(部)終戦処理費 (款)終戦処理事業費 (項)終戦処理事業費 外1科目
東京特別調達局で、昭和26年度中に、三菱倉庫株式会社外26名に対し営業用倉庫の接収借料として124,710,571円を支出したものがある。
右のうち98,579,806円は、26年2月分及び3月分の借料増額分と4月から12月までの間の借料で、この借料は、24年6月当時地代、家賃及び建造物自体の火災保険料に区分して積算されていた借料の額に一定倍率を乗じて決定したものである。
いま、24年6月当時の借料を構成する各要素のうち火災保険料について点検すると、これは、建物評価額1,000円につき鉄筋鉄骨建10円、木造建16円50から20円として計算されているが、この料率は、26年2月以降における特別危険品を収容する倉庫の最高率をわずかに下回る程度のものである。しかして、この料率の適用は、24年6月当時においては倉庫の収容物が不明であつたのでやむを得なかつたとしても、その後26年2月以降においては、損害保険料率算定会では、収容品の級別が不明の場合はB級危険品の料率を適用することとしており、又、これらの倉庫には事実食糧品又は被服等を格納している状況であつたのであるから、26年2月以降の借料については、24年6月当時のB級危険品の料率鉄筋鉄骨3円83、木造建6円13から8円02を基準とすべきであつたのに、従前の前記10円から20円までのものと、これに地代、純家賃相当額を合わせたものに対し前記のような倍率を乗じている。
他方、24年6月当時の借料を構成する他の要素について点検すると、地代相当額は一般の場合に比べ均衡を得ており、又、家賃相当額は、本件倉庫は坪当り平均鉄筋鉄骨建物約81円で、当時倉庫以外の鉄筋鉄骨建一般接収建物の借料坪当り平均約77円であるのに比べおおむね均衡を得ている状況である。一般家屋の接収借料も、26年2月以降は本件倉庫の借料についてと同様な倍率適用を受けていて、特に高率となつていない点を考慮するとき、本件倉庫借料において火災保険料についての積算分を特に高率にしなければならない事由は認められない。結局本件倉庫借料の支払は高価に当つていると認めざるを得ない。
いま、火災保険料相当分については、前記B級危険品の料率で計算した額により積算して本件借料を支払つたとすれば、約2280万円節減することができた計算である。