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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第10 郵政省|
  • (郵政事業特別会計(通信事業特別会計郵政勘定を含む。))|
  • (簡易生命保険及郵便年金特別会計)|
  • 物件

物品の調達及び処分当を得ないもの


(510)−(520) 物品の調達及び処分当を得ないもの

  (1) 購入の適期を失したもの

(510)  郵政省で昭和25年3月凸版印刷株式会社外1会社から郵便切手台紙並製300,000部及び特製50,000部を購入し、その代金として3,541,000円を支払つたものがある。右台紙は、25年年賀用お年玉つき郵便はがきの6等当選者に対し、2月1日から交付する賞品(お年玉郵便切手)の保存用として一般に販売する計画により、前者5円97、後者35円の単価で購入したものであるが、調達の適期を失し3月20日から各郵便局で発売することとなつたため、結局6月末に至るもようやく約7万4,000部を売りさばいたに過ぎない状況である。

  (2) 過大に購入したもの

(511)  郵政省で、昭和24年度中に池上被服工業株式会社外10会社に対し資材を官給し、外とう(甲)35,795着を生産させ、その代金として4,065,024円を支払つたものがある。右物品は、23年度においても約2万4,000着を使用したに過ぎなかつたものであるから、24年度においても前年度からの繰越分29,922着を使用すれば足りる計算となり、このように多量に生産させる要はなかつたもので、現に年度末に51,997着を保有する状況である。

  (款)事業支出(項)事業費

(512)  郵政省貯金局で、昭和24年11月日本タイプライター株式会社から再度貯金通帳記番号住所氏名用タイプライター130台を購入し、その代金として3,055,000円を支払つたものがある。右タイプライターの各地方貯金局の手持台数は、在来の手持58台に本件購入数を加え合計188台となつており、25年3月現在未使用機が68台もあり、その使用状況から見れば過大の購入と認められる。

(513)  東京郵政局で、昭和24年8月から25年3月までの間に株式会社小峯洋紙店外3会社から、式紙用原紙として印刷35号B本50ポンド外3品目1,479連を購入し、その代金として1,707、315円を支払つたものがある。本品購入当時においては、右原紙に代用し得る印刷36号B本50ポンド外4品目3,265連を保有しており、年度末までに854連を払い出し2,410連を25年度に繰り越した状況であるから、このように多量に購入する要はなかつたものである。

  (3) 不適品を調達したもの

(514)  郵政省で昭和24年度中に高島屋工業株式会社外2会社に、生地その他価額3,838,295円の材料を官給し、特殊ワイシヤツ39,974着の生産を請け負わせ、その代価として759,506円を支払つたものがある。本品は背部、両わき、両そでがなく、着用が不便で、且つ、不てい裁であつたので、25年9月末まだ約1万3,000着が貯蔵品として在庫しており、貸与を受けた職員もほとんどこれを着用していない状況で結局不経済な結果を生じたものである。

  (4) 不急の物品を購入し在庫となつているもの

  (款)事業支出(項)事業費

(515)  札幌郵政局で、昭和24年6月岡山市片岡某から購入した現金逓送袋5,000個の代金として575,000円を支払つたものがある。しかし、本品のような施錠のない違式の郵袋の購入はその要がなかつたもので、現に25年9月末現在においても未使用のまま全量を倉庫に保管している状況である。なお現金郵送のための現金郵袋は本省準備品であり、本品購入前の5月既に本省から所要数の交付を受けていたものである。

(516)  郵政省で、建築部第一工作所製材用原木として、昭和24年3月から25年9月までの間に株式会社大二外2名からひのき丸太2,000石を購入し、その代金として1,627,000円を支払つたものがある。しかし、25年9月末までにわずかに383石を製材のため払い出したに過ぎず、1,617石は素材のまま野積となつている状況であるから、24年度以降受け入れた1,500石は購入の要がなかつたものである。

  (款)事業支出(項)事業費

(517)  東京郵政局で、昭和25年5月本院会計実地検査当時有刺鉄線(#14)8屯5を帳簿外物品として退蔵していたものがある。右は23年12月通信建設工業株式会社から亜鉛引鉄線(#6−20)外1点16屯273を521,858円で購入し、その直後昭和建材工業株式会社所有の前記有刺鉄線と交換したものであるが、25年11月現在なお未使用のままその全量を退蔵している。

  (5) 物品を高価に購入したもの

  (款)事業支出(項)事業費

(518)  札幌郵政局で、昭和25年3月東京都三友物産株式会社から電気冷凍機(須中製)5個並びに間接撮影装置(大日本レントゲン製)3具及び附属品X線管球外5点をそれぞれ650,000円及び840,000円で購入したものがある。右電気冷凍機は東京都株式会社ツカサ商会が須中製作所から470,000円で、又、間接撮影装置も同商会が大日本レントゲン製作所から前記附属品X線管球外5点を除いて532,500円でそれぞれ購入したものを、更に三友物産が買い受けた上郵政局に納入したものであるが、もし同局が直接製作業者又はその代理店から一般市価で購入したとすれば著しく経費を節約できたものと認められる。

  (6) 式紙類の処分当を得ないもの

  (款)事業収入(項)業務収入

(519)  名古屋郵政局で、昭和25年3月貯金預入申込書外1点(帳簿価格1,318,414円)を江川商事合資会社に63,663円で売り渡したものがある。右は同局管内の保有量が過大であるとして約3箇年間分の使用量を残し他を処分したものであるが、本品は現在各局ともに使用中であり、全国の在庫量は必ずしも過剰と認められないのに単に自局のみの観点から過剰であるとして著しく低価に売り渡したのは当を得ない。

(520)  郵政省貯金局及び横浜地方貯金局で、昭和25年3月から5月までの間に貯金原簿用紙11,087,500枚を大王製紙株式会社外1名に547,446円で売り渡したものがある。右は様式が改正され旧様式となり、事務処理上支障あるものとして処分したものであるが、その改正は小部分であり、事務処理上支障があるものとは認められず、現に岡山地方貯金局外12局では旧様式のものを使用している状況でこれを売り渡したのは当を得ない。
 いま仮に、売渡数量相当分をあらたに調製すると約643万円を要するものである。