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  • 昭和25年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項及び是正事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

工事の施行当を得ないもの


(1027) 工事の施行当を得ないもの

(款)建設改良費 (項)建設改良費

 日本国有鉄道大阪工事事務所(昭和25年7月以前大阪鉄道局大阪工事部)で、25年度に東海道本線498キロメートル115附近(草津、石山間)から新設瀬田川橋梁に至る約340米の路盤建設工事の一部として、鉄道建設興業株式会社に高橋函渠築造その他工事を請け負わせ、5,156,186円(支給材料1,066,733円を含む。)を支出したものがある。
 右は、瀬田川橋梁改良に伴う同地帯線路変更による路盤新設のための築堤の仕上げその他の工事であるが、東京操機工事事務所が25年3月から7月までの間に盛土をしたものに対し、8月から12月までに仕上工事を施行したものである。
 しかるに、本築堤は、26年2月及び4月の本院会計実地検査当時、既に築堤の諸所に降雨による溝状の崩落を生じており、その後7月各所があるいははらみ出し、あるいは崩壊したため、減速運転を実施する一方同月これが災害に対する応急工事を大阪鉄道工業株式会社及び鉄道建設興業株式会社に計4,125,000円で請け負わせ施行するに至つている。
 右は、日本国有鉄道においては豪雨による被害であるとしているが、同時期に施行した対岸京都側築堤についてはこのような事故は発生しておらず、結局本件は、築堤の仕上工事を施行するに当り盛土締めを均等に行わず、且つ、筋芝、土羽打等の施工が不十分であつたことに因るものと認められ、請負工事についての施行監督上の注意が足りなかつたといわなければならないものである。