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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第10 郵政省|
  • (郵政事業特別会計(通信事業特別会計郵政勘定を含む。))|
  • (簡易生命保険及郵便年金特別会計)|
  • その他

郵便専用自動車請負料が当を得ないもの


(551)−(555) 郵便専用自動車請負料が当を得ないもの

  (款)事業支出 (項)事業費

 郵政省管下各郵政局における昭和24年度及び25年度第1・四半期分の郵便専用自動車請負料の支払額は、9億162万余円(25年度分1億7430万余円)に上つているが、右請負料は郵便物の取集、運搬及び配達の作業を日本郵便逓送株式会社外65業者に実施させ、それぞれの逓送区間の郵便物の運送費、積卸費及び附加費(深夜割増料、悪路割増料、積卸作業員料、その他)を見積り決定されたものであるが、請負料金の基礎をなす作業の実態について本院会計実地検査の際調査するに東京外7郵政局においては、その作業時間が必要以上に算入されたもの、荷量を越えた重量車種が運送自動車として指定されたもの、又は必要のない深夜割増料等が算入されたものがある等のため支払額が増大していると認められるものが少くない。
 本件は、当初から当局者が誤つた算定に基いて契約したり、実地の調査が不十分なままに契約したり、又は契約の内容を状況の変化に伴い作業の実際に即応するよう更改しなければならないのに、請負人に有利な取扱となつたままであることによるもので、前記郵政局等で約810万円はこれを節減する余地があつたと認められる。

 その事例をあげると左のとおりである。

(1) 作業時間等の計算を誤つたもの

(551)  東京外3郵政局で、昭和24年4月から25年6月17日までの間の宇都宮局駅間外74区間の郵便専用自動車請負料に深夜作業費及び就業時間加算料並びに積卸費として303万余円(25年度分6万余円)を積算したものがある。
 右は、深夜作業及び就業時間8時間を越えるものに対する時間加算料並びに郵袋積卸に要する経費として支払われたものであるが、右のうちには深夜作業時間及び総就業時間を誤つてそれぞれ1時間を加算したこと、又は自局で別途賃金を支払つて積卸を行つた荷量分を郵便専用自動車請負料の積卸費に含めて支払つたことなどにより118万余円(25年度分4万余円)過大な計算となる。

(2) 出発時刻の指定が当を得ないもの

(552)  名古屋外1郵政局で、昭和24年度中、名古屋中央、挙母間外17区間の郵便専用自動車請負料に深夜割増料として112万余円を積算したものがある。
 右は、郵便専用自動車の車庫出発時刻をそれぞれ午前3時53分から3時59分までの間及び4時58分と指定しているため、この7分から1分の端数を1時間に切り上げて深夜割増料を算定したものであるが、右端数時間分をそれぞれ繰り下げて4時又は5時出発に変更しても業務遂行上にはなんら支障がないものであるから、当初から4時又は5時に出発することとしていたならば深夜割増料60万余円を節減できたものと認められる。

(3) 就業時間の算出当を得ないもの

(553)  熊本郵政局で、昭和24年4月から25年6月17日までの間における鹿児島局駅間外3区間の郵便専用自動車請負料に時間加算料として297万余円(25年度分52万余円)を積算したものがある。
 右は、就業時間8時間を越えて就業するものとしての時間加算料であるが、24年9月15日以降列車発着時刻の改正に伴い、超過就業時間は事実上1時間から4時間の減少をきたしているのであるから、この事実に基きすみやかに請負料金の改定を行つたならば64万余円(25年度分18万余円)を節減できたものと認められる。
 なお、札幌郵政局においても右同様の事例が見受けられた。

(4) 車両の指定が適当でないもの

(554)  大阪外2郵政局で、昭和24年度中大阪中央局、上本町駅間外10区間の郵便専用自動車請負料に運送費として1152万余円を積算したものがある。
 右運送費のうちには、郵便物積載荷量に対し過大な車種を指定したこと、必要以上の配車両数を認めたこと、荷量が著減しているのに車種の変更を行わなかつたことなどによつて過当な請負料となつているものもあつて、もし年度当初において適正な請負料を決定したとすれば752万余円で足り、その差額400万余円を節減できたものと認められる。

(5) 荷量の算出が適当でないもの

(555)  名古屋外1郵政局で、昭和24年4月から25年6月15日又は16日までの間の名古屋中央、一宮間外45区間の郵便専用自動車請負料に積卸費として293万余円(25年度分50万余円)を積算したものがある。
 右積卸費の算出基礎となる荷量は、小包便等の利用がはなはだしくぼうちようしていた当時の荷量がそのまま採用されているものであるが、24年4月、11月及び25年3月、4月の荷量調査によれば、右荷量計算は、当初の荷量に比べ著しく減少をきたしておる状況であるから、適正な荷量に改訂をなし積卸費を減額すべきで、もしすみやかにこれを改訂したとすれば差額165万余円(25年度分28万余円)を節減できたものと認められる。