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  • 昭和25年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項及び是正事項|
  • 第5 連合国軍人等住宅公社|
  • 不当事項|
  • 工事

工事の施行に当り処置当を得ないもの


(1108)−(1109) 工事の施行に当り処置当を得ないもの

(款)公社支出(項)住宅建設費

(1108)  連合国軍人等住宅公社横浜支部で、昭和25年8月鹿島建設株式会社外8会社に請け負わせた相摸原公社住宅新設工事費として、1,246,963,098円(うち26年度分139,159,685円)を支出したものがある。
 右は、460戸の住宅建築工事及び屋内電気、衛生、だん房等の附帯工事の代金で、当初、予定価格と同額の971,050,000円(坪当り60,173円ないし65,145円、平均62,122円)で契約したものであり、契約後資材、工法等につきしばしば設計変更を行つた結果、精算金額は前記のとおり1,246,963,098円(坪当り工事費は78,448円ないし82,723円、平均79,774円)となり著しく高価となつているが、設計変更の内容を見ると、当初の仕様書に記載された規格以上の良質造作材を使用し、あるいは塗装材料又は方法を変更し、更に工事の実施に当り多額の手もどりを生じ、その工事費を補償するなどそのおもなものだけでも76,751,192円に上つている状況で、このようなものは当初十分な打合せを行つたならば節減することができたと認められ、結局本件は工事の施行に当り注意の周到を欠き工事費の増加をきたしたものでその処置当を得ない。
 なお、本件予定価格のうち建築工事費576,102,283円の積算内容を見ると、木材の所要量を過大に見積り、その価格も高価であり、又、2戸建として建築するものに1戸建の建築費を2倍に積算するなど積算が過大と認められるものが計50,003,933円ある。
 又、同仙台支部で、西松建設株式会社外4会社に支払つた三沢地区公社住宅新設工事代金461,624,180円の予定価格の内容を見ると、建築工事費246,290,800円において木工、土工、左官等の各工事の単価及び数量を過大に見積り、あるいは誤算しているものがあるため、約2600万円高価に積算されている。更に屋内だん房工事及び屋内衛生工事において過大又は二重に積算したものがあり、結局本件予定価格は諸経費をあわせ約5000万円を高価に算定しているものと認められる。

(1109)  仙台支部で、昭和25年4月鹿島建設株式会社外1会社に請け負わせた三沢及び八戸両地区公社住宅用上水道新設工事の代金として103,387,500円を支出したものがある。
 右は、当初両地区合計86,500,000円で請負に付し、その後設計変更の結果、前記金額に増額して支払つたものである。

(1) 三沢公社住宅用上水道新設工事のうち、高さ89フィート余の鉄塔に容量80,000ガロンの水槽を設備する高架水槽工事(工事費12,444,447円)は鉄塔の上部を10インチ×5インチ× インチI形鋼と幅5インチ厚さ インチの平鍋を組み合わせた鉄柱8本をもつて組み立てられているが、25年11月完成後間もなく36フィート余の部分が屈曲したため、当局者の計算によるも約383万7000円の補修費をかけなければ使用不可能となつている。
 しかし、本件鉄塔に隣接した既設高架水槽の鉄柱は本件屈曲部分に相当する部分に本件と同一のI形鋼と幅が本件の2倍に当る10インチ平鍋を組み合わせたものを使用しているにかかわらず、なお幾分屈曲している事例があるばかりでなく、屈曲部分の強度を本院で計算すると断面積1平方センチメートル当り約70キログラムが限界荷重であるのに対し、水槽の満水時荷重は1平方センチメートル当り510キログラムで、前記限界荷重の約7.3倍となつている状況であるから、これを施工すれば事故の発生することは当初において予見するに難くなかつたものと認められるのに、十分調査することなく不備な工事を行い、多額の補修費をかけなければ使用不可能にさせているのはその処置当を得ない。

(2) 本件工事の当初の予定価格の積算内訳を見ると、両地区の配管工事費22,777,525円のうち鋳鉄管460屯329に対する大阪から古間木又は八戸までの輸送費として1,620,136円が計上されている。しかし、鋳鉄管の価格は買主もより駅渡の価格である統制額で計上されているものであるから、統制額の外に前記のような輸送費を計上する必要はないものであるのに、これを積算したためひいて請負価格を高価にさせたものでその処置当を得ないものと認め注意したところ、請負人の工事費内訳書に記載された輸送費相当額1,386,600円を請負人から回収することとした。