(款)事業支出 (項)建設改良費
電気通信省施設局建設部が、昭和25年度中施行した電信電話工事は99件工事費494,529,000円(外に貯蔵品使用額1,370,916,000円)で、これに対し本院で特に不当事項があると見て会計実地検査を実施したものは27件工事費290,819,000円(外に貯蔵品使用額617,039,000円)である。しかして、そのうち21件はすべて直営をもつて工事を施行したこととなつているが、実際は一部を業者に請け負わせ施行したとしている部分が19,319,874円あり、賃金、旅費、需品費に付掛等をしてねん出した現金をもつて建設部本部の人夫賃等の財源に提供したり、部内外折衝費、現場職員慰労費、諸手当等に使用したとしているものなどが10,868,696円あり、これら正規の会計処理によらない金額は計30,188,570円に達し、なお本院会計実地検査施行箇所以外のもので同様の事態につき電気通信省から報告のあつた金額11,603,756円を加えるときは総額41,792,326円となり、工事費総額に対しては8%45に及んでいる。
本件は、建設部長が資金前渡官吏に資金を交付し、工事長をしてその資金をもつて工事を施行させたものであるが、このような事態を発生した事由を考察すると、同建設部が22年元日本電信電話工事株式会社の業務を統合し、会社の職員の大部分をそのまま建設部職員としているものであり、会社当時において工事の出来形が設計の図面及び仕様書に相違することがなければ工事費予定額の範囲内で任意に経費を使用できた便法を踏襲して官庁の予算統制及び経理規程を軽んじたことに基因し、建設部本部で定員以上に職員を使用し、その財源を各工事現場の工事費中に求めたり、又、各工事現場において地方官公署との折衝、その他部内職員の激励、慰労等にみだりに経費を使用するの弊をじゆん致したことに因るものと認められる。
その概要は左のとおりである。
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工事名 | 期間 | 資金前渡官吏支払額 | ねん出額 | 使用内訳 | 摘要 | ||||
切投げ工事代 | 本部へ人夫賃として提供 | 工事材料等購入代、部内外折衝費等 | 現場職員慰労費及び諸手当等 | 計 | ||||||
(実地検査を施行したもの) | ||||||||||
年月 | 円 | 円 | 円 | 円 | 円 | 円 | 円 | |||
(734) | 市内電話施設工事(中継線)外5工事 | 25、6から 26、3まで |
20,389,159 | 11,969,426 | 8,201,874 | 309,440 | 3,568,622 | 42,355 | 12,122,291 | ねん出額と使用額との差額152,862円については152,000円は別途本部より受け入れたものであり、865円は工事長及び資金前渡官吏が負担したものである。 |
(735) | 市内電話整備工事(線6、武蔵境) | 26、2から 〃5まで |
1,978,198 | 880,625 | 705,000 | 30,000 | 129,095 | 16,530 | 880,625 | |
(736) | 三条、新潟間市外電話施設工事(線路) | 25、4から 〃10まで |
10,510,150 | 3,753,965 | 2,200,000 | 255,000 | 1,027,965 | 271,000 | 3,753,965 | |
(737) | 新潟電話局改式工事(宅内) | 25、12から 26、9まで |
6,028,748 | 822,555 | 0 | 106,880 | 465,056 | 171,050 | 742,986 | ねん出額と使用額との差額79,568円50は26年8月までに国に納付した。 |
(738) | 金沢、七尾間市外電話施設工事(線路) | 25、11から 26、6まで |
8,407,036 | 2,410,359 | 2,200,000 | 50,180 | 140,179 | 20,000 | 2,410,359 | |
(739) | 大垣、河瀬間市外電話施設工事(線路) | 25、4から 26、1まで |
15,642,495 | 3,985,453 | 2,645,000 | 200,000 | 978,965 | 161,488 | 3,985,453 | |
(740) | 河瀬、膳所間市外電話施設工事(線路) | 26、1から 〃3まで |
5,057,775 | 194,263 | 0 | 140,000 | 54,404 | 0 | 194,404 | 工事長が負担した141円を含む。 |
(741) | 秋田、二ツ井間市外電話施設工事(線路) | 25、4から 26、3まで |
