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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第4 大蔵省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 物件

用途を指定して売り渡した国有財産に関し処置当を得ないもの


(67)−(69) 用途を指定して売り渡した国有財産に関し処置当を得ないもの

(67)  関東財務局で、昭和24年5月から12月までの間に、財団法人明朗会に東京都目黒区所在元駒場陸軍練兵場の敷地12,189坪を試験農場及び附属施設として10年間使用することを条件として随意契約により価額1,319,413円で売り渡したものがある。

 右は、21年6月以降同会に一時使用を認可していたものを売り渡したもので、うち1,658坪は宅地として坪当り450円から550円、1,561坪は雑種地として坪当り270円又は300円、残余の8,970坪は農場に使用するものとして特に附近農地の価格に比準し坪当り4円と評定したものであるが、27年3月本院会計実地検査の際の調査によると、前記買受人は、25年4月から26年10月までの間に、本件土地のうち11,125坪を樺太共同住宅組合外2名に坪当り500円から1,300円総額9,233,756円で転売しており、売渡契約上の用途指定の条件に違反していたものである。

 このような場合には、契約を解除することがある旨の契約条項にかんがみて適宜の処置をすべきものと認め注意したが、27年10月末現在まだその処置がとられていない。

(68)  関東財務局で、昭和23年6月、吉田工業株式会社に東京都台東区所在元専売局倉庫敷地1,618坪、建物1棟延1,534坪を製材工場及び附属倉庫等として10年間使用することを条件として随意契約により価額1,239,280円で売り渡したものがある。

 右について、27年7月本院会計実地検査の際の調査によると、前記買受人は、約200万円をもつて整地及び建物の改造を行い一括24年8月総額11,000,000円で株式会社教科書荷扱所に転売しており、売渡契約上の用途指定の条件に違反していたものである。

 このような場合には、契約を解除することがある旨の契約条項にかんがみて適宜の処置をすべきものと認め注意したが、27年10月末現在まだその処置がとられていない。

(69)  中国財務局で、昭和24年5月、中野工業株式会社に広島市所在元広島陸軍糧秣支場の土地4,030坪、建物8棟延407坪及び工作物を農機具製造工場として10年間使用することを条件として随意契約により価額2,663,555円で売り渡したものがある。

 27年2月本院会計実地検査の際の調査によると、前記買受人は、25年12月、右土地のうち2,086坪(国の売渡価額は1,022,140円に相当する。)については地上の建物5棟延239坪を残りの敷地内に解体移築した上総額1,668,800円で広島銀行に転売しており、売渡契約上の用途指定の条件に違反していたものである。

 このような場合には、契約を解除することがある旨の契約条項にかんがみて適宜の処置をすべきものと認め注意したところ、27年5月当初の契約を更改して土地の転売差益額646,660円から建物の解体費256,400円を控除した額390,260円を弁償金として納付するよう徴収決定したが、27年10月末現在まだ収納に至つていない。