(1) 郵政事業特別会計
本年度事業収入は、予算に比べ10億9百余万円の減をきたし、事業支出も14億5千3百余万円の減となつている。
事業収入が減となつたのは、郵便収入は21億4千4百余万円の増収となつたが、切手収入19億7千9百余万円、雑収入3億4千3百余万円、その他8億3千1百余万円計31億5千4百余万円の減収となつた結果であり、書状の利用者がはがきに移行する傾向が昭和24年度より更に顕著となつている。
事業支出は、事業収入に比べて1億3千5百余万円の支出超過となつているが、これを損益計算について見ると、8億1千9百余万円の利益金を予定していたのに対し、決算においてはかえつて2億7千2百余万円の欠損を生じている状況で、結局25年度末における欠損金の総額は24年度までの繰越欠損金50億6千8百余万円を加え53億4千1百余万円となり累増している。これは収入減に加えて給与べースの改訂等による支出の自然増加がそのおもな原因となつているものであるが、他方年度末における貯蔵品の事業品への振替予算使用額は平月の約4倍に当る7億6千6百余万円となつて不急の事業品の過大保有となつているものがある。本年度予算執行の実情を見ると、後述のとおり支出の規制及び予算の効果的使用に留意しなければならないものがある。
又、電気通信省に支払う電信電話料金としての通信費予算額13億円に対し、その使用額は4億9千9百余万円に過ぎず、その残額8億余万円のほとんどは被服費、補食費、厚生施設、自動車、自転車その他備品等の購入に充当されている。
(2) 簡易生命保険及郵便年金特別会計
(1) 保険勘定の本年度純剰余金は予定額8億8千9百余万円に対し、決算額10億2千1百余万円で、1億3千6百余万円の剰余金増となつている。これは死亡率の低下による死差益等による利益勘定に対して、附加損等の損失勘定との差益超過により剰余金を生じたものであつて、終戦以来累年赤字を続けていた保険勘定が初めて黒字に転換したものであるが、まだ附加費に関する限り赤字を免れないものがある。
事業再建の方途として契約更新等を急速に推進したことにより、契約金額は25年度末4269億3千5百余万円となり、これを23年度末1442億9千2百余万円に比べると著しい増加をきたしているが、その反面において少からぬ契約の失効、解約を生じている。このような事態は事業計画上に著しいそごをきたすものであるから、良質契約の募集と維持についての善処が望まれる。更に契約更新と関連して契約の失効、解約の増大に伴い保険費還付金は、当初予算額21億3千2百余万円に対し、実際支出となるべき額は40億6千1百余万円でこれは予算額に対し190%に当つており、ために保険費決算額は25年度の繰替払補てん未済額として24億1千4百余万円を26年度に持ち越している状況である。
事業委託経費として郵政事業特別会計に繰り入れた106億1千3百余万円は収入保険料に対し30%に当り、なお規定の附加率を相当超過している実情ではあるが、24年度の43%に比較すると大幅の低減をきたしている。しかして、事業費のうち新契約費は43億9千6百余万円(事業費の43%)を予定しており、このうち募集手当等の特殊経費は24億2千7百余万円を占めている状況であるが、事業の特殊性にかんがみ、特に新契約費については適度の規正が望ましい。
(2) 年金勘定における掛金収入は予算額に対し34%にしか当つていないので、これが成績を高めるにつき余地があるものと認められるし、他方事業費は予算額のとおり郵政事業特別会計に繰り入れられていて、この事業費繰入については収入と見合による調整の処置が望ましい。