(款)建設改良費 (項)建設改良費
(1025)
日本国有鉄道四国鉄道管理局及び同東京操機工事事務所で、昭和25年度中に、予讃線下灘、喜多灘間法改良工事を工事費17,818,546円で施行したものがある。
右は、四国鉄道管理局が予讃線224キロメートル45附近(下灘、喜多灘間)の土質が悪いため生ずる法面の移動及び崩壊の防止対策として、同所の法面の緩和を計画し、当初直営及び請負で切取工事量12,378立米及びその他附帯工事を施行し、その後切取土量の関係上機械土工を適当と認め、残工事を東京操機工事事務所へ委託し、同工事事務所が切取作業30,600立米を直営し、これに附帯するよう壁、開きよ工事等を請負で施行したものである。
しかるに、26年8月本院会計実地検査の際右工事現場を調査したところ、土圧のためよう壁及び開きよは破壊されその用をなさず、又、切取箇所は土の移動によつて工事完成時の原型は全く失われている。
当箇所は、本州中部より連なる主要断層帯に属し、従前から法面が移動し、崩壊の虞が多分に存し、18年以降数回にわたり補修工事を行つてきた地区であり、その法面の移動に対しては類似の事態にあつた篠井線姥捨駅構内における地すべり災害復旧工事と同様特殊の対策を要するものと認められるのに、通常の斜面に対すると同様に法面の緩和を目途として表土を切り取つたためますます雨水の浸透を増し、かえつて崩壊の虞も生じていて、25年度工事はその意図する効果をあげ得なかつた状況である。
(1026)
日本国有鉄道岐阜工事事務所で、昭和25年8月第三浜名橋梁応急補強工事を浜松市袴田某に3,512,842円で請け負わせ11月しゆん功したものがある。
本補強工事は、強度が減じ振動が増大した8橋脚にそれぞれの工法で補強するためのものであるが、そのうち4橋脚分は工費1,251,100円で捨石工法によつたものである。
右捨石工法は、比較的簡単で低価という理由で施行したものであるが、その効果を検討すると、洗掘と臨時的な制動その他の衝撃に対しては有効であるとしても、本件工事の意図する反覆的な振動の防止には適合しないものである。もし仮に、橋脚周囲の杭打工法を施行したとすれば、前記工費をもつてはるかに有効な補強ができたものである。