(部)官業及官有財産収入 (款)官有財産収入 (項)官有財産売払代
国有の建物を学校教育施設に使用する条件で売り渡す場合は、旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律(昭和23年法律第74号)第2条の規定により、26年3月までは時価評定額の2割、4月以降は4割を減額することができることとなつており、このような減額して売渡処分を行うものについては、特に慎重を期する必要がある。しかるに、その処分したものについてみるに、学校当局の買受申請の内容を十分に調査すれば、近くこれを教育施設建設用資材に使用する見込がないことは売渡当時において判明すべきであつたと認められるのに、漫然売り渡したため転売又はこれに類似の事態をじやく起し売渡の目的を達しなかつたものが次のとおりある。
(62)
関東財務局で、昭和26年10月、随意契約により学校法人東京医科大学に群馬県藪塚本町所在元新田陸軍飛行場の鉄骨造建物1棟1,275坪を4,583,610円で売り渡したものがある。
右は、時価評定額から4割の減額をしたものであるが、本件売渡当時、学校当局は既に教育施設建設工事の当面の計画を大部分完成していたもので、本件資材を近く使用する見込がないことは判明すべきであつたと認められ、現に、27年3月本院会計実地検査の際の調査によると、買受人は、前記建物を契約直後に第三者に5,500,000円で転売し売渡代金の納付に充当している状況である。
本件に対しては、本院の注意により27年3月売渡契約を解除したが、10月末現在まだ求償の処置はとられていない。
(63)
関東財務局で、昭和26年3月、随意契約により財団法人剱心学園(現在学校法人徳心学園)に千葉県東葛飾郡所在元東部第105部隊の鉄骨造建物1棟1,320坪及び雑建物62坪36を4,981,150円で売り渡したものがある。
右は、前記の事例同様2割を減額したものであるが、学校当局が買受申請の際提出した建設の計画は資金の目途もなく、教育施設として確実に使用されるものと認定するには資料不十分と認めざるを得ないもので、現に、27年9月本院会計実地検査の際の調査によると、買受人は解体により発生した鉄材のうち223屯を東京都内の解体業者に保管させたまま業者の流用に任せ、その所在及び数量もは握していない状況である。