確認ができる規定が定められているかをみたところ、定められているものが12基金(15基金に占める割合80.0%)、定められていないものが3基金(同20.0%)見受けられた(各府省庁による証ひょう書類の確認体制については別図表18参照)。

  • (イ) 証ひょう書類の確認状況

    5年度末時点において基金法人等に設置造成されている191基金のうち、5年度に設置造成された12基金及び4年度までに設置造成されて元年度から5年度までの間に管理費の支出がなかった48基金の計60基金を除く131基金について、元年度から5年度までの間における各府省庁等による基金法人等に対する管理費に関する証ひょう書類の確認状況(注14)をみたところ、毎年度確認しているものが55基金(131基金に占める割合42.0%)、毎年度ではないものの1回以上確認しているものが10基金(同7.6%)となっている一方、一度も確認していないものが66基金(同50.4%)見受けられ、このうち29基金は、基金の設置造成から5年以上が経過していた。

    (注14)
    国庫補助金等を原資として、独立行政法人が基金法人等に国庫補助金等を交付して基金が設置造成されている場合は、当該独立行政法人による管理費に関する証ひょう書類の確認状況を含む。

    そして、上記66基金のうち、水産業競争力強化基金(1090番)及び資源管理・漁業革新推進基金(資源管理・漁業革新推進勘定、競争力強化型勘定)(1091番)において、所管府省庁が基金法人等に対して、管理費に関する証ひょう書類の確認を行っておらず、人件費の算定が適切に行われていない事態を把握していなかった状況が見受けられた。

    上記について、事例を示すと次のとおりである。

    <事例7> 所管府省庁が基金法人等に対して、管理費に関する証ひょう書類の確認を行っておらず、人件費の算定が適切に行われていない事態を把握していなかったもの

    農林水産省(水産庁)は、平成27年度から令和5年度までの各年度において、特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構に対して、漁業経営安定対策事業費補助金計1435億9963万余円を交付して、同機構は、同補助金を原資として水産業競争力強化基金(1090番)を設置造成している。同機構は、同基金を取り崩して、漁業者の所得向上に取り組むために必要な漁船の導入経費等の助成を行うなどの事業を行っている。また、同機構は、同基金に関する事務処理等に要した管理費についても同基金を取り崩して充当していて、元年度から5年度までの管理費は計4億8535万余円、このうち人件費は4億0945万余円となっていた。

    同機構は、同基金を取り崩して充当する人件費について定められた「補助事業等の実施に要する人件費の算定等の適正化について」(平成22年22経第960号農林水産省大臣官房経理課長通知。以下「適正化通知」という。)によれば、作業時間を記録する業務日誌を整備することとされているのに、この業務日誌を整備していなかった。そして、人件費の算定に当たり、適正化通知で定められた方法(事業の従事者ごとに1時間当たりの単価に事業に従事した作業時間を乗ずる方法)により算定するのではなく、事業の従事者ごとの賃金等に、独自の考え方に基づき当該従事者ごとに定めた事業への従事比率を乗ずるなどの方法により算定しており、人件費の算定が適切に行われていなかった。

    しかし、同省は、元年度から5年度までの間、一度も同機構の管理費に関する証ひょう書類の確認を行っておらず、上記のとおり、人件費の算定が適切に行われていない事態を把握していなかった。

    なお、会計検査院の検査を踏まえて、同省は、6年6月に、同機構に対して、今後の事業の実施に当たっては業務日誌を整備するとともに、適正化通知において定められた方法により人件費を算定するよう指導した上で、6年度末に証ひょう書類の確認を行ったとしている。

    このように、基金法人等と事務局が締結した委託契約書等において各府省庁が自ら又は基金法人等を通じて事務局に対して証ひょう書類の確認ができることが規定されていない基金、各府省庁が事務局による確認規定の有無を把握していなかった基金及び元年度から5年度までの間において各府省庁等が基金法人等の管理費に関する証ひょう書類を一度も確認していない基金が見受けられた。これらを踏まえて、各府省庁において、基金法人等、事務局及び再委託の相手方に対する証ひょう書類の確認に関する規定を定めることなどにより必要に応じて証ひょう書類の確認を行うことができるようにするとともに、当該規定に基づくなどして管理費が適切に支出されていることを適時適切に確認することが重要である。

3 基金に対する点検等の取組状況

(1) 成果目標及び終了予定時期の設定状況等

ア 成果目標の設定状況等
  • (ア) 基金法人等に設置造成されている基金における成果目標の設定状況

    各府省庁は、行政事業レビュー実施要領等に基づき、基金法人等に設置造成された基金について、毎年度、成果の達成状況、保有資金規模、基金への拠出額等の厳格な点検を行い、執行の改善や余剰資金の国庫返納を行うこととなっている。

    これらのうち、成果の達成状況の点検に関して、基金基準によれば、基金事業については基金法人に委ねられ長期にわたり実施されるため、効率的・効果的に基金事業が実施されているかどうかについて的確に検証することが必要であるとされている。そして、基金法人は、基金についての定期的な見直しを行う際に、所管府省が「政策評価に関する基本方針の改定について」(平成17年12月閣議決定)等の規定に準じてあらかじめ事業の効果に着目して定めた目標の達成度を評価し、当該結果を公表することとされている。

    そして、「政策評価に関する基本方針の改定について」によれば、政策効果の把握に当たっては、できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いることとされている。そして、これが困難である場合、又は政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保に結びつかない場合においては、政策効果を定性的に把握する手法を用いることとされており、この場合においても、できる限り、客観的な情報・データや事実を用いることにより、政策評価の客観的かつ厳格な実施の確保を図ることとされている。

    また、点検・見直しの横断的な方針においても、予算決定と同時に、3年程度の短期のものも含めて、定量的な成果目標を策定して公表することとされている。そして、点検・見直し結果において、4年度末時点の状況を示す基金シート(5年9月公表)では、基金法人等に設置造成された基金(152基金(注15)、200事業(注16))のうち、定量的な短期の成果目標が設定されていない事業が71、長期の成果目標が設定されていない事業が63あったが、点検・見直し対象事業全てについて、定量的な成果目標が設定されたことが示された。

    (注15)
    行政事業レビュー実施要領において、1つの基金において複数の基金事業を実施している場合には、国民への分かりやすさや余剰資金の有無の検証可能性等に配意して、適切な基金事業の単位を設定した上で、基金事業別に基金シートを作成することとなっている。一方、点検・見直し結果においては、複数の基金シートが作成されている場合であっても、基金が1つであれば1基金として計上されている。以下同じ。
    (注16)
    事業数は作成された基金シートごとに1事業として計上されている。
  • (イ) 都道府県に設置造成されている基金における成果目標の設定状況

    各府省庁は、行政事業レビュー実施要領等に基づき、都道府県に設置造成された基金についても、都道府県の事務負担に留意しつつ、基金法人等に設置造成された基金に対して行われる点検内容を踏まえて、精査を行うこととなっており、執行状況表には各府省庁が定める成果目標(以下「全国単位の成果目標」という。)を記載し、公表することとなっている。

    そして、都道府県に設置造成された基金については、「独法・公益法人等に造成された基金全体の点検・見直しに係る調書の作成について」(令和5年12月内閣官房行政改革推進本部事務局長事務連絡)等において、点検・見直しの横断的な方針を踏まえた見直しの対象であることが示されていて、必要に応じて各府省庁から都道府県に点検・見直しの横断的な方針の内容を連絡して、5年度末時点の状況を示す執行状況表により見直し後の状況を公表することとなっている。しかし、執行状況表の具体的な記載内容は各府省庁に委ねられていて、点検・見直し結果のように、全ての基金の見直し結果をまとめた資料は公表されていない。

    そこで、5年度末時点で都道府県に設置造成されている63基金について、全国単位の成果目標の設定状況をみたところ、図表3-1のとおり、各府省庁が全国単位の成果目標を設定していないものが2基金(国民健康保険広域化等支援基金(2043番)及び農業改良資金(2046番)。63基金に占める割合3.2%)見受けられた。これらの2基金は、いずれも新規の事業がなく事業者からの償還金の国庫返納のみを行っているものであった。

