(1) 港湾関係公共事業費の昭和25年度支出額は、59億6千6百余万円で、そのうち国が直接施行した港湾事業費は23億6千余万円であつて、36億6百余万円は地方公共団体が施行した事業費に対する補助金及び国庫負担金である。
国が直接施行した工事のうち、特にそのしゆんせつ工事については、国所有の作業船舶の大半が老朽であるため作業能率が上らず、したがつて、工事を経済的に遂行するためのあい路となつている。又、港湾工事に使用した労務者の使用実績について工種別に確認するに足りる資料の整備が十分でないものがあるし、又、労務の効率についての管理が十分でないと認められる事例も見受けられる。
地方公共団体が施行した港湾工事について、運輸省の査定が適切でなかつたり、又、都府県が国の機関として補助金及び負担金を交付するに当り、査定対象外のものを含めた工事費を基本として補助金及び負担金を交付しているものがあり、その概要は後述のとおりである。
(2) 資金前渡官吏は370余人で、その前渡資金取扱額は33億2千1百余万円に達しているが、支出官からの資金の交付状況を見ると、その資金計画を十分に検討せず、要求額をそのまま交付している結果過剰資金が保管され、又、その支払、保管等の事務について監査が十分行われていないうらみがあり、不正な費消、一時流用等の事故発生の原因ともなつている。前渡資金の交付及び出納保管については十分な検討と厳重な監督を要するものがある。