(部)官業及官有財産収入 (款)官有財産収入 (項)官有財産売払代
(65) 関東財務局横浜財務部で、昭和27年1月、随意契約により古谷織物工業株式会社に対し神奈川県相模原町所在元相模陸軍造兵廠外2箇所の直流発電機4個外5点を1,374,600円で売り渡したものがある。
右のうち、直流発電機及び電動発電機の1個当り売渡価額評定の内容をみるに、左のとおり
品名
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規格
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製作年次
製造所名 |
新品評定価格 |
欠品及び破損補修見積額控除
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残額
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残存価格率
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売渡価額
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円 | 円 | 円 | 円 | ||||
直流発電機 | 200V、70KW、150-600回転、261A、6極 | 18年 三菱電機株式会社 |
530,100 | 165,779 | 364,321 | 0.398 | 1個145,000 4〃580,000 |
電動発電機 | 直流電動機220V、90馬力、1,000回転、交流発電機防滴型70KVA、1,000回転、6極 | 19年 同 |
1,642,336 |
515,000 |
1,127,336 |
0.447 |
504,000 |
であつて、新品価格を東京芝浦電気株式会社について調査したとしているが、本品は三菱電機株式会社の製品であるので、本院において同会社について同一規格品の新品価格を調査したところ、1個当り、直流発電機は1,400,000円、電動発電機は2,900,000円程度であつて、これに比べ当局が採用した新品価格は著しく低価に失したものと認めざるを得ない。
当局者は、本件発電機はいずれもくず化することに予定されていたものであるというが、24年1月賠償指定を解除されるまでは、連合国軍の命令により特に善良な保全管理がされたもので、この種機械の性質上、その後において著しく不良な管理状態にあつたものとは認められず、買受人も動力及び照明用に使用する目的で買受申込をしてきたものであつて、本件は、新品価格の評定が著しく低価であつたためくず化に近い価額で処分する結果となつたものである。
いま仮に、三菱電機株式会社の新品価格を基準として当局の算定方式により価額を計算すれば271万余円となり、本件売渡価額は133万余円低価に当つている。
(66) 東海財務局静岡財務部で、昭和26年9月、随意契約により株式会社赤阪鉄工所に対し、静岡県志太郡所在元藤枝海軍航空隊外1箇所の電気機械(デイーゼル機関、附属発電機とも)2基を1,250,000円(デイーゼル機関分1,041,000円、交流発電機分209,000円)で売り渡したものがある。
右のうち、デイーゼル機関については特に低価とは認められないからこれは別として、交流発電機(防滴型直流励磁3相交流、3,300V、100KVA、360回転、60サイクル、20極)2個の売渡価額209,000円の評定の内容をみるに、14年当時の価格10,000円に売渡当時における値上り指数90.9を乗じた額910,000円を新品価格とし、これから欠品及び破損補修見積額273,000円又は237,500円を控除した額に、経過年数を16年とする経年減価をした後の残存価格率0.158を乗じて売渡価額を1個は101,000円、他の1個は108,000円計209,000円としている。
しかし、本件は、新品価格のよるべきものがあるのにこれを調査しないで前記指数計算によつたものであるが、前記指数は、大蔵省が指示した標準型電気機械のもので、発電機に対して前記指数をそのまま使用するのは妥当でないのに、これによつたため新品価格の評定を著しく低価としたものであつて、現に、本品は三菱電機株式会社の製品であるので、本院において同会社について19年製の同一規格品の新品価格を調査したところ、1個3,200,000円程度であり、又、経過年数については、27年8月本院会計実地検査の際の調査によると、いずれも7年に過ぎない状況であつて、これに比べ当局が採用した新品価格は著しく低価に失し、又、経年減価も妥当でない。
いま仮に、交流発電機について新品価格を3,200,000円、経過年数を7年として当局の算定方式により価額を計算すれば、263万余円となり、本件発電機の売渡価額は242万余円低価に当つている。