物品売渡に当り現品について引渡数量を確認する処置がともれていないため、ひいて日本国有鉄道に不利をきたしていると認められる事例が次のとおりある。
(1031)
日本国有鉄道広島地方資材事務所で、昭和25年度中に、富士製鉄株式会社外2会社に広島工場用品庫所在の鋼及び鉄くずを売り渡し、その代金として5,267,599円(うち26年度分520,977円)を収納したものがある。
この売渡契約においては、現品の引渡は発生箇所置場積込渡となつているが、同用品庫では引渡数量を確認する処置がとられていないで、買受人の代行業者が申し出た受領数量をもつて引渡数量としているのは当を得ない。
しかして、前記代金は1,416屯085相当分となつているが、これは積載貨車屯数2,191屯に対しては64%6の比率となつていて、これを同年度中に現品について引渡数量を確認して売渡の処置をとつた釧路、秋田、松任、後藤の各工場用品庫における貨車積載比率が81%から97%となつているのに比べ、本件の場合は著しい開差を生じている状況である。
(1032)
同志免鉱業所で、昭和25年度中に国鉄共済組会外5名に沈でん微粉炭を売り渡し、その代金として2,968,725円を収納したものがある。
この売渡契約においては、現品の引渡は巻上炭車を貯炭場であけた時に完了し、又、その引渡数量は、あけた車数で算出することとしているが、引渡数量を確認すべき処置がとられていないで、買受人の申し出た受領数量をもつて引渡数量としているのは当を得ない。
いま仮に、炭車巻上人夫の記入した数量記録により引渡数量を計算すると11,904屯となるのに、前記収納代金は11,403屯相当分となつていて、501屯だけ過渡となつた計算となる。