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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第1 裁判所|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 工事

工事費の積算当を得ないもの


(1) 工事費の積算当を得ないもの

(部)裁判所費(款)裁判所(項)裁判所営繕工事費

 最高裁判所で、昭和26年5月、鹿島建設株式会社大阪支店に随意契約で請け負わせた大阪家庭裁判所庁舎新営第5期工事の代金と50,243,000円を支出したものがある。

 右工事は、鉄骨鉄筋造地下2階地上6階延4,159坪の庁舎建設工事のうち既設基礎上に鉄骨第1継手までの建方及び鉸鋲並びに鉄骨外面のろ引等を施行するもので、その予定価格算定に当り本件工事費査定の基本となる鉄材所要量を定尺物によつて素材重量を477屯95と算出し、成品重量はその約94%と見込み448屯75と計算し、請負業者の見積もほぼ同様となつているが、成品重量を図面により精査するときは、当局者の計算によつても約370屯となり、スクラツプ減6.5%と見込み素材重量は約394屯で足り、約83屯を多量に見込んだものと認められ、又、その屯当り単価は当時の市場相場に比べ大差のないものであり、諸経費率16%も裁判所で契約している他の新営工事に比べ低率と認められない。

 いま、本院において図面により精査した前記鉄材量により当局の予定価格の積算方法に準じ工事費を計算すれば約4200万円となり、これに比べ本件契約価額は約700万円高価となるものである。現に、鹿島建設株式会社大阪支店は、この工事を、所要鉄材は素材で390屯、成品で371屯その価格は八幡製鉄株式会社の建値によるものとして日立造船株式会社に下請施行させている。

 右の外、27年2月、鹿島建設株式会社大阪支店に随意契約で請け負わせた第6期工事の代金として17,504,000円を支出したものについても、前記同様予定価格の積算に当り鉄材所要量を205屯と計算しているが、図面により算定すれば約175屯で足り約30屯を多量に見込んでいる。