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  • 昭和25年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第10 郵政省|
  • 不当事項|
  • (郵政事業特別会計)|
  • 役務

郵便専用自動車請負料の見積が当を得ないもの


(696)−(701) 郵便専用自動車請負料の見積が当を得ないもの

(款)事業支出 (項)事業費

 各郵政局においては、専用自動車による郵便物の取集、運搬及び配達の作業を日本郵便逓送株式会社外62業者に請け負わせ、昭和25年度における請負料支払額は9億4826万余円に達しているが、その請負料の基礎をなす作業の実態について本院会計実地検査の際調査するに、名古屋外4郵便局においては、その配車計画が適当でないもの、必要のない悪路割増料を支払つているもの又は就業時間もしくは荷量の算出が適当でないもの、出発時刻及び車両の指定が適当でないものがあるなどのため、次のとおり請負料において約670万円が高価な見積となつている。
 なお、右のうち出発時刻もしくは車両の指定が当を得ないもの又は荷量の算出が適当でないものについては、前年度本院会計実地検査の際郵政局に対してはその都度注意したところであり、本省においてもこれにより各郵政局に対し通達をもつてこれが調整についての注意を促していたのであるから、25年10月請負契約更改時においては、十分調査の上是正の処置をとるべきであつたものである。

(1) 配車計画が適当でないもの

(696)  熊本、札幌両郵政局で、昭和25年6月から26年3月までの間の諌早局、駅間外8区間の郵便専用自動車請負料として832万余円が支払われているものがある。
 右は、2両配車の区間において相互の配車を効率的に変更すれば待合時間を短縮することができ、又、門司から配車している八幡市内小包取集便は、これを折尾から配車することに変更すれば走行キロメートル及び就業時間を減少することができるもので、見積において総額約54万余円は高価に当つている。

(2) 悪路割増料の算出が適当でないもの

(697)  熊本、松山、札幌各郵政局で、昭和25年7月から26年3月までの間の熊本、伊倉間外2区間の郵便専用自動車請負料支払額のうちに悪路割増料として107万余円を算入したものがある。
 右は、悪路と認められない良好な区間に対しても悪路割増を認め又は終戦直後の調査のままその後道路が改修されたにもかかわらず、引続き悪路割増料を支払つているもので、見積において約48万円は高価に当つている。

(3) 就業時間の算出が適当でないもの

(698)  名古屋郵政局で、昭和25年6月から26年3月までの間の名古屋中央、昭和間外1区間の郵便専用自動車請負料として369万余円が支払われているものがある。
 右は、始業時刻前又は終業時刻後において出発前準備時間及び帰着後処理時間各1時間を除き全くか働しない時間に対しても次便待合時間として運送費に積算し、且つ、これに深夜割増料をあわせて算入したため、見積において約43万円は高価に当つている。

(4) 出発時刻の指定が適当でないもの

(699)  熊本郵政局で、昭和25年10月から26年3月までの間の博多、西戸崎間外4区間の郵便専用自動車請負料支払額のうちに深夜割増料として8万余円を算入したものがある。
 右は、郵便専用自動車の車庫出発時刻が適当でないため、いずれも深夜作業の5分から10分の端数を1時間に切り上げて深夜割増料を算定したものであるが、もし出発時刻を5分から10分繰り下げて出発させることにすればこれを見積る要がなかつたものである。

(5) 車両の指定が適当でないもの

(700)  熊本、松山、仙台、札幌各郵政局で、昭和25年10月から26年3月までの間の熊本、竜門間外25区間の郵便専用自動車請負料として2432万余円が支払われているものがある。
 右は、郵便物積載荷量に対し過大な車種を指定したこと、必要以上の配車両数を認めたこと、荷量が著減しているのに車種の変更を行わなかつたことなどによつて、見積において約454万円は高価に当つている。

(6) 荷量の算出が適当でないもの

(701)  仙台、札幌両郵政局で、昭和25年10月から26年3月までの間の仙台局、駅、長町間外27区間の郵便専用自動車請負料支払額のうちに積卸費として118万余円を算入したものがある。
 右は、積卸費の算出基礎となる荷量を荷量調査期間の平均荷量によらないで、期間中の最高又は2、3位のものを基準として算出したり、あるいは25年3月及び9月の荷量調査によれば荷量は著しく減少をきたしている状況であるのに、小包便等の利用がはなはだしく膨張していた当時の荷量がそのまま採用されたりしたため、見積において約67万円は高価に当つている。