(1) 不急の物品を調達したもの
(690)
郵政省で、昭和25年6月及び12月に岡村印刷工業株式会社に原紙(証券用B本120ポンド)価額3,535,761円のものを官給して保険証書(養老)用紙4,672,500枚の生産を請け負わせ、その代金として4,271,975円を支払つたものがある。
右は、25年度の所要量を7,900,000枚と見込み、本省の繰越保有量3,010,000枚に対する不足分として調達したものであるが、保険証書(養老)用紙は24年度に各地方簡易保険局に15,080,000枚交付しており、各地方局は同年度に約832万件の契約を成立させているから、これに書損など15%を認めても同年度では956万8000枚あれば足り、差引約551万2000枚を25年度に繰り越されることが見込まれ、これに本省の繰越保有量3,010,000枚を考慮すれば、同年度中の所要見込量7,900,000枚を差し引いても、なお622,000枚の余裕がある計算であるから、本品のうち25年12月発注分の3,672,500枚については追加生産するまでの緊要性はなかつたものと認められる。
(691)
同省で、昭和25年度中に奥田産業株式会社外9会社に口金外3点価額14,842,234円のものを官給して集配かばん(皮革製品)44,238個の生産を請け負わせ、その代金として99,904,500円を支払つたものがある。
本品の調達に際し本省では、全国集配区数約36,000区に年末年首繁忙期の臨時増区等を含め全国集配区数を約45,050区と見て、1区1個当りの割合で約45,050個を要するものと見込み、これに対し24年度末の現業局手持総数は33,356個、本省及び郵政局在庫数は5,913個であつたが、現在現業局手持のものは大体経年のため更新を要するものとして前記のとおり調達したものである。
しかし、現業局手持数のうち10,352個は皮革製品で23、24両年度中に交付したもので、皮革製品は5年程度の使用に耐え得るものであるから本年度において全部を更新する要はないものであり、又、2週間位の使用期間の臨時増区分約9,000個については、現在手持のもののうちで補修して使用させることができるものであるから、翌年度への繰越量を仮に前年度どおり約5,900個認めるとしても、新規調達は約26,000個で足りたものと認められ、約18,200個価額約4721万800円のものは過大に調達したこととなる。
(2) 解除物件の購入に当り処置当を得ないもの
(692)
札幌郵政局で、郵政省の指示により昭和25年5月株式会社山田商店から板ガラス(3ミリメートル厚)500箱を単価3,580円で購入し、その代金として1,790,000円を支払つたものがある。
右板ガラスは、郵政省が同年3月特別調達庁から解除物件1,058箱余(単価2,153円)の割当を受け、前記山田商店の負担において現品を入手させたものであるから、この購入価額については特別調達庁の売渡価額1,087,265円に同店が要した運送諸掛181,080円及び手数料(10%)をしんしやくした計140万円程度が適当と認められるのに、郵政省において価額まで指示しなかつたため、同局はこれを1,790,000円で購入する結果となつたものである。
(3) 事業品で貯蔵品への組替をしなかつたもの
(693) 東京、金沢、熊本、札幌各郵政局管内303普通郵便局で、昭和25年度末に事業品として標準在庫量(4箇月分)を著しくこえて保有しているものが保険契約申込書外186品目価額9,374,789円あるが、これらは各郵便局が紙類の統制によりこの種物品の入手難を考慮して郵政局に対し過大の交付要求をしたためこのように多量に保有する結果となつたもので、差当り使用引当がないものであるから貯蔵品に組替の処置をとるべきものと認められる。
(4) 使用済内国郵袋用封鉛の回収当を得ないもの
(694) 郵政省で、管下各郵政局に払い出した内国郵袋用封鉛は昭和24年度では133屯5、25年度では159屯159計292屯659であるが、このうち約80%のものは使用済と認められるのに、回収されたものは従前払出の分を含め24年1月以降25年度末までにわずかに86屯184に過ぎない状況で、現下重要資材の回収処置として緩漫と認められる。
(5) 現品が帳簿面と符合しないもの
(695)
東京郵政局で、同局保管の貯蔵品について昭和26年8月本院会計実地検査の際調査したところ、帳簿面と対査し現品の過剰となつているものが保険契約申込書外50品目価額2,407,463円あり、又、不足しているものが定額貯金預入申込書外11品目価額1,123,228円あつて、いずれも帳簿数量と現品が符合しなかつた。
右不符合は、保管物品についての受払処理が適確に行われていなかつたことに因るものと認められる。