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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第4 大蔵省|
  • (終戦処理関係の分)|
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連合国軍関係使用人の給与支払に当り処置当を得ないもの


(446) 連合国軍関係使用人の給与支払に当り処置当を得ないもの

  (部)終戦処理費(款)終戦処理事業費(項)終戦処理労務費

 特別調達庁は、達合国軍の要求する労務を提供し、昭和24年度において就労人員1日平均約23万人に対しその給与として年額317億3千4百余万円を都道府県を通じて支払つている。
 これら使用人は国家公務員法の規定する職員で、特別調達庁においては、これを(1)事務系統、(2)技能工系統、(3)船員系統、(4)家族宿舎要員などに大別し、それぞれの給与規程を定め、各都道府県はこれによりおおむね労務管理事務所をして給与を支払わせているが、給与規程が複雑をきわめているのにその運用に対する特別調達庁の指導が不徹底で適用が区区にわたり、あるいは都道府県における取扱が妥当を欠くなどにより過払の結果をきたしたものがあり、又、取扱者の不正行為も本検査報告別項に掲載したように多数に上つている状況である。
 本院においては25年中38都道府県、88労務管理事務所につき給与支払の会計実地検査を実施したが、その結果によると左のとおり当を得ないものがあつて、その金額は34,095,726円となつている。

(1) 臨時手当は、常よう使用人の勤務時間が週40時間制であつたところ、24年4月から週48時間制に改められたに伴い基本給の増額にかえてこれを支給することとしたものであるが、その基本となる1時間当りの給与の計算を誤つたもの、事務系統使用人には語学加給を加算しない基本給を基礎として計算すべき取扱であるのに誤つてこれを加算して計算したもの、守衛その他24時間制勤務者には臨時手当を支給しないことになつているのにこれを支給したものなどがあるため、奈良県外20都道府県において計5,545,284円が過払となつている。

(2) 勤務地域手当及び扶養手当は、その地域区分、支給率及び扶養親族の範囲など一般公務員の場合に準ずることとなつているのに、その適用を誤つたため勤務地域手当において北海道外3都府県計10,632,644円、扶養手当において宮城県外18都道府県計391,000円が過払となつている。

(3) 有給休暇出勤手当及び軍体出勤手当は、1日につき8時間分の給与を支給することとなつているが、その計算を誤つたもの、基本給には役付手当を加算しない取扱なのにこれを加算したものなどがあるため、東京都外13道府県において計10,581,636円が過払となつている。

(4) 解雇手当は、平均賃金を基礎として支給するものであるが、その平均賃金は前3箇月間に支払つた俸給、諸手当などの総額をその期間の総日数で除した額とすべきであるのに、これをか働日数で除したものがあり、又、退職手当について勤務年数の算定を誤つたものがあるなどのため、青森県外13都道県において計287,124円が過払となつている。

(5) 臨時語学加給は、加給を決定した翌月から支給することとなつているのに、これを採用又は決定の当月から支給したもの、これを加給する職種以外のものに支給したものなどがあるため、神奈川県外11道府県において計3,893,038円が過払となつている。

(6) 特殊作業手当は、重量物運搬、荒天時、危険作業などに対しその時間数に応じて1時間当り給与の3割以内を支給することとなつているが、特殊作業の事実がないのに支給したもの、1時間当り給与の計算を誤つたものなどがあるため、京都府外6都道県において計2,230,026円が過払となつている。

(7) 家族宿舎要員の給与は、本給に勤務地域手当、扶養手当及び時間外手当だけを合算したものであるのに、これ以外の給与を支給したものなどがあるため、岩手県外5県において計252,362円が過払となつている。

(8) 監視又は断続的勤務に服する者に対する諸手当は、1時間当りの給与を基本として計算するものであるが、その基本額の計算を誤つたため、東京都外4府県において計282,609円が過払となつている。