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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第4 大蔵省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 物件

船舶の売渡に当り処置当を得ないもの


(60) 船舶の売渡に当り処置当を得ないもの

(部)官業及官有財産収入 (款)官有財産収入 (項)官有財産売払代

 北海道財務局で、昭和25年8月、西野某に元大湊海軍警備府所属の飛行機救難艇第1,339号(フライアスン丸、鋼船221屯、デイーゼル800馬力)を6,000,000円で売り渡したものがある。

 右船舶は、23年9月から25年1月までの間、連合国軍の命令により高野建設株式会社に海没飛行機の引揚のため使用させていたもので、軍の使用目的終了により横須賀水域にけい留していたものであるが、北海道財務局で、公告を道内の各財務部掲示板等に掲載した程度で25年3月予定価格を6,000,000円として一般競争入札に付したもので、このような場合はその所在箇所の管轄庁である関東財務局に所属替するか又は広範囲に公告して処分することが、競争の実を発揮する上からみても適当な処置であつたと認められるのに、前記競争入札の結果、入札参加者は西野某だけで、再度入札に付しても入札価格に達せず契約を結ぶに至らなかつたが、その後同年8月同人と随意契約をしたものである。

 しかし、このように入札後売渡の時までに長期間を経過しているばかりでなく、その間に朝鮮事変等による経済状勢の変動に伴いこの種小型船の新造価額は2、3割方騰貴していた状況にかんがみ、あらためて予定価格の積算に検討を加え、競争入札に付するのが妥当であつたと認められるのに、前記のように随意契約により、しかも前回の予定価格と同額で売り渡したのは当を得ない。現に、買受人は、25年10月右船舶の引渡を受けこれに15,000,000円の根抵当を設定し、又、26年3月債務額14,431,450円の弁済に充当している状況である。