(款)病院費 (項)施設整備費
国立津病院で、予算外に又は予算の示達がないうちに工事を施行したり、あるいは物品購入代金として振り出した小切手を正当債権者に交付しないで現金化し、これを工事施行者に交付するなど会計経理が著しくびん乱したものがある。
(1) 同病院で、庶務課長山口某は、昭和25年1月ごろから26年12月ごろまでの間に、予算外に白井某及び笠井某に外来診療棟その他各所修繕等の工事を施行させ、他方、別途購入等物品の代金として振り出した小切手計1,019,405円を正当債権者に交付しないで現金化し、これを工事代金の一部等に流用し、又、その後に修繕費等として示達を受けた予算(1,331,348円)を、白井某等に支払の名義で支出して施行済の工事費に充てたり、あるいは前記物品納入者に支払うなどの方法を講じていたもので、このように経理をみだつたため物品代金について220,030円の未払を残す結果となつている。
(2) 同病院で、別に予算の示達を受け、白井某に施行させたB病棟改修工事の代金として1,600,000円を支出しているが、本件施行については、白井某は工事用資金として高士某から借入をしたもので、白井某の高士某に対する右借入金の返済については、庶務課長山口某が、白井某の依頼により高士某に対し右工事代金を同人に支払う旨支出負担行為担当官名義の支払証を交付したものである。しかるに、山口庶務課長は26年2月及び4月工事代金を白井某に支払つたため、国は高士某から右工事代金支払請求の訴を受け、ついに和解により国は同人に925,000円の支払債務を負担することとなつた状況である。
(3) 同病院では、前記(1)のように違法な工事を白井某及び笠井某に請け負わせており、厚生省はこれを172件工事費3,111,808円(前記B病棟を除く。)と認定し、同病院ではその善後処理として前記のとおり予算の示達を受け、支払済となつている1,331,348円を差し引いた1,780,460円のうち1,474,360円は白井某に、306,100円は笠井某に支払うこととして予算の示達を受け、27年5月からち7月までにそれぞれ工事費の支払を了した状況であるが、その工事の内容については、設計、図面、見積書等工事関係書類のないものもあつて、事実の確認が困難である。