(56)
東北財務局で、昭和26年2月、宮城県渡波町所在の国有地である海浜地9町9反1畝1四歩(29,744坪)を渡波町によつて不当に所有権保存登記をされ、うち3,995坪を同年4月以降宅地として百万余円で売却処分されたものがある。
本件は、大正元年8月、宮城県が同町に砂防用地として売り渡した土地の隣接地で船揚場、網干場等に接するものであつて、同町が買い受けた右砂防用地は、当時同町から提出された実測図によれば、4町4畝27歩であつたことは明らかであるのに、町当局は、本件土地をも含めて買い受けたものとして県当局の承認を受け、誤びゆう訂正増の所有権保存登記をしたものである。
しかし、24年3月、同町から石巻税務署に地積の誤びゆう訂正の申請がされたとき、同署は疑義があるものとして9月東北財務局(当時仙台財務部)に連絡してきたのであるから、事情を検討の上適宜の処置を講ずベきであつたのに、これをしなかつたのはその処置当を得ない。
(57)
関東財務局で、昭和21年5月から引続き現在に至るまで、昭和電工株式会社に川崎市所在元陸軍燃料廠第1貯蔵所の土地27,397坪(24年6月から16,398坪)、建物7棟延130坪及び貯油槽(11,200キロリットルから18,000キロリットル入)14基等を一時使用させているものがある。
右のうち、建物及び貯油槽等については、21年5月及び11月、前記会社が、国が査定する価額で買い受けることを条件として解体を許可したもので、このような処置は適当ではないが、これは別として、27年7月その管理についての本院会計実地検査の際の調査によると、会社は、解体鉄板4,557屯のうち2,659屯は硫安製造の電解工場建設のために使用し、残余の1,898屯は野積のままに放置している状況であるのに、当局は、27年7月会計実地検査当時に至るまで数年にわたりこれら国有財産の使用料又は売渡代金の決定をしないままでおり、又、前記の土地については25年12月までの使用料607,718円を収納したにとどまつているような状況であつて、その処置著しく緩慢である。
(58) 東海財務局で、昭和22年4月以降、日東製塩株式会社に対し豊橋市所在元豊橋海軍航空基地所属の機械器具等140個を使用させていたところ、26年1月から8月までの間に、その大部分時価評価額約40万円のものが同会社の管理不良のため亡失しているのに、27年10月末現在まだ補償追求の処置がとられていない。