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  • 昭和25年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第11 電気通信省|
  • 不当事項|
  • (電気通信事業特別会計)

工事


工事 (747)−(758)

 昭和25年度建設勘定の予算額は222億5千4百余万円で、前年度から繰り越された金額49億1千6百余万円を加え計271億7千1百余万円であるが、支出決定済額は196億9千8百余万円に過ぎず、差額のうち73億8千5百余万円を翌年度に繰り越し8千7百余万円を不用額としている。
 右の支出決定済額についてその内容を見るに、年間に工事を完成して固定資産の完成施設へ振替のもの97億1千8百余万円、未完成工事へ振替のもの97億2百余万円、雑損に計上のもの1億4千8百余万円、財産除却費に計上のもの1億2千8百余万円であつて、未完成工事がぼう大な数字に上つている。
 これを比率で示すと支出決定済額は予算額に対し72%に過ぎず、更に完成工事の金額は予算額に対し36%の僅少であり、完成工事、未完成工事、繰越工事の比率はそれぞれ36%、36%、28%となつている。
 又、これを繰越額を含まない当年度の新規工事費だけについて見ると、予算額に対する支出済額の比は64%であり、このうち建築関係の分は32%となり、工事の計画及び実施が著しく遅れ、又、完成工事が少くて工事が非能率となつていることが明らかである。
 その原因のおもなものを考察すると次のとおりである。

(1) 前年度において工事遅延の原因として指摘した予算示達の後半期集中の傾向は大いに改善されたが、本年度においては工事命令が遅れたり、工事命令の内容が適切でなかつたりしたため、予算はあつても直ちに工事に着手できず、重要な工事の大半は年間の後半期に集中して施行された状況である。
 たとえば、電気通信省施設局建設部で、25年8月から26年7月の間に工事費47,874,000円で施行した帯広、富良野間ケーブル布設工事は、年度当初発令の予定の工事命令が遅れて7月となつたため狩勝峠、鹿越等山越ルートの難工事を厳寒期に施行することとなり、又、同部で26年1月から9月の間に工事費29,033,000円で施行した河瀬、膳所間ケーブル布設工事は、工事命令の内容が適切でなかつたためそのままでは工事を施行することができず設計変更のやむなきに至り、完成が予定工期より2箇月延引したものである。

(2) 総合的に進ちよくすべき関連工事施行につき、各部内間の連絡不十分のため、局舎の建築と局舎内に設備すべき機器類等の資材の到着とがおのおのは行するなど、一方の遅延のため他の完成が妨げられた。

(3) 相次ぐ機構の変更があつて、25年9月管理所より取扱局へ事務の一部移管、11月通信部の拡充、12月建設部出張所の開設等のため建築関係の計画を変更したり、計画を延期したりしたものがあつた外、通信局段階以下の建設工事は建設部出張所の開設の遅延に因り著しく影響を受けた。
 なお、25年度建設工事費の賃金、旅費及び需品費の合計135億8百余万円(管理費的のものを除く。)の時期的支出状況から見ても、前半期においては30億3千9百余万円(23%)が支出されたに過ぎず、102億6千9百余万円(77%)は後半期に支出されている状況で、特に年度末の1箇月分で全支出額の39%に当る52億5千6百余万円が支出され、そのうち45億7,200万円は貯蔵品から事業品への振替額である。
 しかして、工事の計画、設計及び施行等について見ると予算の使用計画当を得ないため局舎建築と機械工事等の関連工事が併行して施行されず不経済となつているもの、工事の計画当を得ないもの、工事の設計当を得ないもの、工事の施行時期当を得なかつたため不経済な支出となつたもの、工事が設計どおり施行されていないもの、工事の進ちよくがは行しその完成が著しく遅延したもの又は工事が未完成であるのに完成した取扱をして代金の全額を支払つたものなどがある。
 そのおもな事例をあげると次のとおりである。