(部)終戦処理費 (款)終戦処理事業費 (項)補給部費
横浜特別調達局で、昭和25年5月随意契約により日新運輸倉庫株式会社に請け負わせた味入ドラムかん及びばら石油等の管理保管及び海陸輸送その他役務の代金として632,125,434円を支出したものがある。
右のうち、404,063,705円は味入ドラムかん、ばら石油類及び空ドラムかんの海上輸送代金に相当しているが、その単価の算定に当り処置当を得ないと認められるものが次のとおりある。
(1) 味入及び空ドラムかんの海上輸送代金に相当する246,033,445円は、その単価の算定に当つて特別調達庁の定めた京浜横須賀地区木船積運賃表による雑貨運賃の基本料金及び附帯料金の平均8%減の価格を適用したものである。しかし、右運賃表の料金は24年8月廃止された木船積貨物運賃の統制額に準じて決定されたものであるが、本件契約当時機帆船料金の市場価格は右統制額を相当下回つている実情であつて、25年3月同局において別途に機帆船役務提供に関し20業者を指名して前記運賃の基本料金に対する減価率の見積合せを行つたところ最高75%、最低30%で、これに参加した本件請負人は減価率72%と見積つた状況で、右役務と本件とは取扱貨物において幾分の相違はあつたとしても本件減価率は低きに過ぎ、結局他に低価な契約をする事例があるにかかわらず、これをしんしやくすることなく実情にそわない運賃表を基準とし特定の業者と随意契約したため、著しく高価になつたものと認められる。
(2) 本件支出額中には、調達業務の手続が一般業務に比べ複雑であるという理由で代行手数料として1航海1屯当り27円60の計算で総額1182万余円が包含されているが、本件と同種の前記機帆船提供役務においてはこの種の手数料はこれを支払わないことにしているもので、本件についてだけ特にこれを支払う必要はなかつたものと認められる。
(3) 又、味入ドラムかん輸送運賃には危険割増として総額108,935,996円を見込んであり、運賃の110%又は93%5としたものであるが、本件請負人は5月同局の実施した一般雑貨類運賃減価率の見積合せにおいて味入ドラムかん及び弾薬の取扱に対する危険割増を運賃の46%と見積つている状況であるのに徴し、本件においてこれを110%又は93%5と見込んだのは著しく高率に当つている。
なお、本件請負人は契約の履行につき必要な機帆船及び油そう船を全く所有せず、実際業務をすべて日新機帆船株式会社及び昭和油槽船株式会社に下請けさせ、両会社に対し25年度中横浜特別調達局より受領した前記4億4百余万円中2億8千3百余万円を支払つているものである。