    また、図表3-1のとおり、全国単位の成果目標を設定している基金についても、成果目標の中に定量的な成果目標が含まれていないものが10基金(63基金に占める割合15.9%)見受けられた(各基金において定量的な成果目標が含まれていない理由については別図表19参照)。

    図表3-1 都道府県に設置造成されている基金における全国単位の成果目標の設定状況(令和5年度末時点)

    図表3-1 都道府県に設置造成されている基金における全国単位の成果目標の設定状況(令和5年度末時点)画像

    注(1)
    「定量的な成果目標が含まれているもの」には、都道府県がそれぞれ設定した定量的な目標を達成することをもって全国単位の成果目標としているものが2基金含まれる。
    注(2)
    割合は、「計」欄の基金数に占める割合を示している。

    一方、都道府県が1県基金ごとに設定する成果目標(以下「都道府県単位の成果目標」という。)は、全国単位の成果目標とは異なり、執行状況表に記載することとなっておらず、設定状況が明らかになっていない。しかし、基金事業の実施状況、成果の達成状況等は都道府県ごとに異なる場合があるため、基金事業が効果的に実施されているかなどを的確に検証するためには、都道府県単位の成果目標を設定することが有効と考えられる。また、都道府県単位の成果目標を設定する際には、全国単位の成果目標と同様に、定量的な成果目標を設定することが望ましいと考えられる。

    そこで、5年度末時点で都道府県に設置造成されている869県基金のうち1都、1道、1府又は1県のみに設置造成されている基金(32県基金)を除く837県基金について、都道府県単位の成果目標の設定状況をみたところ、図表3-2のとおり、各都道府県が定量的な成果目標を設定しているものが435県基金(837県基金に占める割合52.0%)となっていた一方で、都道府県単位の成果目標を設定していないものが344県基金(同41.1%)見受けられた。その理由を確認したところ、244県基金(同29.2%)については、各府省庁が定める要領等で成果目標の設定を求められていないためとしていた(各基金において都道府県単位の成果目標が設定されていない理由については別図表20参照)。

    また、図表3-2のとおり、都道府県単位の成果目標を設定している基金についても、成果目標の中に定量的な成果目標が含まれていないものが58県基金(837県基金に占める割合6.9%)見受けられた。

    図表3-2 都道府県に設置造成されている基金における都道府県単位の成果目標の設定状況(令和5年度末時点)

    図表3-2 都道府県に設置造成されている基金における都道府県単位の成果目標の設定状況(令和5年度末時点)画像

    (注)
    割合は、「計」欄の県基金数に占める割合を示している。

    そして、新規の事業がなく事業者からの償還金の国庫返納のみを行っている国民健康保険広域化等支援基金(2043番)及び農業改良資金(2046番)(2基金、29県基金)を除いても、計10基金について各府省庁が定量的な全国単位の成果目標を設定しておらず、計373県基金について都道府県が定量的な都道府県単位の成果目標を設定していない状況となっていた。

  • (ウ) 成果目標及び成果指標の内容

    行政事業レビュー実施要領等に基づき、基金法人等に設置造成された基金については、当該事業の事業目的にかなった定量的な成果目標や短期・中長期の成果目標を達成するための効果発現経路を基金シートにおいて公表することとなっており、成果目標に加えて、成果目標の測定基礎となる単位(事業の効果により変動する数値)も、成果指標として基金シートに記載することとなっている。そして、都道府県に設置造成された基金についても、執行状況表において、同様の内容を公表することとなっている。

    しかし、各府省庁が成果目標や成果指標として定量的な目標や指標を設定しているものの、次のとおり、基金事業が効果的に実施されているかなどについて検証する上で、成果目標及び成果指標が適切なものとなっていないものが2基金見受けられた(これらの基金の成果目標及び成果指標の詳細については別図表21参照)。

    ① 内閣府本府所管(総務省に移替え)の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金による基金(2007番)において、内閣府本府は成果目標を「地方公共団体が地域の実情に応じて、きめ細かに必要な事業を実施する」、成果指標を「基金の造成を希望する団体のうち、基金を造成した団体の割合」と設定していて、成果指標が事業の効果により変動する数値となっておらず、基金事業の目的の達成度合を表すものとなっていなかった。

    ② 厚生労働省所管の地域医療介護総合確保基金(医療分)(2038番)において、同省は成果目標を「都道府県が計画を作成」等、成果指標を「都道府県計画の作成数」等と設定していて、成果指標が事業の効果により変動する数値となっておらず、基金事業の目的の達成度合を表すものとなっていなかった。

イ 終了予定時期の設定状況等
  • (ア) 基金法人等に設置造成されている基金における終了予定時期の設定状況

    基金基準によれば、基金法人に新たに設置する基金について、原則として設置後10年を超えない範囲で、各府省庁が終了予定時期を設定することとされている。ただし、法律を受けて実施される事業であって終了予定時期について法律に特段の定めがない基金事業、終了予定時期の設定が国際交渉に影響を及ぼすおそれのある基金事業又は犯罪被害者等の救済を継続して行う基金事業については、この限りではないとされている。そして、設定した終了予定時期は、行政事業レビュー実施要領等に基づき、基金シート又は執行状況表において公表することとなっている。

    また、点検・見直しの横断的な方針においても、基金の終了期限については、当面具体的に見通せる成果目標を早期に検証する観点も含めて、具体的な期限設定を行うこととされている。そして、点検・見直し結果において、4年度末時点の状況を示す基金シート(5年9月公表)では、基金法人等に設置造成された基金(152基金、200事業)のうち終了予定時期が設定されていない事業が65あったが、原則として、次のとおり終了予定時期が設定されて、点検・見直しの対象事業全てについて成果の検証を行うこととしたことが示された。

    ① 設置から10年を経過していない事業については設置から10年以内

    ② 設置から10年を経過している事業については点検・見直し結果の公表から3年以内(遅くとも8年度末まで)

    ③ 基金基準において終了予定時期を設定する必要がないとされている事業については点検・見直し結果の公表から10年以内(遅くとも15年度末まで)

    そこで、基金法人等に設置造成されている基金について、点検・見直し結果の後に公表された5年度末時点の状況を示す基金シートにおける終了予定時期の設定状況をみたところ、基金事業等の性質、内容等を踏まえると具体的な終了予定時期を設定することがそぐわないと考えられるとして、各府省庁が終了予定時期を設定していないものが11基金見受けられた。これらの11基金について、各府省庁は、それぞれの基金事業の状況を踏まえた上で定期的に事業の効果を検証するなどとしていた(終了予定時期が設定されていない基金については別図表22参照)。

    また、各府省庁が終了予定時期を設定しているものの、点検・見直し結果において示された前記①及び②の期間内で設定していないものが7基金見受けられた。これらの7基金について、各府省庁は、基金シートにおいて、前記①及び②の期間内に成果の検証を行うなどとしていた(終了予定時期が点検・見直し結果において示された期間内で設定されていない基金については別図表23参照)。なお、前記の③に該当して終了予定時期をその期間内で設定していない基金は見受けられなかった。

  • (イ) 都道府県に設置造成されている基金における終了予定時期の設定状況

    都道府県に設置造成された基金については、「独法・公益法人等に造成された基金全体の点検・見直しに係る調書の作成について」等において、点検・見直しの横断的な方針を踏まえた見直しの対象であることが示されており、必要に応じて各府省庁から都道府県に連絡して、5年度末時点の状況を示す執行状況表で見直し後の状況を公表することとなっている。しかし、執行状況表の具体的な記載内容は各府省庁に委ねられていて、点検・見直し結果のように、全ての基金の見直し結果をまとめた資料は公表されていない。

    そこで、都道府県に設置造成されている63基金について、5年度末時点の状況を示す執行状況表における終了予定時期の設定状況をみたところ、各府省庁が終了予定時期を設定していないものが22基金(都道府県に設置造成されている63基金に占める割合34.9%)見受けられた(終了予定時期が設定されていない基金については別図表24参照)。

