日本国有鉄道で、年度末の決算整理に当り経営成績及び財政状態を財務諸表に適確に表示しないものが左のとおりある。
なお、昭和24年6月国有鉄道事業特別会計から引継を受けた備品(決算品)は総額約8億8000万円(帳簿価格)であるのに決算上簿外品として取り扱われているが、そのうちの大半を占める機械類、自動車及主要な什器類については適当勘定を設定し、これを資産に計上整理するのが妥当と認められる。
(1) 貸借対照表に計上されるべき資産、負債で貸借対照表に計上もれとなつているもの
(661) 〔1〕固定資産
箇所 | 種目 | 数量 | 価格 |
四国鉄道局高松管理部 | 土地 |
61,000平米 |
円 3,071,500 |
四国鉄道局多度津工機部 | 機械 | 1台 | 8,219,097 |
計 | 11,290,597 |
〔2〕未収金
箇所 | 金額 | 備考 |
日本国有鉄道(本庁) | 円 582,005,490 |
連合国軍関係の旅客貨物運賃未収分 |
東京鉄道局 | 10,515,480 | 連絡駅における施設の共同使用料及び後納運賃に対する延滞償金の未収分 |
名古屋鉄道局名古屋管理部 | 2,190,920 | 建物及び用地使用料金未収分 |
門司鉄道局 | 9,993,795 | 公団からの購入炭の修正差額未収分 |
計 | 604,705,685 |
〔3〕有価証券(預り有価証券)
有価証券額面額33,703,050円(物品購入契約締結の際の保証金の代りに預つたもの)
(2)実際に使用しない貯蔵品を経費に処理したもの
(662) 年度末において未使用の貯蔵品を使用したこととして経費に振替決算したものが、被服類696,603,000円、石炭169,282,400円、その他をあわせ総額1,373,630,575円ある。
(3)保有貯蔵品を組み替え低価に評価換したもの
(663) 年度末において帳簿価格45,517,701円の貯蔵品をことさら4,527,333円に評価換して40,990,367円の評価損を計上している。
(4)営業外収入に架空の利益を計上したもの
(664) 東京鉄道局上野管理部で、前年度末に未しゆん功施設に計上もれとなつていた未完成工事6,677,934円を、昭和24年6月工事完成の際、仕訳を誤り未整理項目から固定資産に振り替えなければならないのに、営業外収入に相当額だけ計上してこれから固定資産に振り替えたため、決算には右金額が架空の利益として計上されている。