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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第13 建設省|
  • (一般会計)|
  • 工事

災害復旧補助工事費の査定又は工事の施行当を得ないもの


(621)−(625)災害復旧補助工事費の査定又は工事の施行当を得ないもの

  (部)公共事業費(款)公共事業費(項)災害関係公共事業費

 都道府県災害土木費及び災害土木助成費に対する国庫補助金の昭和24年度支出額は127億3千7百余万円で、国は都道府県の工事費に対し災害復旧は3分の2、災害土木助成は2分の1を補助するもので、災害復旧工事は原形復旧を建前としているが、災害復旧補助工事について実施した本院会計実地検査の結果、工事費の査定又は工事の施行当を得ないと認められるものが左のとおりあつて、これら工事に対する補助金はこれを交付すべきではなかつたものと認められる。

(1) 災害復旧工事費の査定当を得ないもの

(621)  建設省で、宮城県玉造郡鳴子地内江合川筋の堤防護岸昭和23年災害復旧の工事費を66,261,000円と査定したものがある。
 右工事中控横堤第三工区の分延長73米、第四工区の分延長172米の工事費計6,761,205円は、再度被災の場合被害を部分的ならしめ、且つ、堤内の排水処理を目的として築造するものであるが、本堤は直高7米の練石積堤防に護岸を施行し、23年災害当時の最高水位からなお1米50の余裕高があるので、更に本件控横堤を築造するのは原形復旧を本旨とする災害復旧補助の範囲を越えたものと認められる。

(2) 災害復旧工事及び災害土木助成工事の施行当を得ないもの

(622)  宮城県で、昭和24年9月工事費18,111,381円で請負施行した江合川左岸堤防23年災害復旧工事の設計は、築堤盛土53,612立米を全部背負運搬で施行するものとし立米当り185円90総額9,966,470円を計上しているが、25年5月その実地を調査したところ工事箇所は機械使用に適した場所であり、現に請負人はブルトーザー及びトロを使用施行した状況であり、本件設計に当つてはブルトーザーの使用を当初予定することが困難であつたとしても、少くともトロ使用により設計すべきものと認められる。もしこれによつたとすれば盛土立米当りは約百120円となり340万円程度は減額できたものである。

(623)  宮城県で、昭和24年12月工事費24,000,000円で施行した梅田川両岸堤防復旧工事のうちの仙台市原ノ町若竹新田地先右岸150米、左岸100米の築堤は、25年5月その実地を調査したところ築堤盛土に全く不適当の腐しよく土を使用したため3月完成直後雨水の浸透により自然崩壊をきたしている状況であつたので注意したところ、県は補助外工事として工費50万円をもつてその手直しを実施した。

(624)  富山県で、昭和23年10月工事費7,252,000円で請負施行した小矢部川堤防23年災害復旧工事は築堤盛土5,316立米を実施したものとし支払をしているが、25年7月その実地を調査したところ設計に誤算があり、2,099立米分に対する工事費等約46万円が過大に支払われている。又、利賀川左岸堤防復旧工事も設計に対する出来高不足等のため約14万円が過大な支払となつている。

(625)  兵庫県で、昭和24年6月工事費1,461,043円で請負施行した津名郡水越地内県道の23年災害復旧工事は延長75米に根固捨石及び路面復旧をするものとして922,640円で査定を受けたものであるが、25年7月その実地を調査したところ、練石積57平米、幅員2米5のコンクリートほ装181米及び波除壁181米をあらたに施工したもので原形復旧を本旨とする災害復旧補助の範囲を越えたものと認められる。