(款)国有林野事業収入 (項)業務収入
旭川、大阪両営林局管内2営林署で、素材を売り渡すに当り市場価格の採用が適当でなかつたものなどのため、売渡価額が低きに失したものが次のとおりある。
(789)
旭川営林局管内奥士別営林署で、昭和26年10月、随意契約により北東木材工業所に製材工場原料用材として松丸太1,502石を1,805,000円で売り渡しているが、右は、予定価格を1,783,184円として同月16日同営林局長の認可を受け29日に前記価額で売り渡したものである。
しかし、同営林局では同月16日に各営林署に通ちようを発して、20日以降処分のものには値上げした新基準価格を適用すべきことを指示しているのであるから、本件旧基準価格で申請されたものに対する認可に当つては、特に注意的な指示を要したものであるのにそのまま認可したため、同営林署において29日に旧基準価格を適用して契約を締結したもので、ひいて売渡価額が低価となつたものである。
いま仮に、新基準価格を適用して売り渡したとすれば、約33万円高価に売り渡すことができた計算である。
(790)
大阪営林局管内山崎営林署で、昭和26年4月から6月までの間に、随意契約により松本某外44名にすぎ及びひのき素材9,090石を6,662,400円で売り渡したものがある。
右売渡価額は、姫路市の市場価格(素材石当りすぎ825円から2,533円、ひのき920円から1,920円)から山崎、姫路間の運搬費を差し引いたものを基準としたとされているが、その基準となつた姫路市の市場価格の当否をみるに、姫路営林署はこれと同時期に山崎営林署から保管転換を受けた同種村3,856石を随意又は競争契約により6,107,705円で売り渡していて、その予定価格5,805,201円の算出に当り基準とした姫路市の市場価格は同種同長径級材で石当りすぎ70円から1,120円、ひのき120円から290円高価となつており、山崎営林署の採用した市場価格は低価に過ぎたものと認められる。
いま仮に、本件を姫路営林署の採用した市場価格を基準として予定価格を算出し売り渡したとすれば、約270万円高価に売り渡すことができた計算である。