(762)
関東電気通信資材部で、昭和25年10月那須電機鉄工株式会社外5会社に随意契約により亜鉛地金20,284キログラムを2,991,890円(単価屯当り147,500円)で売り渡したものがある。
右地金は、前記業者が同資材部に納入する架線金物等の鍍金用として売り渡されたものであるが、当時この種非鉄金属は市場在庫量が少く価格騰貴が著しかつたのであるから、国の利益を確保する観点からすれば発注製品の官給資材としての取扱をすべきであつたし、又、売り渡すとしても契約の際本件資材を使用した発注製品の納入価格の算定においては資材売渡価格を基準とする旨の条項を設けるべきものであつたと認められる。
しかるに、前記のような契約条項を明記しないで売り渡した結果として同資材部がその後前記業者から購入した架線金物等のうち、25年度末までの分に使用された9,104キログラム76分については屯当り160,000円で算定してはいるものの、残りの11,179キログラム24のうち26年8月末までに納入された分について見るに、8,684キログラムは屯当り280,000円、220キログラムは屯当り340,000円、44キログラム71は屯当り320,000円、375キログラム90は屯当り295,000円で算定していて、売渡単価147,500円に比べて著しく不利をきたしており、1,854キログラム63はなお業者の手持となつている状況である。
(763)
近畿電気通信資材部で、昭和25年3月から7月までの間に、5回にわたり株式会社安田商店外2会社に硫酸銅42屯377を889,501円(単価キログラム当り12円から34円)で売り渡しているものがある。
右硫酸銅は、電話事業には必要欠くべからざるものであり、近畿電気通信資材部の25年度使用実績は約32屯で、うち21屯6は10月以降電柱用として官給したものであるが、その以前官給しないで購入した硫酸銅注入電柱に使用された本品の単価は31円から60円までであつて前記売渡価格を上廻つており、且つ、その数量も電柱15,000本分約65屯に及んでいるので官給資材としての取扱をすべきであつたし、九州電気通信資材部で、25年5月から10月までの間に78屯をキログラム当り単価41円から66円までで購入している実情から見ても、特に売渡の要はなかつたものである。
現に、26年6月に至り前記株式会社安田商店から13屯を1,885,000円(単価キログラム当り145円)で購入している状況である。