    これらの22基金について、終了予定時期が設定されていない理由を確認したところ、法律を受けて実施される事業であって事業を終了する時期について法律に特段の定めがない基金事業のためなどとしていた。しかし、前記のとおり、点検・見直し結果によると、このような基金事業を含め、基金基準において終了予定時期を設定する必要がないとされている事業についても点検・見直し結果の公表から10年以内(遅くとも15年度末まで)で終了予定時期を設定することが原則となっており、「独法・公益法人等に造成された基金全体の点検・見直しに係る調書の作成について」等において、都道府県に設置造成された基金についても点検・見直しの横断的な方針を踏まえた見直しの対象であることが示されている。

    また、各府省庁が終了予定時期を設定しているものの、点検・見直し結果において示された前記①及び②の期間内で設定していないものが2基金見受けられた(終了予定時期が点検・見直し結果において示された期間内で設定されていない基金については別図表25参照)。なお、前記の③に該当して終了予定時期をその期間内で設定していないものは見受けられなかった。

    これらの2基金について、前記①及び②の期間内で設定されていない理由を確認したところ、目的を達成した場合には終了予定時期の前に基金を廃止することになっているためなどとしていた。

  • (ウ) 終了予定時期の延長の状況

    基金基準において、事業を終了する時期を延長することができる事業として、法律を受けて実施される事業であって終了予定時期について法律に特段の定めがない基金事業及び当面の危機対応や社会経済情勢の変化への対応等のために事業を継続する必要性が認められる基金事業が挙げられている。

    また、点検・見直し結果において、終了予定時期の到来後の対応については、成果の検証を踏まえて検討することとなっている。

    そして、基金法人等に設置造成されている17基金及び都道府県に設置造成されている9基金は、4年度末時点の状況を示す基金シート又は執行状況表において設定していた終了予定時期(注17)を、5年度末時点の状況を示す基金シート又は執行状況表において延長しており、これらの中には、所管府省庁が基金事業を終了する時期を延長した後に、新たな事業を実施していたものが見受けられた(終了予定時期を延長している基金については別図表26及び別図表27参照)。

    (注17)
    新規申請の受付を終了した後も既採択分の支払等の後年度負担が発生する事業について、基金基準では「新規申請の受付を終了する時期」が「終了予定時期」となるが(第1の3(2)ア参照)、これに加えて、「基金事業を終了する時期」のみを延長している場合も「終了予定時期を延長している基金」として集計している。

    上記について、詳細を示すと次のとおりである。

    <事例8> 所管府省庁が基金事業を終了する時期を延長した後に、新たな事業を実施していたもの

    厚生労働省は、新型コロナウイルスワクチン(以下「ワクチン」という。)等の生産体制を整備し、新型コロナウイルス等の感染症の発生及び流行時に必要なワクチン等をより迅速に製造できる体制を確保するとともに、新型コロナウイルス感染症治療薬を確保し、国民の保健衛生の向上に寄与することを目的として、令和2年度から4年度までの各年度において、一般社団法人新薬・未承認薬等研究開発支援センターに対して、新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金計4兆4191億8891万余円を交付している。そして、同センターは、同交付金を原資としてワクチン生産体制等緊急整備基金(1051番)を設置造成して、ワクチン等の生産体制を整備する事業、ワクチンの確保及び安定的な国内供給に向けた環境を整備する事業(以下「ワクチン確保等事業」という。)及び同治療薬を確保するなどの事業を実施していて、5年度末時点の基金保有額は7852億0958万余円となっている。

    上記のうち、ワクチン確保等事業については、2年度から、海外ワクチン(5年11月以降は国内外のワクチン)の確保及び供給に向けた環境整備として、国と国内供給計画、ワクチンの価格及び購入計画について協議が整った法人に対して、ワクチンの保管に必要となる設備の新設等に必要な工事請負費、委託料等を助成する事業を実施している。そして、4年度末時点の同基金の管理運営要領によれば、基金事業を終了する時期は5年度末までとされていた。その後、同省は、国内における新型コロナウイルスの変異株の流行等の状況の変化に伴い、ワクチン等の生産体制を整備する事業において、当該変異株に対応したワクチンの生産体制を整備する必要が生じたことから、5年10月に管理運営要領を改正して、基金事業を終了する時期を6年度末まで延長していた。

    その後、同省は、6年度からワクチン接種が予防接種法(昭和23年法律第68号)上の定期接種に位置付けられ、国がワクチンの確保や配送指示等を行う特例臨時接種から、自治体や医療機関においてワクチンの調達を行う定期接種に移行されたことを受けて、5年12月に、ワクチンの1回当たりの接種費用を7,000円(原則、被接種者が自己負担)と積算して、同月のワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会において周知し、当該説明会の資料を同省のウェブサイトに掲載していた。

    同省は、6年2月に、複数のワクチン製造販売事業者にワクチンの希望小売価格を聴取したところ、1回当たりの接種費用が当初に積算していた7,000円ではなく15,300円程度になることが見込まれた。そのため、特例臨時接種から定期接種への移行期における激変緩和措置を講ずることにして、同年3月のワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会において、同基金から市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して助成金を交付することにより、被接種者が7,000円の自己負担でワクチン接種を受けられるようにすることを周知していた。そして、同年5月に管理運営要領を改正して、ワクチン確保等事業の一環として、希望する全ての対象者がワクチンの定期接種を受けられるよう、市町村が新型コロナウイルスに係る定期の予防接種を行うために必要なワクチンを確保する費用の一部を助成する事業(以下「定期接種ワクチン確保事業」という。)を新たに実施していた。

    同省は、激変緩和措置として新たに定期接種ワクチン確保事業を実施することとした理由について、自治体からの財政支援の要望も踏まえ、ワクチンの確保や安定供給に支障を来さず、接種を希望する国民が安心して接種できるようにする必要があるためとしている。そして、同基金で実施することとした理由について、定期接種ワクチン確保事業もワクチン等の生産体制を整備し、新型コロナウイルス等の感染症の発生及び流行時に必要なワクチン等をより迅速に製造できる体制を確保するとともに、新型コロナウイルス感染症治療薬を確保し、国民の保健衛生の向上に寄与するという前記の同交付金の交付要綱等における事業目的の範囲内であるためなどとしている。

    このように、同省は、基金事業を終了する時期を延長した後、6年3月には、同基金により定期接種ワクチン確保事業を新たに実施することとしていたが、5年度末の状況を示す基金シート(6年9月公表)において、定期接種ワクチン確保事業に係る事業見込額を記載するなどしておらず、定期接種ワクチン確保事業を実施することを公表していなかった。公表していなかった理由について、同省は、同基金シートは、5年度までの状況を示すものと認識しているため、また、6年度は定期接種の初年度であり今後の事業見込額を算出することが困難であるためなどとしている。

このように、都道府県に設置造成されている基金について、全国単位の成果目標の中に定量的な成果目標が含まれていない基金、成果目標及び成果指標が適切なものとなっていない基金、終了予定時期が設定されていない基金及び終了予定時期が点検・見直し結果において示された期間内で設定されていない基金が見受けられた。これらを踏まえて、各府省庁において、基金法人等だけではなく都道府県に設置造成されている基金についても、基金事業の目的、内容等を考慮して、適切かつ定量的な全国単位の成果目標及び具体的な終了予定時期を設定するなどして、適時に的確な点検を実施できるようにすることが必要である。また、都道府県単位の成果目標が設定されていない基金及び設定されている都道府県単位の成果目標の中に定量的な成果目標が含まれていない基金が見受けられたことを踏まえて、基金事業が効果的に実施されているかなどを的確に検証するために、各府省庁において、必要に応じて定量的な都道府県単位の成果目標を設定するよう都道府県に求めることが望ましいと考えられる。

(2) 国庫返納の検討状況等

ア 基金の国庫返納の状況

基金基準によれば、使用見込みの低い基金等を保有する基金法人は、定期的な見直しの際に、基金の財源となっている国からの補助金等の国庫への返納等、その取扱いを検討することとされている。

