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  • 昭和25年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第2 総理府|
  • (終戦処理関係の分)|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 役務

石油類受払役務費の支払当を得ないもの


(53)−(54) 石油類受払役務費の支払当を得ないもの

 (部)終戦処理費 (款)終戦処理事業費 (項)補給部費

 福岡、横浜両特別調達局で、三菱石油株式会社外1会社にジヨスコ油槽所の運営役務を請け負わせ、昭和25年度中その代金として688,710,730円を支出しているが、うち石油類受払役務の単価の決定当を得ないと認められるものが次のとおりある。

(53)  福岡特別調達局で、佐世保及び横瀬油槽所の運営役務を三菱石油株式会社に請け負わせ、その代金として164,222,774円を支出している。
右のうち、石油類受払役務の対価として支払つた125,762,560円について見ると、昭和25年4月から26年3月まで年間取扱数量を300万バーレル(月平均3万9千余キロリットル)と予定し、予定価格を物価庁認可価格1キロリットル当り50円の81%として入札を行い39円で契約したものであるが、25年8月施設の充実等に伴つて油の取扱数量が著しく増加し当初の取扱予定数量月平均3万9千余キロリットルに対し同月から26年3月までの月平均372,181キロリットルに達した状況で、この種役務の提供は取扱数量の増加に比例してその経費が増大するものではなく、このように事情が激変した場合は契約を更改し適正な価格を支払うよう処置すべきものと認められ、現に、他の同種の事例においてはこれらの事情をしんしやくして契約を更改しているのに、本件においては当初の契約単価をそのまま支払つている。
 しかして、会社業務の実態を見ると、25年7月まで労務者は2交替制の99名であつたのに対し8月以降取扱数量が当初予定の9倍余に激増したにかかわらず、3交替制181名程度で足りたもので、同月以降1箇月の所要経費は労務者1人当りの平均賃金実績13,306円、労務費会計2,408,449円、材料費平均実績103,142円で、これに諸雑費を24年度実費精算における諸経費率59%を適用し1,477,479円とすれば合計3,989,071円程度に過ぎないものと認められるのに、本件の月平均支払額は14,513,838円となつている。

(54)  横浜特別調達局で、宝町油槽所の運営役務を日本石油株式会社に請け負わせ、その代金として524,487,956円を支出している。
 右のうち、石油類受払役務の対価として支払つた67,659,956円について見ると、月間取扱数量を5万キロリットルと予定し取扱単価を1キロリットル当り50円として支払つたものであるが、昭和25年7月以降取扱数量が激増し26年3月まで月平均134,879キロリットルとなつたので同月契約を更改し、24年10月から25年3月までの月平均取扱数量に当る74,000キロリットルまでは1キロリットル当り50円、これをこえる分は1キロリットル当り4円に改め、これによる過払額21,960,007円を26年度において返納させることとしている。
 しかし、当初の単価50円は前項福岡特別調達局の分が取扱予定数量において本件よりも少量であつたのにかかわらず39円であるに比べ、高価と認められるばかりでなく、単価を更改するに当つては実績を勘案の上当初基準とした数量及び単価についても再検討し適正を期すべきものと認められ、同会社の実績によつて見れば、なお相当に減額の余地があつた状況である。