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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第8 通商産業省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 物件

黒鉛の輸入に当り処置当を得ないため国に損害を与えたもの


(830) 黒鉛の輸入に当り処置当を得ないため国に損害を与えたもの

  (部)産業経済費(款)商鉱工業費(項)貿易特別会計残務処理費

 通商産業省(通商振興局経理部)で、昭和26年3月矢作製鉄株式会社外6会社に20,371,492円で売り渡した朝鮮産土状黒鉛1,584屯416のうち1,161屯974について、保証品位不足を理由とした買受会社からの請求により値引相当額4,046,628円を返還したものがある。

 右の値引した土状黒鉛1,161屯974は、同省が24年4月、長豊企業股イ分有限公司と輸入契約した3,000屯のうち同年10月入港した第2回積来分1,584屯416の一部であるが、右輸入黒鉛3,000屯の引取状況をみるに、当時の実務担当者である鉱工品貿易公団は、24年4月の第1回積来分の品位について8月クレームを提起しけい争中であつたため、第2回積来分についても引取を拒否し、前記公司はこれを保税倉庫に収容保管していたものである。しかるに、通商産業省は、26年2月に至り、商慣習上認められている厳密な試料採取法によらないで、本品が契約どおりカーボン含有率が71.61%であるとして全量を引き取り、その代金及び諸掛として22,842,250円を支払つた上、前記のように20,371,492円相当量を矢作製鉄株式会社外6会社に売り渡したものである。本来、土状黒鉛は品位の不均一であるのが通常であるから、品位については十分に供試品を採取し、厳密な調査を行つて含有率を算定し、これにより同公司に対する支払代金を決定しなければならないのに、その処置を誤り、契約どおりの含有率があるものとして処理したため、前記のように値引返還金を支出するような結果をきたしたのは処置当を得ない。