また、行政事業レビュー実施要領によれば、基金法人等に設置造成された基金について、基金事業の厳格な点検を行い、余剰資金の国庫返納を行うこととされており、都道府県に設置造成された基金についても、都道府県の事務負担に留意しつつ、基金法人等に設置造成された基金に対して行われる点検内容を踏まえて精査を行い、余剰資金があれば、都道府県に国庫納付を促すこととされている。

さらに、平成26年度以降、毎年、行政改革推進会議は各府省庁に対して、余剰資金について国庫返納を行うとともに引き続き不断の見直しを行うことなどを通知している。

そこで、基金法人等に設置造成されている基金及び都道府県に設置造成されている基金について、令和元年度から5年度までの所管府省庁別の国庫返納の状況をみたところ、図表3-3-1及び図表3-3-2のとおり、それぞれ計1兆2469億1753万余円及び計1059億1133万余円の国庫返納が行われていた。

図表3-3-1 所管府省庁別の国庫返納の状況(基金法人等)

(単位:基金、万円)

所管府省庁名令和元年度2年度3年度4年度5年度
基金数国庫返納額基金数国庫返納額基金数国庫返納額基金数国庫返納額基金数国庫返納額国庫返納額
内閣府本府-----------
こども家庭庁-----------
復興庁3401億834846億991426,83221億0809448億1460458億7366
総務省--------1185億8729185億8729
外務省-----------
財務省-----------
文部科学省19億9557----19億297312億823122億0761
厚生労働省6176億448242億739712015521008億00651187億2021
農林水産省16371億50891447億54431534億80681321億27521539億4919514億6273
経済産業省21607億652718492億9242245336億26211281億0984102771億21699289億1544
国土交通省5142億04836101億1714687億1216595億87148251億7452677億9581
環境省127億5135135億1749126億9727141億978411億9077133億5474
防衛省-----------
531736億962447686億5463495485億848535250億6074424309億21051兆2469億1753
注(1)
基金数は、国庫返納が行われた基金の数である。
注(2)
令和元年度から5年度までの各年度末時点で基金保有額がある基金を所管している府省庁のみを記載している。

図表3-3-2 所管府省庁別の国庫返納の状況(都道府県)

(単位:県基金、万円)

所管府省庁名令和元年度2年度3年度4年度5年度
県基金数国庫返納額県基金数国庫返納額県基金数国庫返納額県基金数国庫返納額県基金数国庫返納額国庫返納額
内閣府本府51億777239,503123112121億28674億0287
消費者庁112--61億4042----1億4054
こども家庭庁--------93,2623,262
復興庁46億04807263億2487683億3097427億622733億1950383億4245
文部科学省--23億859745102億5525102380億6876487億0999
厚生労働省105億679184億6554118億65691427億448854億643551億0839
農林水産省6635億68476318億33224812億89534913億85695818億513699億2828
経済産業省51億342475億556223,27531,01614007億3679
環境省58億9745710億118665億040639,598--25億0937
防衛省-----------
9659億507497306億7214125214億18937570億002080408億69301059億1133
注(1)
県基金数は、国庫返納が行われた基金の数である。
注(2)
令和元年度から5年度までの各年度末時点で基金保有額がある基金を所管している府省庁のみを記載している。

そして、図表3-4-1及び図表3-4-2のとおり、基金法人等に設置造成されている基金で元年度から5年度までの国庫返納額が最も多かったのは、経済産業省所管の新型コロナウイルス感染症基金(1138番)(国庫返納額6824億円)、都道府県に設置造成されている基金で元年度から5年度までの国庫返納額が最も多かったのは、東京都に設置造成されている文部科学省所管の新型コロナウイルス感染症対策基金(同309億1168万余円)となっていた。

図表3-4-1 基金法人等に設置造成されている基金における国庫返納額が多い上位5基金

(単位:万円)

順位基金番号所管府省庁名予算の移替先基金名基金事業名令和元年度2年度3年度4年度5年度
11138経済産業省-新型コロナウイルス感染症基金新型コロナウイルス感染症民間制度融資利子補給事業--5246億0608-1577億93916824億0000
21137経済産業省-新型コロナウイルス感染症基金新型コロナウイルス感染症特別利子補給事業----1167億28921167億2892
31051厚生労働省-ワクチン生産体制等緊急整備基金ワクチン生産体制等緊急整備事業----1008億00001008億0000
41134経済産業省-中小小売・流通等合理化促進基金中小企業消費税軽減税率対策事業-402億0077---402億0077
51018復興庁国土交通省災害復興住宅融資等緊急対策事業災害復興住宅融資等事業396億8708----396億8708

図表3-4-2 都道府県に設置造成されている基金における国庫返納額が多い上位5基金

(単位:万円)

順位基金番号所管府省庁名予算の移替先基金名基金設置造成の原資となる国庫補助金等名都道府県名令和元年度2年度3年度4年度5年度
1-文部科学省-新型コロナウイルス感染症対策基金東京オリンピック・パラリンピック競技大会新型コロナウイルス感染症対策交付金東京都----309億1168309億1168
22013復興庁国土交通省生活拠点形成交付金基金福島再生加速化交付金(長期避難者生活拠点形成)福島県-201億6347---201億6347
3-文部科学省-東京パラリンピック競技大会開催準備基金東京パラリンピック競技大会開催準備交付金東京都----71億570771億5707
4-復興庁-東日本大震災復興交付金基金東日本大震災復興交付金宮城県-10億004618億210126億18482億877157億2767
5-復興庁-東日本大震災復興交付金基金東日本大震災復興交付金福島県-35億32099億5829--44億9039

また、基金法人等に設置造成されている基金のうち、元年度から5年度までに廃止された基金は43基金あり、これらの基金が廃止された年度以降における国庫返納額の合計額は、元年度199億9584万余円、2年度9億7098万余円、3年度14億0761万余円、4年度27億9660万余円、5年度2億2554万余円、計253億9660万余円となっていた。

そして、都道府県に設置造成されている基金のうち、元年度から5年度までに廃止された基金は203県基金あり、これらの基金が廃止された年度以降における国庫返納額の合計額は、元年度7億9875万余円、2年度27億4394万余円、3年度134億0573万余円、4年度21億6448万余円、5年度389億2048万余円、計580億3339万余円となっていた。

イ 基金法人等に設置造成されている基金に関する保有割合の算定状況

基金基準によれば、基金事業の今後の見通し又はこれまでの実績からみて、基金規模が過大となっていないかなどの状況を客観的に把握するために、基金法人は基金の保有割合を算出することとされている。そして、保有割合は、基金法人及び関係府省庁間で協議された合理的な事業見通し又は実績を用いて算定することとされており、保有割合が1を大幅に上回っている場合には、使用見込みの低い基金等に該当するものとして、基金の財源となっている国からの補助金等を国庫へ返納するなど、その基金の取扱いを検討することとされている。

また、指針においても、各省各庁の長は、基金造成費補助金等の交付を受けて設置造成された基金について、保有割合、保有割合の算定根拠等の情報を交付要綱等に基づき毎年度報告させて、これらの情報に基づき毎年度基金の見直しを行うとともに、これらの情報を公表することとなっている。

さらに、行政事業レビュー実施要領等に基づき、基金法人等に設置造成された基金については、保有割合を算定することとなっている。

そこで、基金法人等に設置造成されている基金のうち5年度末時点で基金保有額があるものについて、元年度から5年度までの各年度末時点における保有割合の分布状況(基金事業が終了していて翌年度に基金保有額の残額のうち国庫補助金等相当額の返納が予定されていることから保有割合が0となっている基金等を除く。)をみたところ、図表3-5のとおり、基金事業に要する費用と基金保有額が一致して保有割合を1.0としている基金が特に多く、元年度32基金(元年度128基金に占める割合25.0%)、5年度89基金(5年度188基金に占める割合47.3%)と、元年度から5年度にかけて大きく増加している状況となっていた。また、5年度末時点の保有割合が1.0を上回っている基金は4基金(同2.1%)となっていた(5年度末時点の保有割合が1.0を上回っている基金については別図表28参照)。

