ページトップ
  • 昭和25年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項及び是正事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

坑道開さくについてその緊要性を認め難いもの


(1028) 坑道開さくについてその緊要性を認め難いもの

(款)建設改良費 (項)建設改良費

 日本国有鉄道志免鉱業所で、昭和24年9月以来延長約900米の岩盤坑道(以下Aと称する。別図参照 )を開さくする目的で、赤土卸第一目抜坑道開さく工事等一連の工事を株式会社間組に請け負わせ、25年度末までに約630米を開さくし交付材料費及び割掛費を含め13,483,020円(うち24年度分4,699,055円)を支出しているものがある。

 同鉱業所では、本炭鉱の下層群層の採炭のため、立坑より主要運搬坑道(以下Dと称する。)及び主要通気坑道(以下Cと称する。)を浦田中白炭層とザルボ炭層との間の岩盤に開さくするとともに探炭のための坑道(以下Bと称する。)を赤土炭層に沿つて開さくした外、このBの排気のため必要であるとして本件Aを赤土炭層の上部の岩盤に開さくしたものであつて、このAは将来別に計画中の排気立坑完成の後は排気坑道として使用する必要がないので、赤土炭層採炭分の一部を運搬するための坑道として使用するとされているものである。

 一般に炭坑では、現に隣接の第八坑でもそうであるが、運搬坑道とその排気坑道の2本立で採炭することが普通で、この坑道を炭層に沿つて開さくすれば探炭もできるとされているものである。しかし、炭層に沿つた坑道は将来維持費がかかるため、この2本を岩盤に開さくし、別に探炭坑道を先進させることも一つの方法であるので、前記のように同鉱業所でD及びCを岩盤内に、又、Bを赤土炭層に沿つて開さくしたことは、本炭鉱の特殊条件にかんがみて了解のできるところであるが、もしCをBの排気坑道として連進させる方法をとつたとすれば、Aを開さくしなくても探炭時の排気は十分できるし、又、赤土炭層の送炭には必ずしもAによらなくてもよいから、結局Aはあるにこしたことはないが、なくてはならぬ緊要なものであるとは考えられず、A開さくのため前記のような多額の経費支出の合理的根拠に乏しいものと認められる。

坑道開さくについてその緊要性を認め難いものの図1