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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第8 通商産業省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 役務

輸入実務委託契約に当り処置当を得ないもの


(831) 輸入実務委託契約に当り処置当を得ないもの

  (部)官業及官有財産収入 (款)官有財産収入 (項)公団等整理収入
  (部)産業経済費 (款)商鉱工業費 (項)貿易特別会計残務処理費

 通商産業省で、昭和25年4月、極東貿易株式会社に総額200,000弗の米書輸入販売の実務を代行させることとしたが、代行実務についての同省の監督が不十分なため、結局、27年8月末現在で18,850,044円の政府損失を生じているものがある。
 右は、米国人文科学関係書籍総額200,000ドルの政府輸入計画の実施につき、競争入札方法をもつて同会社を選定し、実務委託契約に基き大要次の方法により実務を執行させたものである。

(1) 会社は、国内の小売商を通じて書籍の受注をし、前受金を収納すること。

(2) 会社は、書籍代金を日本勧業銀行の特別口座に預入し、政府の納入告知書によりこの口座から貿易特別会計に納入すること。

(3) 政府は、前項の納入代金に見合う外貨を米国の書籍会社へ送金して書籍を発注すること。

(4) 会社は、輸入された書籍を小売商を通じて分配すること。

 しかるに、この前金予約方式による輸入は、国内購読者に不便であるとして、後に書籍の前送、代金の後送による委託販売方式が採用されている。

 しかして、この実務代行中においては、極東貿易株式会社は、国内に対しては政府から政府輸入書籍の販売を委任されたものとされ、又、米国の書籍会社に対してもその行為は政府の責任下にされたものとされているものであるが、同会社は、国内関係においては小売商等から前受代金として44,681,963円を受領しながら、そのうち16,855,655円を他に流用し、小売商等に現品を交付しなかつたため、前記流用額から同会社が小売商等に対して有する他の売掛金を差し引き11,744,500円について政府が小売商等に返還するのやむなきに至り、株式会社丸善外57名に対し27年2月から8月までの間にこれを支出している。

 又、米国の書籍会社との関係においては、前送書籍代25,328,905円のうち22,407,224円を送金しなかつたため、その割引原価21,529,587円について政府は外貨送金するのやむなきに至り、日本勧業銀行に対し26年6月から27年4月までの間にこれを支出している。

 右の支出金額計33,274,087円(うち27年度分270,163円)のうち15,600,292円は、26年10月から27年8月までの間に回収されたが、残額18,850,044円はまだ未回収のままである。

 前記のような損失を生じた直接の原因は、極東貿易株式会社の不信行為に因るものであるが、同会社は入札決定前既に他の問題で通商産業省との間にクレーム問題を生じていて、信用、能力等の点において政府代行をさせることには相当疑問があるはずのものであるのに、あえてこれを選定し、又、契約保証についても額面5,000,000円の一流銀行の保証状を要求しながら、単名手形を受領し、手形の支払期間満了後もなんらの処置をせず、あまつさえ25年12月書籍輸入方式の変更に当つては、当然実務委託契約の改訂による代金収納方を確保する処置を講ずべきであるのにその処置もとらず、単に同会社の善意、誠実な実務代行を期待することに終始したもののようで、政府職員による会社の前受金の受入額の実査、これと日本勧業銀行の特別口座の預入額との対比、米国書籍会社の送本数量と会社の処分及び代金収納状況等の調査等政府代行業務としては当然されるべき監査のみるべきものがなく、ようやく26年8月、同会社から政府に対し委託販売代金約2000万円の外貨送金方依頼があつたが、円貨代金納入未済であることに端を発し実情調査を開始するに至つて前記の事情が判明することとなつたもので、政府損失の間接の原因としては、通商産業省担当関係者の契約締結についての注意の不行届と監督上の過失に因るものと認めざるを得ない。