図表3-5 基金法人等に設置造成されている基金の保有割合の分布状況

図表3-5 基金法人等に設置造成されている基金の保有割合の分布状況画像

保有割合は、合理的な事業見通し又は実績を用いて算定することとなっており、保有割合によって基金規模が過大となっていないかなどの状況を客観的に把握するためには、基金の実態を踏まえて適切に算定する必要がある。

そして、基金基準によれば、基金法人は、定期的な見直しの際に保有割合を算定することとされており、前回の保有割合の算定に用いた数値と実績とが著しくかい離している場合には、保有割合の見直しに当たって、当該実績又は当該実績を反映した堅実な事業見通しを用いて保有割合を算定することに特に留意することとされている。

また、行政事業レビュー実施要領においても、基金規模を点検する際に、保有割合の基礎となる事業見込みに合理性や現実性を欠くことがないよう、過去の執行実績や具体的な需要等を基に、精度の高い事業見込みを算出し、これに基づく保有割合の算定を実施することとされている。

そこで、事業が完了するまでに必要と見込まれる補助・補塡額、管理費等(以下「事業完了までの必要見込額」という。)が、過去の実績額と照らしてどのような規模となっているかを確認するために、5年度末時点において事業完了までの必要見込額、基金保有額等を用いて保有割合を算定する取崩し型の152基金のうち、事業が既に終了していて保有割合が算定されていない基金、4年度又は5年度に新しく設置された基金及び不確実な事故等に対応するための基金計81基金を除く71基金(5年度末時点の基金保有額計11兆4622億余円、国庫補助金等相当額計11兆4488億余円)について、5年度末時点における事業完了までの必要見込額が、元年度から5年度までの平均支出額の何倍となっているかを機械的に算出した。その結果、図表3-6のとおり、10倍を上回っている基金が25基金(71基金に占める割合35.2%、5年度末時点の基金保有額計8兆2168億余円、国庫補助金等相当額計8兆2132億余円)となっていた(5年度末時点における事業完了までの必要見込額が、元年度から5年度までの平均支出額の10倍を上回っている基金については別図表29参照)。

図表3-6 令和5年度末時点における事業完了までの必要見込額と元年度から5年度までの平均支出額との比率

図表3-6 令和5年度末時点における事業完了までの必要見込額と元年度から5年度までの平均支出額との比率画像

また、保有割合を算定するに当たり、どのような根拠に基づいて事業完了までの必要見込額を算出しているかを各府省庁に確認したところ、図表3-7のとおり、過去の実績額を参考としたとしているものが110基金(5年度末時点で基金法人等に設置造成されている191基金のうち事業が既に終了していて保有割合が算定されていない3基金を除く188基金に占める割合58.5%)と最も多く、需要調査等の調査結果を参考としたとしているものが31基金(同16.5%)、民間企業等の事業者や地方公共団体等へのヒアリング等の結果を参考としたとしているものが32基金(同17.0%)となっていた。

図表3-7 事業完了までの必要見込額を算出するために参考とした根拠

図表3-7 事業完了までの必要見込額を算出するために参考とした根拠画像

注(1)
事業完了までの必要見込額を算出するために参考とした根拠として挙げられたものについては、複数回答となっているものがある。
注(2)
括弧内の割合は、基金法人等に設置造成されている191基金のうち事業が既に終了していて保有割合が算定されていない3基金を除く188基金に占める基金数の割合を示している。

そして、保有割合の算定に当たり、事業の見込みと実績との間に大きなかい離が生じている基金が見受けられた。

上記について、詳細を示すと次のとおりである。

<事例9> 保有割合の算定に当たり、事業の見込みと実績との間に大きなかい離が生じていたもの

農林水産省は、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律(平成3年法律第59号。令和7年10月1日以降は「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」)等に基づき、食品等流通合理化事業に必要な資金の借入れに係る債務を保証(以下「債務保証」という。)することで、食品流通業者等の信用力を強化し、設備投資等を支援するとしている。そして、同省は、同法に基づき、公益財団法人食品等流通合理化促進機構(7年10月1日以降は公益財団法人食品等持続的供給推進機構)を基金設置団体に指定するとともに、平成3、令和2両年度に、同機構に対して食品等流通合理化対策債務保証事業費補助金計14億5000万円を交付していて、同機構は、同補助金等を原資として食品等流通合理化対策債務保証事業基金(1056番)を設置造成している。

同機構は、基金事業として、債務保証事業を実施していて、債務者が債務不履行に陥った場合には、同基金を取り崩して、金融機関に対して代位弁済を行っている。また、同機構が作成し農林水産大臣の認可を受けた債務保証業務規程によれば、同機構は、債務保証の残高の合計額が基金保有額に達するまで債務保証を行うことができるとされていて、同省は、同機構が債務保証を行う場合には、債務保証の残高の合計額以上の基金保有額を有する必要があるとしている。

また、同省は、5年度末時点における同基金の保有割合について、基金基準において例示されている債務保証事業(保有型)の算定方法(第1の3(2)ア参照)に基づいて次のとおり算定して、保有割合を0.90としていた。

算定式

しかし、前記のとおり、同基金の取崩しは、債務者が債務不履行に陥り、同機構が金融機関に代位弁済を行う場合に行われるものであることから、平成21年度から令和5年度までの間に、同機構が新たに債務保証を行った債務額に対する代位弁済額の割合の平均値をみると、その値は19.8%となっていた。このように、債務保証の残高の合計額以上の基金保有額を有する必要があるとしていて、当該合計額の全てにおいて代位弁済が行われることも見込まれている一方、実際には、その一部にしか代位弁済が発生しておらず、事業の見込みと実績との間には、大きなかい離が生じていた。

また、新規申請受付終了予定時期と、事業完了までの必要見込額を算出する際に対象としている利子補給又は債務保証の時期が合致していないものが2基金見受けられた。具体的には、経済産業省所管の環境・安全等対策基金(1110番)は、新規申請受付終了予定時期を8年度までとしているのに、9年度から12年度までに新たに利子補給を行うことを決定する分(9億4894万余円)も含めて事業完了までの必要見込額(24億2549万余円)を算出して、保有割合を1.0と算定していた。同様に、同省所管の揮発油販売業経営合理化基金(1111番)は、新規申請受付終了予定時期を8年度までとしているのに、9年度及び10年度に新たに債務保証を行うことを決定する分(51億9439万円)を考慮して、保有割合を0.99と算定していた。

このように、基金法人等に設置造成されている基金について、事業完了までの必要見込額が元年度から5年度までの平均支出額の10倍を上回っている基金及び保有割合の算定に当たり事業の見込みと実績との間に大きなかい離が生じている基金が見受けられたことを踏まえて、過去の執行実績、事業完了までの年限、具体的な需要等を基に、事業完了までの必要見込額について算出の精度を高めて保有割合を算定することが必要である。

ウ 都道府県に設置造成されている基金に関する基金規模の検討状況

基金法人等に設置造成された基金については、行政事業レビュー実施要領等に基づき、保有割合を算定することとなっている。これに対して、都道府県に設置造成された基金については、同要領において、都道府県の事務負担に留意しつつ、基金法人等に設置造成された基金に対して行われる点検内容を踏まえて精査を行い、余剰資金があれば都道府県に国庫納付を促すこととなっている。

また、都道府県に設置造成された基金のうち、改正適正化令及び指針(以下「改正適正化令等」という。)の適用対象となる国庫補助金等が交付されたものについては、改正適正化令等に基づき、都道府県が算定した保有割合が各府省庁に毎年度報告されることとなっているが、補助金適正化法が適用されないこと又は改正政令の施行後に基金造成費補助金等が交付されていないことによって改正適正化令等が適用されない場合については、必ずしも保有割合を算定することとはなっていない。

そこで、5年度末時点で都道府県に設置造成されている63基金について、毎年度府省庁に提出される報告書等(以下「年度報告書」という。)における保有割合の記載状況をみたところ、記載しているものが32基金(63基金に占める割合50.8%)、記載していないものが31基金(同49.2%)となっていた。