20,598,727 | 4,920,856 | 3,368,000 | 374,880 | 806,480 | 326,150 | 4,875,510 | ねん出額と使用額との差額45,345円60は26年6月国に納付した。 |
(742) | 帯広、富良野間市外電話施設工事(線路) | 25、8から 26、3まで |
20,137,217 | 794,509 | 0 | 310,000 | 359,709 | 124,800 | 794,509 | |
小計 | 賃金 | 33,772,839 | 16,556,293 | 19,319,874 | 1,776,380 | 7,530,475 | 1,133,373 | 29,760,102 | ||
旅費 | 42,418,388 | 5,106,642 | ||||||||
需品費 | 32,519,319 | 8,069,076 | ||||||||
請負費 | 0 | 0 | ||||||||
賠償及び補償費 | 38,959 | 0 | ||||||||
計 | 108,749,505 |
29,732,011 |
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(報告によるもの) | ||||||||||
(743) | 加入者新増設工事(線2、線4、神戸) | 25、7から 26、3まで |
4,628,052 | 2,873,843 | 979,252 | 118,100 | 1,039,732 | 736,758 | 2,873,843 | |
(744) | 下関局江の浦本村区域合併工事(線路) | 25、7から 26、3まで |
10,945,891 | 5,178,465 | 3,750,000 | 256,070 | 740,190 | 432,205 | 5,178,465 | |
(745) | 仙台局改式工事(土木) | 25、8から 〃12まで |
4,041,260 | 2,145,056 | 1,369,000 | 180,000 | 596,056 | 0 | 2,145,056 | |
小計 | 賃金 | 6,081,227 | 4,662,317 | 6,098,252 | 554,170 | 2,375,978 | 1,168,963 | 10,197,364 | ||
旅費 | 8,531,901 | 3,025,102 | ||||||||
需品費 | 4,815,485 | 2,509,945 | ||||||||
請負費 | 186,590 | 0 | ||||||||
賠償及補償費 | 0 | 0 | ||||||||
計 | 19,615,203 | 10,197,364 | ||||||||
合計 | 賃金 | 39,854,066 | 21,218,610 | 25,418,126 | 2,330,550 | 9,906,453 | 2,302,336 | 39,957,466 | ||
旅費 | 50,950,289 | 8,131,744 | ||||||||
需品費 | 37,334,804 | 10,579,021 | ||||||||
請負費 | 186,590 | 0 | ||||||||
賠償及補償 | 38,959 | 0 | ||||||||
計 | 128,364,708 | 39,929,375 |
備考
(イ)「実地検査を施行したもの」のねん出額の小計29,732,011円と本文中の「正規の会計処理によらない金額」30,188,570円との差額456,559円は、本表掲記以外の秋田電話中継所機械工事外6工事のねん出額で本部提供分である。
(ロ)「報告によるもの」のねん出額の小計10,197,364円と、本文中の「報告のあつた金額」11,603,756円との差額1,406,392円は、本表掲記以外の仙台局改式工事(宅内)外22工事のねん出額で本部提供分である。
(ハ)ねん出額の合計39,929,375円と、本文中の総額41,792,326円との差額1,862,951円は、本表掲記以外の工事のねん出額で本部提供分である。
なお、前掲使用内訳のうち「本部へ人夫賃として提供」の金額の合計2,330,550円は、前掲以外の工事について同様の方法によりねん出した現金計1,880,576円(うち24年度繰越分17,625円を含む。)をあわせ、本部ではこれを左のとおり使用したとしている。
使途 | 金額 | |
本部定員外事務員人夫賃及び手当 | (25年4月分から26年4月分まで) | 円 3,685,005 |
工事材料雑品購入代その他 | 476,790 | |
部外折衝費 | 49,330 | |
計 | 4,211,126 |