(1) 粗悪な物品を購入したもの
(685)
熊本郵政局で、昭和25年11月共栄ゴム化工株式会社からゴム半長靴7,700足を単価480円で購入し、その代金として3,696,000円を支払つたものがある。
本品は、貸与期間を2箇年として管内現業職員に貸与の目的をもつて調達したものであるが、26年4月本院会計実地検査の際調査するに、貸与総数7,700足のうち2,485足(約32%)が貸与後使用日数5日から30日程度で使用不能となつている実情で、これが補充のため5月日本ゴム株式会社から3,200足(単価670円)を購入している状況である。
右は、購入に際し一定の規格を定めて契約したのに、納品に対する検収が当を得なかつたことに因るものである。
(2) 物品を高価に購入したもの
(686)
同局で、昭和25年2月熊本市田所某と随意契約をもつて帽子乙6,700個を購入し、4月その代金として1,474,000円を支払つたものがある。
右帽子乙の購入単価220円を、松山郵政局で同月購入した同種品の単価95円に比べると、主要材料である生地は松山の太綾9号に対し、熊本は細綾3号類似のもので、購入時期において多少の相違はあるとしても、松山の生地代44円余に対し本件は140円と見積つていて高価であるばかりでなく、製品の出来上りも良いとは認められない。
右は、調達に際して調査が十分でなかつたため購入価格の決定を誤つたもので、現に、東京、大阪、広島、仙台各郵政局でも、ほぼ同時期にいずれも1個当り110円内外で購入していて、これらは大体適当な価格と認められるものである。
(3) 不急の物品を調達したもの
(687)
郵政省で、昭和25年6月から9月までの間に、作業服29,986組帳簿価額45,056,292円のものを同省被服工場で生産し又は部外発注したものがある。
右調達品のうち最小型(3号)は7,313組価額10,988,345円となつていて、これは発注当時判明した着用対象者の体位実態調査を基準として号型割合を推定し、26年度貸与分として調達したものであるが、もともと本件被服類の調達については、各郵政局から25年9月末までに提出される準備要求書に基き計画数量を決定すべきことになつていたのにこれによらなかつたもので、もしこれが発注をしばらく差し控え右基礎資料を点検したとすれば、26年度分所要見込数7,835組に対し、これに充て得べき見越在庫数は8,254組となることが判明したのであるから、本件調達の要はなかつたものである。
右の調達に基き各郵政局に交付した結果、現に、26年5月本院会計実地検査当時仙台、札幌両郵政局では、26年度分貸与後も両局の必要在庫量520組に比べ7倍余に当る3,811組を保有している状況である。
(4) 物品の調達に当り官給材料を過大に交付したもの
(688) 同省で、昭和25年12月片岡産業株式会社外20会社に盛夏上衣(半袖開襟シヤツ)1号型20,500着、2号型34,100着及び3号型13,700着計68,300着の裁縫を3ヤード26、2号型で2ヤード20、3号型では2ヤード07となり、前記68,300着の生産に対しては149,710ヤード程度で足りる計算となるので注意したところ、将来は本院の注意に基き処理する旨の回答があつた。
(5) 事業品で貯蔵品への組替をしなかつたもの
(689) 広島郵政局で、昭和25年度末の決算整理に当り、管内現業局から規格、寸法等の相違又は過剰交付の事由で返納された冬服甲592着外24品目価額5,439,952円のものを貯蔵品に組替の処置をとらなかつたため資産に計上もれとなつているものがある。