年度報告書に保有割合を記載していない31基金について、各府省庁が都道府県に保有割合を報告させていない理由を確認したところ、新規の事業がなく事業者からの償還金等の国庫返納のみを行っているため(3基金)、各府省庁において保有割合を算定しているため(4基金)及び保有割合以外に国庫返納額を算定する基準を設けているため(1基金)となっていた。一方で、これら以外の23基金は、基金保有額を報告させているため、事業完了までに必要となる費用を算出することができないため、全額を使用する予定であるためなどとしていた(23基金の保有割合を報告させていない理由については別図表30参照)。

また、基金法人等に設置造成された基金については、基金シートにおいて保有割合の算定過程が公表されている一方、都道府県に設置造成された基金については保有割合の算定過程が公表されていない。

そこで、年度報告書に保有割合を記載している32基金及び各府省庁において保有割合を算定している4基金の計36基金について、算定方法をみたところ、基金基準で示された算定式を用いて保有割合を算定している32基金は、保有割合が1を上回る場合に事業完了までの必要見込額を上回る基金保有額を保有していると判断できるのに対して、図表3-8に示す4基金は、基金基準で示された算定式ではなく保有割合が必ず1以下となるような独自の算定式を用いて保有割合を算定するなどしていた。

このため、これらの算定方法では、事業完了までの必要見込額を上回る基金保有額を保有しているかどうかを保有割合を基に判断できず、保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していない状況となっていた(これらの基金の保有割合の算定方法については別図表31参照)。

図表3-8 保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していない基金

基金番号所管府省庁名予算の移替先基金名基金設置造成の原資となる国庫補助金等名令和5年度末基金保有額
2007内閣府本府総務省新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金による基金新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(令和5年度は物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金)681億4378万余円
2044厚生労働省-国民健康保険財政安定化基金国民健康保険財政安定化基金補助金3216億3477万余円
2047農林水産省-中山間ふるさと・水と土保全対策事業農村地域整備開発促進費補助金248億1264万余円
2048農林水産省-中山間ふるさと・水と土保全推進事業農村地域整備開発促進費補助金128億6885万余円
(注)
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金による基金(2007番)は、都道府県が算定した保有割合を年度報告書に記載しており、残りの3基金は各府省庁が保有割合を算定している。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例10> 保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していなかったもの

総務省は、内閣府(内閣府本府)から予算の移替えを受けて、交付行政庁として、令和2年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等への対応として、都道府県等が作成し、内閣府本府に提出した新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施計画に基づく事業に要する費用のうち、都道府県等が負担する費用に充てるために、都道府県等に対して新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(5年度は物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金)を交付している。

そして、32県は、利子補給事業又は信用保証料補助事業を実施するために、同計画に基づいて、2年度から5年度までの間に、同交付金のうち計1222億1086万余円を原資として基金(2007番)を設置造成している。そして、これらの県は、基金事業として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた中小企業者等が一定の融資契約を締結した場合に、関係する金融機関又は信用保証協会との間で契約を締結して、金融機関に対する利子補給又は信用保証協会に対する信用保証料補助を行っている。

また、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金管理運営要領(総務省)」(令和3年3月23日総行応第74号)によれば、基金を設置造成した都道府県等は、毎年度末に、当該年度に実施した基金事業に係る新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金事業状況報告書を作成して総務大臣に報告することとされている。そして、同要領によれば、同報告書に記載する保有割合は次のとおり算定することとされていて、上記の32県は、同要領に基づき算定した保有割合を総務大臣に報告していた。

算定式

しかし、年度末時点の基金保有額は、基金に設置造成された額から基金の取崩し額を差し引いた額であり、基金に設置造成された額未満となることから、上記の算定式により算定される保有割合は必ず1未満となる。このため、保有割合が1を大幅に上回っている場合に国庫返納等の取扱いについて検討するという基金基準の考え方を適用できるものとなっておらず、基金規模の妥当性を判断するための指標として機能するものとはなっていなかった。

なお、会計検査院の検査を踏まえて、同省は、今後、同報告書に記載する保有割合の算定方法について、見直しを検討するとしている。

そして、年度報告書に保有割合を記載している32基金について、都道府県ごとに区別するなどして、元年度から5年度までの各年度末時点の保有割合の分布状況(保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していない基金(図表3-8参照)及び基金事業が終了していて翌年度に基金保有額の残額のうち国庫補助金等相当額の返納が予定されていることから保有割合が0となっているなどの基金を除く。)をみたところ、図表3-9のとおり、基金事業に要する費用と基金保有額が一致して保有割合を1.0としている基金が特に多い状況となっていた。また、5年度末時点の保有割合が1.0を上回っている基金は80県基金(5年度412県基金に占める割合19.4%)となっていた(5年度末時点の保有割合が1.0を上回っている基金については別図表32参照)。

図表3-9 年度報告書に保有割合を記載している基金の保有割合の分布状況

図表3-9 年度報告書に保有割合を記載している基金の保有割合の分布状況画像

さらに、年度報告書に保有割合を記載していない31基金について、新規の事業がないなどの基金を除くとともに、都道府県ごとに区別するなどして、都道府県が基金事業の執行状況、基金保有額等に基づいて、5年度末時点の基金規模が過大となっていないかについて点検しているかをみたところ、5年度末時点の146県基金のうち、47県基金(146県基金に占める割合32.2%、基金保有額計775億余円、国庫補助金等相当額計425億余円)については点検を行っているとしていた一方、99県基金(同67.8%、同計4446億余円、同計2922億余円)については点検を行っていないとしていた。

前記のとおり、都道府県に設置造成されている基金については、年度報告書に保有割合を記載していないものがあり、また、保有割合の算定を行っている基金の中にも保有割合が必ず1以下となるような独自の算定式を用いているものなどがあることから、基金規模の妥当性を客観的な指標を用いて把握することが困難となっているものが存在する。

そこで、複数の運営形態に該当するため基金単位で評価することが困難な複合型及び一律に評価することが困難なその他の運営形態を除く、取崩し型、回転型及び運用型の基金について、5年度末時点において基金保有額がどのような状況となっているかなどを客観的に把握するために、会計検査院において運営形態別に過去の実績に基づく指標を設定して確認したところ、次のような状況となっていた。

  • (ア) 取崩し型

    取崩し型の基金については、翌年度以降も過去5年間と同程度の支出額になると仮定した場合に、何年間で基金保有額を使い切ることになるかを示す指標として、基金保有倍率を算定することとした。この基金保有倍率は、翌年度から事業完了年度までの必要見込額を算出した上で基金保有額と比較する保有割合とは異なり、過去の支出額の実績に照らして基金保有額の規模を測る指標である。具体的には、次の計算式により算定している。

    計算式 基金保有倍率

    都道府県に設置造成されている取崩し型の501県基金のうち、4年度及び5年度に新たに設置された基金、不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する事業を実施する基金及び新規の事業がないなどの基金(計62県基金)を除いた439県基金について、基金保有倍率の状況をみたところ、図表3-10のとおり、基金保有倍率が10を上回っている基金が77県基金(439県基金に占める割合17.5%)、元年度から5年度までの支出額が0円であることから基金保有倍率を算定できないものが30県基金(同6.8%)となっていた(元年度から5年度までの支出額が0円であることから基金保有倍率を算定できない基金については別図表33参照)。

    図表3-10 取崩し型の基金における基金保有倍率の状況(令和5年度末時点)

    図表3-10 取崩し型の基金における基金保有倍率の状況(令和5年度末時点)画像

    (注)
    破線の内側の階級幅の大きさは、破線の外側の階級幅の大きさと異なる。

    また、上記の439県基金から、基金事業を終了する時期が5年度の46県基金及び基金事業を終了する時期が未定の173県基金を除いた220県基金について、基金保有倍率と5年度末から基金事業を終了する時期までの年数との関係等をみたところ、基金保有倍率が5年度末から基金事業を終了する時期までの年数を上回っているもの及び元年度から5年度までの支出額が0円であることから基金保有倍率を算定できないものが計135県基金(220県基金に占める割合61.4%、5年度末時点の基金保有額計1862億余円、国庫補助金等相当額計1786億余円)見受けられた。

    そして、135県基金について、そのような状況となっている理由を確認したところ、基金事業に対する需要が見込みより少なかったためとしている基金が62県基金(135県基金に占める割合45.9%)、新型コロナウイルス感染症の流行等により予定どおりに事業を進められなかったためとしている基金が27県基金(同20.0%)等となっていた(基金保有倍率が5年度末から基金事業を終了する時期までの年数を上回っているなどの理由については別図表34参照)。

  • (イ) 回転型

    回転型の基金については、年度末時点で、基金造成総額(年度末時点の貸付金額又は出資金額に基金保有額を加えた額)のうち貸付け又は出資に充てられていない額の割合を示す指標として、平均繰越率を算定することとした。具体的には、次の計算式により元年度から5年度までの繰越率を算出して、その平均を算定している。

    計算式 繰越率

    都道府県に設置造成されている回転型の130県基金のうち、新規の事業がないなどの国民健康保険広域化等支援基金(2043番)及び農業改良資金(2046番)(計31県基金)を除いた99県基金について、その状況をみたところ、図表3-11のとおり、40県基金(99県基金に占める割合40.4%、基金保有額計157億余円、国庫補助金等相当額計93億余円)は平均繰越率が90%を上回り、基金造成額の大部分が貸付け又は出資に充てられていない状況となっていた。このうち8県基金(同8.1%、同計67億余円、同計34億余円)は平均繰越率が100%であり、元年度から5年度まで基金造成額が貸付け又は出資に全く充てられていない状況となっていた(元年度から5年度まで基金造成額が貸付け又は出資に全く充てられていない基金については別図表35参照)。

    図表3-11 回転型の基金における平均繰越率の状況(令和元年度末時点~5年度末時点)

    図表3-11 回転型の基金における平均繰越率の状況(令和元年度末時点~5年度末時点)画像

    そして、平均繰越率が100%の8県基金について、その理由を確認したところ、基金事業に対する需要が見込みより少なかったためとしている基金が6県基金(平均繰越率が100%の8県基金に占める割合75.0%)、同種事業を実施している他の補助金等の利用が多く、基金事業の利用が低調であったためとしている基金が4県基金(同50.0%)等となっていた。

  • (ウ) 運用型

    運用型の基金については、運用収入のうち基金事業等のために支出した額の割合を示す指標として、使用率を算定することとした。具体的には、次の計算式により使用率を算定している。

    計算式 使用率

    都道府県に設置造成されている運用型の79県基金について、その状況をみたところ、図表3-12のとおり、75県基金(79県基金に占める割合94.9%、基金保有額計513億余円、国庫補助金等相当額計243億余円)は使用率が100%を上回り、支出額が運用収入を上回ることから運用の原資を取り崩して支出していて、実質的に取崩し型に近い形で支出が行われている状況となっていた。

    図表3-12 運用型の基金における使用率の状況(令和元年度~5年度)

    図表3-12 運用型の基金における使用率の状況(令和元年度~5年度)画像

このように、保有割合が基金規模の妥当性を判断するための指標として機能していない基金、年度報告書に保有割合が記載されていないなど基金規模が過大となっていないかについて点検が行われていない基金、基金保有倍率が10を上回るなどの基金及び基金造成額の大部分が貸付け又は出資に充てられていない基金が見受けられた。基金規模の妥当性については、基金保有倍率、平均繰越率及び使用率の指標のみではなく、基金事業の特性、事業計画、基金保有額の多寡等を考慮して総合的に判断する必要があるが、各府省庁において、都道府県に設置造成されている基金について、都道府県の事務負担に留意しつつ、保有割合を算定させること又は基金規模が過大となっていないかなどの状況を客観的に把握する指標を設定することなどにより、基金規模の妥当性を十分に確認することが必要である。

エ 国庫返納の必要性の検討状況

基金基準によれば、使用見込みの低い基金等は国庫返納等を検討することとされている。また、改正適正化令によれば、補助事業等の完了後においても補助事業者等が従うべき事項として、基金の額が過大であると各省各庁の長が認める場合等は速やかに国庫返納すべきことを、各省各庁の長が定めることとされている。さらに、行政事業レビュー実施要領において、基金法人等に設置造成された基金について、基金事業の厳格な点検を行い、執行の改善や余剰資金の国庫返納を行うこととなっており、都道府県に設置造成された基金についても、都道府県の事務負担に留意しつつ精査を行い、余剰資金があれば、都道府県に国庫返納を促すこととなっている。

そこで、基金事業を終了する時期が到来する前に国庫返納を行うための根拠規定(以下「返納根拠規定」という。)を各府省庁が整備しているかについてみたところ、基金法人等に設置造成されている基金のうち内閣府本府、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業各省所管の6基金及び都道府県に設置造成されている基金のうち内閣府本府、厚生労働、農林水産、経済産業各省所管の14基金において、返納根拠規定を整備しておらず、基金事業を終了する時期が到来する前に基金の額が過大であることが判明しても返納根拠規定に基づいて確実に国庫返納させることができない状況が見受けられた。

返納根拠規定を整備していない理由を確認したところ、各府省庁は、基金保有額を全て支出することを見込んでいるため、事業完了までの必要見込額を算定することが困難であるため、都道府県が必要となる基金残高を設定しているためなどとしていた(返納根拠規定が整備されていない基金については別図表36及び別図表37参照)。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例11> 改正適正化令等に基づき返納根拠規定を整備することとなっているのに、都道府県が必要となる基金残高を設定しているとして、返納根拠規定を整備していなかったもの

都道府県は、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)等に基づき、後期高齢者医療の財政の安定化に資するため後期高齢者医療財政安定化基金(2042番。以下「基金」という。)を設置し、基金に対し、都道府県ごとに設けられた後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)から徴収する拠出額の3倍に相当する額を繰り入れることとされている。厚生労働省は、繰入額の3分の1に相当する額について、後期高齢者財政安定化基金負担金(以下「負担金」という。)として都道府県に交付している。

後期高齢者医療制度は、広域連合が、当該区域内に住所を有する後期高齢者(75歳以上の者又は65歳以上75歳未満の者で一定の障害の状態にある者をいう。)を被保険者として、その疾病、負傷又は死亡に関して、療養の給付等を行うものである。そして、療養の給付等に要する費用には被保険者より徴収した保険料等が充てられることとなっている。

都道府県は、平成20年度を初年度とする2年度ごとの期間を特定期間として、特定期間内に実際に収納された保険料が、予想していた保険料に対して不足した場合等において、当該不足額を対象に基金を取り崩して、広域連合に資金を貸付け又は交付することができることとなっている。また、上記の場合以外にも、保険料の増加の抑制を図る場合には、基金を取り崩して、広域連合に交付をすることができることとなっている。

負担金の交付に当たっては、負担金は改正適正化令等の適用対象になっていること、また、改正適正化令等によれば、基金の額が過大である場合等は速やかに国庫返納すべきことを補助事業等の完了後においても従うべき事項として定めることとされていることから、返納根拠規定を整備することとなっている。そして、基金の額が過大である場合等は返納根拠規定に基づき確実に国庫返納をさせることができるようにする必要があると思料される。しかし、同省は、会計実地検査時点(令和7年1月)において、交付要綱等で、返納根拠規定を整備していなかった。同省に対して返納根拠規定を定めていない理由を確認したところ、都道府県において、基金の積増しを行う額を検討する際に、現在の基金規模や将来のリスクを踏まえて、必要とする基金残高を設定しているためとしていた。

そこで、会計検査院において、同省が広域連合から提出を受けている書類により、都道府県が設定している必要な基金残高を確認したところ、次のようになっていた。

同省は、都道府県に対して、元年度に、2、3両年度の特定期間に係る負担金の交付額等を決定するために、算定方法を例示するなどして、都道府県が当該特定期間中に貸付け又は交付のために必要となる基金の残高(以下「所要額」という。)を算定させていた。そして、都道府県が既に保有している元年度末における基金残高が所要額に対して不足している場合等において、負担金を交付することとしていた。この結果、元年度において、24都道府県で基金残高が所要額に対して不足するなどとしている一方で、23府県では所要額に対して基金残高が上回っていた。そして、上記の23府県が算定している所要額を確認したところ、2年1月の調査時点において元年度末に想定された基金残高816億5692万余円に対して、所要額690億1056万余円となっており、基金残高が所要額を126億4636万余円上回っていた。

さらに、同省は、3年度及び5年度にも、次年度以降の特定期間における所要額を算定させており、上記23府県のうち、15府県の各年度末の基金残高が、両特定期間を通じて、所要額を上回っていた。

また、国庫返納の必要性の検討について、4基金において、次のような状況が見受けられた。

① 厚生労働省所管のワクチン生産体制等緊急整備基金(1051番)において、事業規模の精査に伴い、当該事業のために保有していた資金から国庫返納させた分を差し引いた額について、国庫返納も含めてその取扱いを検討する必要があったのに十分な検討を行っていなかった。

② 経済産業省所管の新型コロナウイルス感染症基金(1138番)において、国庫返納額についての検討が十分に行われておらず、使用見込みのない資金を速やかに国庫返納させていなかった。

③ 内閣府本府所管(総務省に移替え)の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金による基金(2007番)において、基金の将来的な使用見込額を考慮した国庫返納の必要性の検討を行う余地があったのに検討を行っていなかった。

④ こども家庭庁所管(4年度以前は内閣府本府及び厚生労働省所管)の安心こども基金(2011番)において、府省庁が使用見込みのない基金保有額についての報告等を受けていたのに、適時に国庫返納の指示を行っていなかった。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例12> 事業規模の精査に伴い、当該事業のために保有していた資金から国庫返納させた分を差し引いた額について、今後の使用見込額を算出した上で、国庫返納も含めてその取扱いを検討する必要があったのに、十分な検討を行っていなかったもの

厚生労働省は、令和2年度から4年度までの各年度において、一般社団法人新薬・未承認薬等研究開発支援センターに対して、新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金を計4兆4191億8891万余円交付して、同センターは、ワクチン生産体制等緊急整備基金(1051番。以下「整備基金」という。)を設置造成している。

同省は、基金事業の一環として、新型コロナウイルスワクチン等を開発する民間団体に対して、大規模臨床試験等の実施に要する費用を補助するための補助金を交付するワクチン大規模臨床試験等支援事業(以下「支援事業」という。)を実施することとして、3事業(1事業当たり500億円)を採択するという想定の下、当該3事業に係る事業費として整備基金の造成額のうち1500億円を支援事業に充てることとしていた。

そして、同省は、5年5月に、支援事業の対象とする事業者の公募を開始したが、同センターの事務的負担が大きいことなどから支援事業の実施が困難であることが判明して、同センターが支援事業を実施しないこととなったため、事業者の決定に至らないまま、同年11月に公募を中止していた。

その後、同省は、5年度補正予算により新たにワクチン大規模臨床試験等支援基金(以下「支援基金」という。)を造成して、支援基金により支援事業を行うこととし、6年度に、一般社団法人環境パートナーシップ会議を基金設置団体に選定して、同会議は支援基金を設置造成していた。同省は、支援基金を造成するための補助金を交付するに当たり、改めて事業規模の精査を行い、2事業(1事業当たり500億円)を採択することとして事業費に1000億円を、また、管理費に8億円を要するとの想定の下、1008億円を造成額としていた。そして、同省は、支援基金の造成に合わせて、同センターに対して、支援基金の造成額と同額の1008億円を整備基金から国庫に返納するように指示して、同センターは、5年度に同額を国庫に返納していた。

このように、同センターが支援事業の実施に充てるために保有していた整備基金の額は1500億円であり、同センターが支援事業を実施しないこととなったため、同省は、1500億円から、国庫返納させた2事業分の事業費1000億円を差し引いた差額である500億円について、今後の使用見込額を算出した上で、国庫返納も含めて、その取扱いを検討する必要があった。

しかし、同省は、今後の具体的な使用見込額を算出しておらず、差額である500億円の取扱いについて十分な検討を行っていなかった。このことについて、同省は、整備基金の目的を達成するために整備基金全体として適切な実施が図られる必要があるとの認識の下、当該500億円を含めた整備基金全体の使用見込額について可能な限り算出を行ったとしている。また、整備基金はワクチンの研究開発等の不確実性の大きい事業を行うものであり、ワクチンの研究開発に当たって変異株対応等のために追加の大規模臨床試験を実施する可能性や、変異株対応等に伴う原薬及び製剤の製法改良のために必要な追加の試験実施の可能性も想定されることから、必然的に、具体的な使用見込額の算出が困難な部分は生ずるという事情があり、場合によっては整備基金の残高が不足する事態も想定されるなど、様々な可能性を想定する中で、国庫返納の可否も含めて検討していたなどとしている。

<事例13> 基金の将来的な使用見込額を考慮した国庫返納の必要性の検討を行う余地があったのに、検討を行っていなかったもの

総務省は、内閣府(内閣府本府)から予算の移替えを受けて、交付行政庁として、令和2年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等への対応として、都道府県等が作成し、内閣府本府に提出した新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施計画に基づく事業に要する費用のうち、都道府県等が負担する費用に充てるために、都道府県等に対して新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(5年度は物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金)を交付している。

そして、32県は、利子補給事業又は信用保証料補助事業(以下「金融支援事業」という。)を実施するために、同計画に基づいて、2年度から5年度までの間に、同交付金のうち計1222億1086万余円を原資として基金(2007番)を設置造成している。そして、これらの県では、基金事業として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた中小企業者等が一定の融資契約を締結した場合に、関係する金融機関又は信用保証協会との間で契約を締結して、金融機関に対する利子補給又は信用保証協会に対する信用保証料補助を行っている。

また、「令和2年度第2次補正予算の成立を踏まえた新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の取扱について」(令和2年6月内閣府地方創生推進室事務連絡)等によれば、金融支援事業については、原則として事業の実施期間は6か年度であること、同交付金が交付された年度の年度末(以下「交付年度末」という。)までに都道府県等が金融機関等との契約を締結することなどとされている。

上記の事務連絡を踏まえると、交付年度末までに契約を締結している場合は、これにより、金融支援事業の対象とする融資件数及び融資額が確定することから、同交付金の交付を受けて基金の設置造成を行った年度ごとに、交付年度末時点で将来的な使用見込額を算出することが可能であり、その額を考慮して国庫返納の必要性についての検討を行うことが可能であると認められた。

しかし、同省は、都道府県等に対して、上記の方法により交付年度末時点で基金の将来的な使用見込額を算出して国庫返納の必要性についての検討を行うことを求めていなかったため、交付年度末時点までに契約を締結していた29県は、上記の方法により交付年度末時点で基金の将来的な使用見込額を算出しておらず、これを踏まえた国庫返納の必要性の検討も行っていなかった。

そこで、2年度から5年度までに29県が金融支援事業の対象とした融資額等に基づき、各交付年度末時点における基金の将来的な使用見込額を試算したところ、各交付年度末時点の基金保有額との間で、2年度30億0133万余円(同交付金相当額24億6350万余円)、3年度58億7491万余円(同6億3695万余円)、4年度23億7759万余円(同21億2716万余円)、5年度8億7049万余円(同4億9113万余円)の差額が生じていて、基金の将来的な使用見込額を考慮した国庫返納の必要性の検討を行う余地がある状況となっていた。

このように、返納根拠規定が整備されていない基金及び将来的な使用見込額を考慮した国庫返納の必要性の検討を行う余地があったのに検討を行っていなかったなどの基金が見受けられた。これらを踏まえて、各府省庁において、返納根拠規定を整備すること、適切な時期に国庫返納の必要性を検討すること、国庫返納の必要性の検討に当たっては将来の具体的な使用見込みの有無を踏まえることなどにより、使用見込みのない資金について速やかに国庫返納を行わせることが必要である。